思いつきでキャッチコピーを書くのはやめましょう。
キャッチコピーを書く上で重要な考え方は、たったふたつです。
何を言うか(What to say)
どう言うか(How to say)
広告対象である、商品・サービスの「何をどのように伝えるか」です。これさえ押さえておけば、キャッチコピーが格段に考えやすくなります。
こんにちは、寿(ひさし)といいます。
僕は2020年、宣伝会議さんが主催するコピーライター養成講座を受講し、コピーライティングを学びました。
コピーライター養成講座は60年以上の歴史があり、述べ5万人を超える修了生がいる、日本で一番有名なコピーライターを養成する講座です。
卒業生には「糸井重里」さんをはじめ、電通や博報堂などの大手広告代理店で活躍するコピーライターが数多くいます。

最初にひとつ、言っておかなくてはなりません。
実は、キャッチコピーの作り方や書き方はありません。
コピーライターによって、キャッチコピーの作り方は違うのです。講師のみなさんは誰ひとりとして同じ作り方をしていませんでした。
講座を通して、作り方や書き方を具体的に教えてはもらってないのです。何を学んだかと言えば、キャッチコピーの考え方を学びました。
それが冒頭の、何を言うか(What to say)どう言うか(How to say)です。これはキャッチコピーの作り方に共通する考え方で、講座でしつこいくらいに何度も学びます。
それともうひとつ大事なことがあります。キャッチコピーは「ひらめき」や「思いつき」で考えるものではありません。商品・サービスのことを調べ、情報を整理し、論理的に発想やアイデアを広げて、キャッチコピーを考えていくのです。
この記事では、キャッチコピーの考え方を中心に、書くまでを作り方として紹介していきます。あなたが読み終わったときに、キャッチコピーのアイデアがどんどん湧いてくることを願って、書き進めていきます。
長い前置きになりましたが、少しでも、あなたの参考になればうれしいです。

キャッチコピーとは
キャッチコピーとは、文字通り「人の心を」キャッチ(掴む)する言葉です。
キャッチコピーは和製英語で、広辞苑では「キャッチフレーズ」と同じ意味と書かれています。
キャッチコピー / キャッチフレーズ
人の注意をひくように工夫した簡潔な宣伝文句
広辞苑
人の注意をひくために必要なことは、どんなことでしょうか。人の注意をひくキャッチコピーには、次のようなことが含まれています。
- 商品・サービスの新しい発見や気づきがある
- 言葉に共感できる
- 実感が湧く・納得できる
つまり注意をひくとは、人の心・感情を動かすことなのです。商品・サービスを利用してもらう、などの人を行動させることが、キャッチコピーに求められる役割なのです。
広告・キャッチコピーの目的は、広告主の課題解決
キャッチコピーは広告表現のひとつです。広告の目的は、広告主であるクライアント企業の商品・サービスの売上向上・認知向上・ブランドイメージ向上です。
また、キャッチコピーはインナーブランディングなどにも使われます。たとえば、スローガンや理念などです。
キャッチコピーの目的は、課題解決なのです。

コピーライティングの種類とは
コピーライティングには、いくつかの種類があります。広告を掲載する場所に応じて使い分けられます。
- イメージコピー
- セールスコピー
- Webコピー(Webライティング・SEOライティング)
それぞれの役割と使用する場面を見ていきましょう。
イメージコピー(キャッチコピー)とは
商品・サービスから連想されるイメージを、短い言葉や文章で表現します。
イメージコピー(キャッチコピー)使用する場面
- テレビCM
- 新聞広告
- 電車つり革広告
- ポスター
- 企業ブランディング / スローガン
- Webサイトのメインビジュアル・Webバナー
キャッチコピーは、アートディレクターが創るグラフィック表現と一緒に掲載されることがほとんどです。
セールスコピーとは
商品・サービスの、直接的な購買を促す言葉や文章です。
セールスコピーを使用する場面
- DM(ダイレクトメール / レター)
- 折込みチラシ
- メールマガジン
- Webランディングページ(LP)
商品・サービスのメリットや他社商品との比較・ユーザーの声を用いたりします。
Webコピーライティング(Webライティング・SEOライティング)とは
googleなどの検索エンジンで、検索上位に表示するために使われ、SEO(Search Engine Optimization、 検索エンジン最適化)を意識した言葉や文章です。
Webコピー(Webライティング・SEOライティング)使用する場面
- 企業コーポレートサイトブログ
- オウンドメディア見出し / 本文
- ブログ見出し / 本文
- アフィリエイト見出し / 本文
主にWebサイトで使われ、企業コーポレートサイト・オウンドメディア・ブログ・商品やサービスを紹介する、ECサイトなどで使われます。

キャッチコピーの名作から具体例を知る
想像力と数百円
糸井 重里さん
新潮社(1984)
このキャッチコピーは、糸井 重里さんの代表作です。「新潮文庫の100冊」というキャンペーンのキャッチコピーでした。
読書は人間の想像力を掻き立てます。たった数百円で、人間の想像力を磨いたり広げたりできるものだと、文庫本の価値を再発見しているキャッチコピーです。
7文字と短い言葉で意味が伝わる、まさにキャッチコピーの中のキャッチコピーと言えるでしょう。

おしりだって、
洗ってほしい。仲畑 貴志さん
1982 TOTO ウォシュレット
年賀状は、
贈り物だと思う。岩崎 俊一さん
日本郵便年賀状キャンペーン(2007)
結婚しなくても幸せになれるこの時代に、
私は、あなたと結婚したいのです。坂本 美慧さん
ゼクシィテレビCM(2017)
これらのイメージコピーは、テレビCMやポスターなどで使用されています。キャッチコピーは時代を反映するものが多く、世の中に影響を与える言葉が数多くあります。あなたも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
名作キャッチコピーを知ることも、キャッチコピーの考え方や作り方を学ぶキッカケになります。
再現性のあるキャッチコピーの作り方とは
この記事のゴールは、再現性のあるキャッチコピーの作り方です。そのために考え方を学んでいきます。ここからはキャッチコピーの作り方も解説していきます。
キャッチコピーの考え方・作り方に大切な「ふたつ」のこと
この記事では、イメージコピーを中心に話を進めていきます。イメージコピーの考え方は、セールスコピー・Webライティングにも当てはまります。用途や使用する場面が違うだけです。
冒頭でお伝えしましたが、キャッチコピーを考える上で重要な考え方は次のふたつです。
何を言うか(What to say)
どう言うか(How to say)
深く学んでいく前に、まずは簡単に解説します。
What to sayは、商品・サービスの何を言うか
商品やサービスの特徴を分析し、商品のベネフィット(価値)を考え、キャッチコピーの切り口を見つけることが「What to say」です。左脳的な論理的思考・分析力が必要です。

How to sayは、商品・サービスをどう言うか
What to sayで見つけた「切り口」を、人の心を動かす言葉にして表現することが「How to say」です。右脳的な発想力・表現力が必要です。
左脳と右脳を上手に行き来しながら、キャッチコピーを考えていきます。
思いつきでキャッチコピーを書かなくなる
キャッチコピーは「ひらめき」や「思いつき」で考えると、単なる言葉遊びや大喜利になってしまいがちです。それでは、人の心を動かす言葉にはなりません。理由や理屈を考えてキャッチコピーを作ることで、広告主への説明やプレゼンができるようになります。

What to say(何を言うか) – 切り口を考える – 考え方(1)
広告対象である商品・サービスの良さ伝える「切り口」を見つけましょう。コピーライティングでは、What to say(何を言うか)と言います。
「切り口」を見つけることが、キャッチコピーの出発点
商品・サービスの切り口とは、たとえば次のようなことです。
- 商品・サービスのベネフィット
- 商品・サービスのメリット
- 商品・サービスの競合優位性
- 商品・サービスの独自性(USP)
つまり、商品・サービスのポジティブな側面を見つけることが、キャッチコピーの切り口になります。

広告・キャッチコピーの目的は、課題を解決すること
キャッチコピーの目的は、常に意識しておかなくてはいけません。
コピーライティング・キャッチコピーで、商品・サービスの良さを伝えることが、結果として広告主であるクライアント企業の目的や課題解決に繋がっていなければ、キャッチコピーの意味がないのです。
広告主は広告を掲載することで、商品・サービスの認知や売上げ向上などを求めています。
キャッチコピーを考えること・書くことに没頭すると、目的や課題解決の意識がすっぽりと抜け落ちてしまうことがあるので気をつけましょう。
「何の為に広告をするのか」目的とゴールを忘れないようにしましょう。

コピーライターの役割と広告・キャッチコピーの目的
コピーライターは、アイデアと言葉による表現で、広告主の課題解決をお手伝いする職業です。
- 認知
- 集客
- 商品の購入
- 採用の問い合わせ
- ブランディング
5W1Hを使うと、目的や課題の発見がしやすくなるのでオススメです。

AIDMA(アイドマ)・AISAS(アイサス)生活者の購買行動までのプロセスを知る
AIDMA(アイドマ)・AISAS(アイサス)は、生活者・消費者の購買決定までのプロセスを表したものです。
AIDMA(アイドマ)
生活者・消費者はまず、その商品・サービスを知ることから始まります。そもそも存在自体を知らないと、最終的な購買にはつながらないのです。
- Attention(存在を知り)
- Interest(興味を持つ)
- Desire(欲しいと思う)
- Memory(記憶する)
- Action(購入する)
AISAS(アイサス)
インターネットを利用する購買行動のモデルで、具体的にはECサイトなどで商品・サービスを購入することです。
Amazonで買い物をする際、商品を検索して、レビュー記事を参考にしたり、Twitterで感想を「つぶやく」「いいね」や「リツイート」することが、前述のAIDMA(アイドマ)と違います。
- Attention(存在を知り)
- Interest(興味を持つ)
- Search(検索する)
- Action(購入する)
- Share(意見共有する・レビュー・口コミ・SNS拡散)
これらのモデルを知っておかなくてはいけない理由は、これから考えるキャッチコピーが、生活者・消費者のどの行動にアプローチする言葉なのかを意識するためです。
「商品・サービスを知ってもらいたい」「商品・サービスを購入してほしい」では、発信するキャッチコピーは変わってくるのです。
広告・キャッチコピーの最終的なゴールを設定しよう
成果の指標となるゴールを明確にして、広告・キャッチコピーを作りましょう。Webの業界では、KPI(Key Performance Indicator) / KGI(Key Goal Indicator)、コンバージョンなどと言ったりします。
- 商品・サービスの売上向上
- 商品・サービス認知向上
- ホームページからの問い合わせ件数増加
- ホームページのPV増加(ページビュー Webサイトの閲覧数)
- SNSなどの拡散
「何を」「どのくらい」達成したら成功なのか。数値化できる目標を決めておきます。広告・キャッチコピーは、効果測定し評価することが、のちに改善案に結びつくからです。
「切り口」を考えるための取材 – キャッチコピーの素材を集める
商品・サービスの良さを伝える「切り口」を見つけるには、広告対象のこと深くを知る必要があります。取材方法はいくつかあるので紹介していきます。
- クライアントへヒアリング(オリエンテーション)
- 現場に行って取材する
- 商品・サービスを実際に使って体験する
- 書籍・インターネットなどで情報を調べる
- SNS検索(Twitter検索、Instagram検索)
- 実際に商品・サービスを使っている人に話を聞く
疑問に思うことは広告主にヒアリングすることが望ましいです。しかし、直接質問できる立場にいない・聞きにくい質問があるなど、難しい場合があります。
やはり、広告対象を深く知るには、商品・サービスを利用し体験すること・実際に現場に行き、自分の目で確かめることが大切だと思います。そこで感じた自分の心や感情の動きをメモしておきましょう。のちにキャッチコピーの材料になるからです。
自分の心を動かせないことには、相手の心も動かすことはできません。
加えて、雑誌やネットなどを活用し、商品やサービスの性質・特徴・機能などを調べましょう。自分が現在持っている先入観やイメージ、知識や経験からの思い込みや既成概念を捨てることが、新しい切り口を発見するキッカケになります。
マーケティングを活用したキャッチコピーの切り口の考え方
マーケティングの知識やフレームワークを活用すると、キャッチコピーの切り口が探しやすくなります。ここでは、僕がよく使うフレームワークを紹介します。
- ターゲット / ペルソナ
- 3C分析
- 4P分析
- カスタマージャーニーマップ
ターゲット / ペルソナ – キャッチコピーを誰に読んでもらいたい人は誰か

誰に向けての広告・キャッチコピーなのか、人物像を明確にするために、ターゲット・ペルソナを考えましょう。
ターゲット・ペルソナは同じ意味で捉えられますが、それぞれ違う意味合いがあるので解説していきます。
ターゲットで設定する項目
ターゲットは、年代・性別・業界などの広いカテゴリーやジャンルに分類するときに用います。
- 性別
- 年代
- 業界
- 既婚 / 未婚
ペルソナで設定する項目
ペルソナは、具体的な1人の人物像を細かく設定していきます。
- 名前(イメージ写真含め)
- 趣味
- 価値観
- パーソナリティー
- 職業
- 年収
ターゲット・ペルソナを明確にすることを、マーケティングではセグメンテーションと言います。
ターゲット・ペルソナを設定することで、キャッチコピーが書きやすくなります。キャッチコピーは、言葉を受け取った人が「わたしのこと言っているのかも」と、自分ごとに思わせることが大切です。
世代や性別によって言葉の使い方が違い、生活環境も違うので、ターゲット・ペルソナに合わせた言葉選びなどが、言葉の表現に影響してくるのです。
カスタマージャーニーマップを作る

生活者・消費者が、商品・サービスを購買するまでの「感情」「思考」「行動」のプロセスを図示化したものがカスタマージャーニーマップです。
生活者・消費者の生活を考え、広告対象である商品・サービスとの接点を探ります。1日の生活の中で、
- どの時間帯に
- どんな環境で
- 誰と一緒にいるときに
- どんな気分で
上記のようなことを図示化することで、キャッチコピーの伝え方・表現の仕方を考え、発想やアイデアを広げていきます。
3C分析で広告対象の情報整理をする

商品・サービスの訴求点や類似商品との差別化できるポイントを明確にするために、3C分析を使います。
- 市場・顧客(Customer)
- 自社(Company)
- 競合(Competitor)
3C分析で商品・サービスの情報を整理すると、USP(Unique Selling Proposition)がわかります。USPとは競合優位性のことで、他社製品と差別化できる独自の特徴を指します。
市場では今、何が求められているのかを把握しておくことも大切です。キャッチコピーは時代を反映する言葉が多く、時代に合った言葉は人の心に届きやすいのです。

マインドマップを使うと、3C分析がしやすくなります。

4P分析で流通をイメージする

4P分析は、商品・サービスのプロダクトを4つの視点から分析します。
- 製品(Product プロダクト)
- 価格(Price プライス)
- 流通(Place プレイス)
- 販売促進(Promotion プロモーション)
その製品は「価値やメリットは何か」「どこで手に入るのか」「価格はいくらなのか」「広告はどこに掲載されるのか」など、把握することに適しています。
製品によってアピールすべき訴求点が違うので、客観的に情報を整理するために4P分析を活用しましょう。
キャッチコピーは、広告の掲載場所を想定して考える必要があるため、流通や販売促進の方法などは、あらかじめ確認しておくことも重要です。
- TVCM
- ラジオCM
- 新聞広告
- 電車つり革広告
- 街角ディスプレイ広告
- Web広告
- ランディングページ
- SNS広告
後々になって、苦心して考えたキャッチコピーが掲載場所とマッチしなかった。なんてことになりかねないので、きちんと情報の整理をしておきましょう。
フレームワークを使うことで、分析や情報のヌケ・モレが無くなります。ここで紹介したフレームワークはほんの一部です。興味がある方は、以下の書籍を参考にしてみてください。
「切り口の数」が最終的なキャッチコピーの本数に比例する
切り口を見つけることは、キャッチコピーを考える上でとくに重要なプロセスです。商品・サービスの「まだ世の中の人が知らない価値」を探せれば、それだけでインパクトのあるキャッチコピーが書けます。
大切なことは、広告対象の商品・サービスをいろんな視点・角度で観察し、深く理解することです。
切り口は抽象度の高い状態の言葉です。このあと、How to say(どう言うか)工程で具体的な言葉や表現を考えていきます。切り口を数多く発見することは、具体的な表現につながるキッカケづくりなのです。
ここまで紹介した方法論やフレームワークは、単なる手段でしかありません。自分が取材しやすい方法を見つけていく必要があります。なにか考えるヒントになれば幸いです。
切り口はキャッチコピーの「タグライン」になる
タグラインとは、キャッチコピーを支える短い言葉・アイデアのことです。企業の理念やスローガンなどに使われています。切り口は、ひとことで表現される言葉なので、そのままタグラインとして使うこともできます。
一瞬も一生も美しく
資生堂
やがて、いのちに変わるもの。
ミツカン
お口の恋人
株式会社ロッテ
あしたのもと AJINOMOTO
味の素
水と生きる
サントリー
What to say(何を言うか)がキャッチコピーの作り方の7割を占める
キャッチコピー制作のプロセスで、What to say(何を言うか)を考えることが、全体の7割を占めると思っています。
これはプロのコピーライターも言っていることで、商品・サービスのきちんとした取材や情報整理ができていない状態でキャッチコピーを書いても、本質をついた言葉にはならないからです。
What to say(何を言うか)を考えることは、「思いつき」や「ひらめき」でキャッチコピーを書かないためでもあります。
キャッチコピーのコンセプトの作り方 – 切り口にアイデアを加える
洗い出した切り口をもとに、そのままキャッチコピーを書いてもインパクトのある言葉にはなりません。切り口にアイデアを加えて、目立つ表現にしていきます。
キャッチコピーは、人の注意をひく言葉でなくてはならないからです。目立つことは重要なのです。
キャッチコピーのコンセプトを考える
たとえば、乾電池のキャッチコピーを書くとします。乾電池を使用する場面といえば、テレビやエアコンのリモコンや掛け時計など、家電製品が一般的です。
ですが、視点を変えてみると、災害時の防災グッズにも重宝するのです。子どものおもちゃにも使われています。
次の記事では、乾電池のキャッチコピーを考察しています。

コンセプトと見つけた切り口の重なる部分を考えて、具体的なキャッチコピーを考えていくのです。
How to say(どう言うか) – キャッチコピーの表現の作り方 – 考え方(2)
さてここからは、キャッチコピーの具体的な作り方を解説していきます。What to say(何を言うか)から、How to say(どう言うか)を考えて行きます。
切り口をから、人の心を動かす言葉に表現を変えていくプロセスです。具体的に3つの段階を踏みます。
- キャッチコピーを書く
- キャッチコピーを選ぶ
- キャッチコピーを磨く
それぞれ詳しく解説していきます。
キャッチコピーを書く – 作り方(1)
切り口をもとに、キャッチコピーをたくさん書きましょう。
たとえば切り口ひとつに対し、10本を目標にキャッチコピーを書くようにします。切り口が10本あれば、100本のキャッチコピーが書けるわけです。
キャッチコピーをたくさん書く理由
たくさんのキャッチコピー候補から選ぶのか、それとも数本のキャッチコピーから選ぶのか。100本中の1本なのか、5本中の1本なのか。
当然、たくさんのキャッチコピーから選んだ方がいいですよね。
頭の中にあるアイデアと言葉を吐き出すように、単語レベルでもいいのでキャッチコピーを書いてみましょう。たくさん書くことによって、次の「キャッチコピーを選ぶ」プロセスにつながります。
たくさんキャッチコピーを書ける人は、コピーライターとしての実力があると言っても過言ではありません。頑張りましょう!
キャッチコピーの数を量産するコツ
僕がオススメする方法は「大喜利」を使って考えることです。

キャッチコピーは注目されることが大切です。インパクトのあるキャッチコピーには「クスッ」っと笑えるユーモアがあったりします。
大喜利を使って考えることで、人を笑わせよう楽しませようというサービス精神が生まれます。韻を踏んだり、言葉遊びやダブルミーニングなど、頭を柔らかくして柔軟な発想を引き出しましょう。
他の方法として、
- 視点を自分以外の他人に置き換えて書く
- 話し言葉で書く
- 数年後・過去など、時間軸をズラして考えてみる
キャッチコピーはアイデア勝負です。発想の飛躍がカギです。
他の人が思いつかないようなキャッチコピーに出会うまで、粘り強く根気よく考えましょう。キャッチコピーは自分との対話であり、自分との戦いです。
キャッチコピーは短く書こう
キャッチコピーを考えていると文字数が多くなりがちです。広告対象を深く知れば知るほど、多くを伝えたい気持ちになるからだと思います。
しかし、キャッチコピーは「短ければ短いほうがいい」とされています。キャッチコピーは一瞬の勝負なので、言葉の意味を理解しやすく、インパクトのある短いキャッチコピーのほうがいいのです。

長いキャッチコピーは、最後まで読んでもらえない可能性があるので注意が必要です。
キャッチコピーを短く書く理由は他にもあります。SNSでの拡散や口コミなどでキャッチコピーが流通しやすい点も挙げられます。
ボツにしたキャッチコピーは「ボディコピー」に使える
100本書いたキャッチコピーは決して無駄にはなりません。ボディコピーとして使えるからです。
ボディコピーとは、キャッチコピーの後に読んでもらいたい、まとまった文章のことです。キャッチコピーでは伝わりきらない想いや詳細を伝えるためにあります。
キャッチコピーの一つひとつは短い文章ですが、広告対象の情報がいっぱい詰まっているはずです。接続詞などでつなぎ、文章の構成を考え、言葉を整えることで、ボディコピーとして成り立つのです。
新聞広告やチラシには必ずといっていいほど、ボディコピーが添えられています。

キャッチコピーを選ぶ – 作り方(2)
書き出したキャッチコピーの中からいいキャッチコピーを選びます。キャッチコピーは書く力も大切ですが、同じぐらい選ぶ力も重要なのです。
「いいキャッチコピー」を選ぶ基準を考える
人の感情が動かなければ、いいキャッチコピーとは言えません。「人の心が動く言葉」かどうかをひとつの基準にしてください。
それに加え、広告主、広告対象である商品・サービスの課題解決ができている言葉かどうかも重要な視点になります。
人が動くキャッチコピーにあるもの
人が動くとは、次のようなことです。
- 人の心を動かす(感情)
- 人の頭を動かす(脳の記憶)
- 人の体を動かす(行動)
記憶に残るキャッチコピーも人を動かしたことになります。ブランドの認知やイメージの向上は、人の記憶にアプローチしているのです。
あなたの書いたキャッチコピーは、ターゲット・ペルソナを振り向かせたでしょうか。
おさらいになりますが、人の感情が動くには次のようなことが含まれています。
- 新しい発見や気づきがある
- 共感できる
- 実感が湧く
- 納得できる
キャッチコピーにこれらの感情が含まれていなければ、成果を出すことは難しいでしょう。
自分の書いたキャッチコピーで、自分の感情が動くのかも大事ですね。
商品・サービスにキャッチコピーを配置してみる
最終的にキャッチコピーは、広告として掲載されます。
- TVCM
- 新聞広告
- 電車つり革広告
- ポスター
- 企業ブランディング / スローガン
- Webサイトメインビジュアルのキャッチコピー
実際に配置してみて、キャッチコピーに違和感がないか確認をしましょう。
キャッチコピーを声に出して読む
人はキャッチコピーを脳内で読みます。文章のリズムや読み方・言い方を確認するために、音読しましょう。
キャッチコピーに、言いにくさや違和感・リズムやテンポの悪さなどがあれば、読み手も同じように、端切れの良さなどを感じます。
声に出すと客観的に判断しやすくなるので、絶対に音読して確かめましょう。
他人にキャッチコピーの意見を聞く
他人にキャッチコピーの感想を聞くことも有効な手段です。
- キャッチコピーを学んでいる人
- 正直な意見を言ってくれる仲間
- 複数人に聞いてランキングを決める
いろんな感想がほしいからといって、やたらめったら他人に意見を求めるのはオススメしません。多様性が生まれすぎて迷ってしまい、自分の意見を信じなくなるからです。信頼のおける何人かだけに絞って意見を聞きましょう。

キャッチコピーを磨く – 作り方(3)
選んだキャッチコピーを洗練させていきましょう。キャッチコピーを磨くことは、最後のプロセスになります。
- 話し言葉にしてみる
- 漢字・ひらがな・カタカナにしてみる
- 逆説的な言い方にしてみる
- 主観的 / 客観的視点で言葉を変える
- 類語を探す
- 「てにをは」の省略
- 改行、句読点の位置を変える
- 倒置法で表現する
- 比喩表現を使う
レトリックを使い、納得のいくまでキャッチコピーの表現を探りましょう。キャッチコピーを磨く時間は楽しいですよ。
ここでひとつ注意が必要です。コピーライター養成講座で口酸っぱく言われたことは「キャッチコピーを磨くことから考えるな」でした。
What to say(何を言うか)がきちんと考えられてない状態でキャッチコピーを磨いても、絶対にいいキャッチコピーにはたどり着きません。出発点が間違っているままだと、ゴールに辿り着くことはないですよね。
キャッチコピーを磨く技術よりも「キャッチコピーを書く力」「キャッチコピーを選ぶ力」が重要なのです。
キャッチコピーの作り方はコピーライターによって違う
キャッチコピーの作り方はコピーライターによって違います。今回紹介している方法は、僕の思考法でキャッチコピーの作り方のひとつに過ぎません。
あなたは、あなたのキャッチコピーの作り方を考えていきましょう。
大喜利の考え方でキャッチコピーを書く
誰も思いつかないアイデアが欲しい時。大喜利でキャッチコピーを考えるのはどうでしょうか。
- ▲▲▲は、〇〇〇だ!
- こんな〇〇〇は嫌だ!
- ▲▲▲の目線で言えば

キャッチコピーを考える上で、他人とアイデアが同じになることが一番避けたいことです。でもそう簡単に奇抜なアイデアはでないですよね。
そんな時は大喜利で頭を柔らかくして柔軟に考えてみてください。参考までですが、コレが僕のオリジナルな考え方です。
キャッチコピーのトレーニング方法
キャッチコピーを考える上で「キャッチコピー脳」を鍛える必要があります。具体的なトレーニング方法をまとめてみました。

Twitter(ツイッター)を活用してキャッチコピー脳を鍛える
ツイッターは文字数制限があるので、端的に伝えたいことを書かなくてはいけません。キャッチコピー練習にはもってこいのツールです。また、フォロワーからの反応がもらえる機能も、人の反応を知る指標になります。

ツイッターを利用しているコピーライターも多いので、情報収集ができるのも便利です。
公募に応募してキャッチコピーの実績を作る
積極的にキャッチコピーの公募に応募しましょう。評価を得ること、実績を作ることがキャッチコピーの上達とモチベーションの維持につながります。

ここまでが、コピーライティングの考え方・作り方のコツでした。
この考え方は「イメージコピー」「セールスコピー」「Webコピー」すべてに使える考え方です。なにか参考になればうれしいです。
キャッチコピーを学ぶと人生が豊かになる
キャッチコピーを学ぶと、普段から言葉に意識が向くようになります。いい言葉を使えば、良い習慣が身につき、人生は豊かになると思っています。
生活の中で、目標管理や自分の思い込みを変えるために、キャッチコピーを使ってもいいのです。


最後に、本気でコピーライターを目指す人は、宣伝会議のコピーライター養成講座に通うことをオススメします。現役コピーライター・クリエイターとも繋がれるチャンスもあります。
なにより、同じ目標に向かって努力する仲間はかけがえのない財産になります。

ここまで読んで頂いてありがとうございました。
あなたの、キャッチコピーの作り方の参考になればうれしいです。