キャッチコピーの考え方

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思いつきで書けちゃいそうな気がしますがしませんか?

でもいざ書いてみると、何がいいキャッチコピーなのかわからない。

こんにちは、寿(ひさし)といいます。元芸人です。

「キャッチコピーって、大喜利みたいなものですよね?」ぼくはそう思っていました。

しかしそれは、大きな間違いした。

ぼくは2020年に宣伝会議コピーライター養成講座に通って、キャッチコピーを勉強しました。宣伝会議の講座は、電通や博報堂などの広告代理店の現役コピーライター・クリエイターが講師を受け持つ、本格的なコピーライティング・キャッチコピーの講座です。

勉強してその奥深さを知ってからというもの、世の中の広告の見方がかわりました。コピーライターという職業があるわけですから、そりゃ奥が深くて当然ですよね。

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いや、確かに大喜利的な要素はあると思います。それは発想の飛躍という観点でのみです。

そもそもキャッチコピーは、広告対象である商品やサービスの魅力を伝え、言葉によって課題解決に導くための手法。大喜利みたく、イジったり・落としたりしてはいけないのです。

あなたも自分で商売を始める・広報PRの部署に移動になった・コピーライターを目指している・なんらかの理由でキャチコピーを学ぼうとここに辿り着いたのでしょう。

最初にひとつ、誤解のないように言っておかなくてはなりません。

キャッチコピーの書き方なんてものはありません。

コピーライター養成講座の講師たちは、みなそれぞれ違った考え方・書き方をしていました。もちろん講座で基本的なことは教わります。ですが基本を教わるだけです。あとは自分で考え方を体系化していかなくてはいけません。キャッチコピーは沼なのです。

この記事はひとつの思考の足跡・参考資料だと思って、ぜひあなた独自のキャッチコピー論理を構築していってください。

キャッチコピー狂に幸あれ。少し長い前置きになりましたが、それでは本編どうぞ。

https://hisashi-media.com/copy-apply/sendenkaigi-award-2020/

キャッチコピーとは

キャッチコピーの考え方や書き方を学ぶ前に、キャッチコピーの目的や種類について知っておきましょう。

キャッチコピーに求められること

キャッチコピーとは、文字通り「人の心を」キャッチ(掴む)する言葉です。

広辞苑で調べてみました。広辞苑では、キャッチコピーは和製英語でキャッチフレーズと同じ意味と書かれています。

キャッチコピー / キャッチフレーズ

人の注意をひくように工夫した簡潔な宣伝文句

広辞苑

人の興味をひくとはどういうことでしょう。

あなたはどのようなことで物事に関心をもちますか?

  • 驚きや発見・気づきがある
  • 共感がある
  • 納得できて・モヤモヤがスッキリする

こんなとき、人は興味や関心を持ちます。

つまり注意をひくとは、人の心・感情を動かすことなのです。

キャッチコピーとは短い言葉で商品やサービスのことを言い表し、人の心を動かす技術なのです。この短い簡潔な言葉というところがキャッチコピーの難しさです。

キャッチコピーは広告主の課題解決のためにある

あなたが商品・サービスを売るために広告を出したいと考えたとします。

広告に求めることはなんですか?

  • 多くの人に製品を知ってほしい
  • 多くの人に製品を買って欲しい
  • 他社の製品よりも自社製品を印象づけたい

広告に対し、これらの効果を期待すると思います。商品・サービスの売上向上・認知拡大・ブランドイメージ向上です。

つまり広告・キャッチコピーは広告主であるクライアントの課題を解決するためにあります。

また企業スローガンなどにもキャッチコピーは使われますが、それは社内の理念やビジョンを言葉によって導く課題解決といえます。インナーブランディングともいいます。

https://hisashi-media.com/copy-learn/problem-solving/

コピーライティングの種類とは

実はコピーライティング・キャッチコピーには種類があります。広告を出稿する場所や状況に応じて使い分ける必要があり、考え方や書き方も変わってきます。

  • イメージコピー(キャッチコピー)
  • セールスコピー・セールスライティング
  • Webライティング(SEOライティング)

それぞれの役割と使用する場面を見ていきましょう。

イメージコピー(キャッチコピー)とは

商品・サービスから連想されるイメージを、短い言葉や文章で表現します。主に使用される場面は以下のとおりです。

  • テレビCM
  • 新聞広告
  • 電車つり革広告
  • 企業ブランディング / スローガン
  • Webサイトのメインビジュアル・Webバナー

一般的にコピーライターといえば、このイメージコピーを書く人のことではないでしょうか。有名なコピーライターに、糸井重里さんがいます。

イメージコピーだけで使用されることは少なく、アートディレクターが創るグラフィック表現や写真・映像などと一緒に掲載・使用されることがほとんどです。

セールスコピー・セールスライティングとは

商品・サービスの直接的な購買を促す言葉や文章です。主に使用される場面は以下のとおりです。

  • DM(ダイレクトメール / レター)
  • 折込みチラシ
  • メールマガジン
  • Webランディングページ(LP)

セールスコピーはいわゆる営業マンがする営業トークと考えていいでしょう。もちろんコピーライターが書くことはありますが、セールス担当の営業マンが書くことも多いでしょう。

商品・サービスのメリットを中心に、他社商品との比較・ユーザーの声を用いたりもします。

https://hisashi-media.com/sales-writing/

Webコピーライティング(Webライティング・SEOライティング)とは

ホームページのコンテンツやブログなどに使われている文章です。

  • 企業コーポレートサイトブログ
  • オウンドメディア見出し / 本文
  • ブログ見出し / 本文
  • アフィリエイト見出し / 本文

インターネット上で、Googleなどの検索エンジンに対し検索上位に表示するための文章術でもあります。検索上位へ表示する技術をSEO(Search Engine Optimization、 検索エンジン最適化)といいます。

主にWebサイトで使われ、コーポレートサイト・オウンドメディア・ブログ・商品やサービスを紹介するECサイトにも使われています。

https://hisashi-media.com/web-writing/

キャッチコピーの名作から具体例を知る

想像力と数百円

糸井 重里さん

新潮社(1984)

これは、糸井 重里が「新潮文庫の100冊」というキャンペーンで書いたキャッチコピーです。ぼくの好きなキャッチコピーのひとつ。

文庫本はたった数百円で人間の想像力を磨いたり広げたりできる。文庫本の価値を再発見しているキャッチコピーだと思います。
7文字という言葉の短さはまったく無駄がなく、まさに端的な言葉で人の注意を引くキャッチコピーだと思います。

https://hisashi-media.com/copy-learn/write-short/

ぼくが個人的に好きなキャッチコピーをいくつか紹介してみます。

おしりだって、
洗ってほしい。

仲畑 貴志さん

1982 TOTO ウォシュレット

年賀状は、
贈り物だと思う。

岩崎 俊一さん

日本郵便年賀状キャンペーン(2007)

結婚しなくても幸せになれるこの時代に、
私は、あなたと結婚したいのです。

坂本 美慧さん

ゼクシィテレビCM(2017)

キャッチコピーは時代を反映するものが多く、世の中に影響を与える言葉も数多くあります。

あなたも好きなキャッチコピーを探してみてくださいね。

再現性のあるキャッチコピーを書くために必要な考え方

さて、ここからはキャッチコピーの考え方を解説していきます。主にイメージコピーについての考え方になります。

ぼく独自の考え方が含まれていますので、ひとつの考え方として参考にしながらあなた自身の考え方を構築していってくださいね。

キャッチコピーの考え方で大切なふたつのこと

ぼくが通っていた宣伝会議コピーライター養成講座では、つぎのふたつをキャッチコピーの考え方の基本としていました。

  • 何を言うか(What to say)
  • どう言うか(How to say)

この考え方は、イメージコピーだけでなくセールスコピー・Webライティングにも当てはまる考え方です。

What to sayは、商品・サービスの何を言うか

商品やサービスをあらゆる視点や観点で分析し、キャッチコピーの切り口を考えます。

その商品・サービスを手にすることで得られるベネフィット(価値)や課題解決の糸口となる切り口を見つけることが大切です。左脳的な論理的思考力・分析力が求められます。

https://hisashi-media.com/copy-learn/benefit-tsukkomi/

How to sayは、商品・サービスをどう言うか

 What to sayで見つけた「切り口」を、人の心を動かす言葉にして表現することが「How to say」です。右脳的な発想力・表現力が必要です。

 左脳と右脳を上手に行き来しながら、キャッチコピーを考えていきます。

思いつきでキャッチコピーを書いてはいけない

キャッチコピーは、ひらめきや思いつきで考えると単なる言葉遊びになってしまう危険性があります。

キャッチコピーは書き手の欲求を満たすものではありません。相手にとってプラスになるポジティブな表現でないと人に心は動かないのです。言葉遊びでは自己満足になってしまうのです。

思いつきで考えないように、What to say・How to sayの基本的な考え方をしっかり身につけておくことが、再現性のあるキャッチコピーを書くコツになると思います。

https://hisashi-media.com/copy-learn/basic-posture/

What to say(何を言うか)の考え方

広告対象である商品・サービスの良さを伝えるために、切り口を見つけることをWhat to say(何を言うか)といいます。

ここでは、僕がキャッチコピーの切り口を見つけるため行なっている具体的な方法と考え方をご紹介します。

切り口はキャッチコピーの出発点

では、キャッチコピーの切り口とは具体的などんなことなのか。具体例をもとに考えてみましょう。

たとえば「文庫本」の切り口を、あなたはどのように考えるでしょうか。切り口とは、簡潔にいえばベネフィット・メリットのことです。

  • 文庫本は、安い
  • 文庫本は、持ち運びに便利
  • 文庫本は、時間を潰せる
  • 文庫本は、硬くて武器になる
  • 文庫本は、想像力を掻き立ててくれる
  • 文庫本は、部屋に並べると落ち着く

なんでもよく、とにかくたくさんの切り口を考えることが大切です。視点や観点を変え・俯瞰してものごとを見つめましょう。

つまり商品・サービスのポジティブな側面を見つけることが、キャッチコピーの切り口になるわけです。

https://hisashi-media.com/copy-learn/benefit/ https://hisashi-media.com/copy-learn/problem-solving/

広告対象を客観的に観察するためにフレームワークを活用する

文庫本の良さ・広告対象である商品・サービスの良さを深く知り、自分なりの視点・観点を持つことが大切です。

やみくもに考えても浮かばないときがあります。そんなときはフレームワークを使うことをオススメします。

5W1Hは、対象が持っている目的や目標・課題を発見するのに便利な考え方です。

https://hisashi-media.com/copy-learn/5w1h/

また、マインドマップで言葉を連想していくことでも、商品・サービスに対して考えは深まり、情報の整理ができます。

https://hisashi-media.com/copy-learn/mind-map/

AIDMA(アイドマ)・AISAS(アイサス)で生活者の行動を想像する

AIDMA(アイドマ)・AISAS(アイサス)は、生活者・消費者が商品・サービスを購入するまでの思考を体系化したマーケティングの考え方です。

AIDMA(アイドマ)とは

生活者・消費者は、商品・サービスを知ることから接点がはじまります。そもそも存在自体を知らないと、最終的な購買・利用にはつながりません。

  • Attention(存在を知り)
  • Interest(興味を持つ)
  • Desire(欲しいと思う)
  • Memory(記憶する)
  • Action(購入する)

それぞれ単語の頭文字をとって、AIDMAとなります。

AIDMAの考え方を知っておく必要があるのは、キャッチコピーを考えるとき、商品と生活者との接点が現在どの段階にあるかを考える必要があるからです。

商品の認知の段階・商品購入の直前では、伝える切り口が変わってきます。もちろん、最終的な表現方法も変わってきます。

新商品が出たばかりの段階では、主に商品名を伝えることが効果的でかもしれません。新商品が出てしばらく時間が経った段階ではメリットや性能を伝えるほうが、生活者の心を動かすかもしれません。

AISAS(アイサス)とは

AIDMAのあとにまとめられた考え方で、インターネットを利用した購買行動のモデルです。

具体的には、SNSやECサイトなどを介して商品・サービスを購入することを指します。

  • Attention(存在を知り)
  • Interest(興味を持つ)
  • Search(検索する)
  • Action(購入する)
  • Share(意見共有する・レビュー・口コミ・SNS拡散)

こちらも同様に、それぞれ単語の頭文字をとって、AISASとなります。

たとえば、Amazonで買い物をする際、商品を検索してレビュー記事を参考にしたりしますよね。SNSで検索・共有する人もいるでしょう。

SNSに使われるハッシュタグなども、キャッチコピーのひとつといえるでしょう。

広告のゴールと切り口の関係性を考える

広告のゴールを明確にして、キャッチコピーの切り口を考えましょう。

  • 商品・サービスの売上向上
  • 商品・サービス認知向上
  • ホームページからの問い合わせ件数増加
  • ホームページのPV増加(ページビュー  Webサイトの閲覧数)
  • SNSなどの拡散

「何を」「どのくらい」達成したら成功なのか。数値化できる目標を決めておきます。おもしろい切り口を考えても、目標を達成できるイメージが湧かないアイデアは採用を控えた方がいいでしょう。

切り口を考えるための取材をする

商品・サービスの良さを伝える切り口を見つけるには、広告対象のこと深く知る必要があります。取材方法はいくつかあるので紹介していきます。

  • クライアントへヒアリング(オリエンテーション)
  • 現場に行って取材する
  • 商品・サービスを実際に使って体験する
  • 書籍・インターネットなどで情報を調べる
  • SNS検索(Twitter検索、Instagram検索)
  • 実際に商品・サービスを使っている人に話を聞く

やはり広告対象を深く知るには、商品・サービスを利用し体験すること・実際に現場に行き自分の目で確かめることが大切だと思います。そこで感じた自分の心や感情の動きをメモしておきましょう。のちにキャッチコピーの材料になります。

逆に機能面やメリット・他の商品との比較は雑誌やネットなどを積極的に活用しましょう。SNSで口コミを検索するのもいいですね。他人の視点をヒントにできます。

マーケティングを活用したキャッチコピーの切り口の考え方

 マーケティングの知識やフレームワークを活用すると、キャッチコピーの切り口が探しやすくなります。ここでは、僕がよく使うフレームワークを紹介します。

  • ターゲット / ペルソナ
  • 3C分析
  • 4P分析
  • カスタマージャーニーマップ
ターゲット / ペルソナ – キャッチコピーを誰に読んでもらいたい人は誰か
ターゲットペルソナ
ターゲット・ペルソナ

 誰に向けての広告・キャッチコピーなのか、人物像を明確にするために、ターゲット・ペルソナを考えましょう。
 ターゲット・ペルソナは同じ意味で捉えられますが、それぞれ違う意味合いがあるので解説していきます。

ターゲットで設定する項目

 ターゲットは、年代・性別・業界などの広いカテゴリーやジャンルに分類するときに用います。

  • 性別
  • 年代
  • 業界
  • 既婚 / 未婚
ペルソナで設定する項目

 ペルソナは、具体的な1人の人物像を細かく設定していきます。

  • 名前(イメージ写真含め)
  • 趣味
  • 価値観
  • パーソナリティー
  • 職業
  • 年収

 ターゲット・ペルソナを明確にすることを、マーケティングではセグメンテーションと言います。

 ターゲット・ペルソナを設定することで、キャッチコピーが書きやすくなります。キャッチコピーは、言葉を受け取った人が「わたしのこと言っているのかも」と、自分ごとに思わせることが大切です。
 世代や性別によって言葉の使い方が違い、生活環境も違うので、ターゲット・ペルソナに合わせた言葉選びなどが、言葉の表現に影響してくるのです。

カスタマージャーニーマップを作る
カスタマージャーニーマップ
カスタマージャーニーマップ

 生活者・消費者が、商品・サービスを購買するまでの「感情」「思考」「行動」のプロセスを図示化したものがカスタマージャーニーマップです。

 生活者・消費者の生活を考え、広告対象である商品・サービスとの接点を探ります。1日の生活の中で、

  • どの時間帯に
  • どんな環境で
  • 誰と一緒にいるときに
  • どんな気分で

 上記のようなことを図示化することで、キャッチコピーの伝え方・表現の仕方を考え、発想やアイデアを広げていきます。

 

3C分析で広告対象の情報整理をする
3c分析
3C分析

 商品・サービスの訴求点や類似商品との差別化できるポイントを明確にするために、3C分析を使います。

  • 市場・顧客(Customer)
  • 自社(Company)
  • 競合(Competitor)

 3C分析で商品・サービスの情報を整理すると、USP(Unique Selling Proposition)がわかります。USPとは競合優位性のことで、他社製品と差別化できる独自の特徴を指します。

 市場では今、何が求められているのかを把握しておくことも大切です。キャッチコピーは時代を反映する言葉が多く、時代に合った言葉は人の心に届きやすいのです。

https://hisashi-media.com/web/3c-analysis/

 マインドマップを使うと、3C分析がしやすくなります。

https://hisashi-media.com/copy-learn/mind-map/
4P分析で流通をイメージする
4P分析
4P分析

 4P分析は、商品・サービスのプロダクトを4つの視点から分析します。

  • 製品(Product プロダクト)
  • 価格(Price プライス)
  • 流通(Place プレイス)
  • 販売促進(Promotion プロモーション)

 その製品は「価値やメリットは何か」「どこで手に入るのか」「価格はいくらなのか」「広告はどこに掲載されるのか」など、把握することに適しています。
 製品によってアピールすべき訴求点が違うので、客観的に情報を整理するために4P分析を活用しましょう。

 キャッチコピーは、広告の掲載場所を想定して考える必要があるため、流通や販売促進の方法などは、あらかじめ確認しておくことも重要です。

  • TVCM
  • ラジオCM
  • 新聞広告
  • 電車つり革広告
  • 街角ディスプレイ広告
  • Web広告
  • ランディングページ
  • SNS広告

 後々になって、苦心して考えたキャッチコピーが掲載場所とマッチしなかった。なんてことになりかねないので、きちんと情報の整理をしておきましょう。

 フレームワークを使うことで、分析や情報のヌケ・モレが無くなります。ここで紹介したフレームワークはほんの一部です。興味がある方は、以下の書籍を参考にしてみてください。

「切り口の数」が最終的なキャッチコピーの本数に比例する

 切り口を見つけることは、キャッチコピーを考える上でとくに重要なプロセスです。商品・サービスの「まだ世の中の人が知らない価値」を探せれば、それだけでインパクトのあるキャッチコピーが書けます。

 大切なことは、広告対象の商品・サービスをいろんな視点・角度で観察し、深く理解することです。

 切り口は抽象度の高い状態の言葉です。このあと、How to say(どう言うか)工程で具体的な言葉や表現を考えていきます。切り口を数多く発見することは、具体的な表現につながるキッカケづくりなのです。

 ここまで紹介した方法論やフレームワークは、単なる手段でしかありません。自分が取材しやすい方法を見つけていく必要があります。なにか考えるヒントになれば幸いです。

切り口はキャッチコピーの「タグライン」になる

 タグラインとは、キャッチコピーを支える短い言葉・アイデアのことです。企業の理念やスローガンなどに使われています。切り口は、ひとことで表現される言葉なので、そのままタグラインとして使うこともできます。

一瞬も一生も美しく

資生堂

やがて、いのちに変わるもの。

ミツカン

お口の恋人

株式会社ロッテ

あしたのもと AJINOMOTO

味の素

水と生きる

サントリー

What to say(何を言うか)がキャッチコピーの作り方の7割を占める

 キャッチコピー制作のプロセスで、What to say(何を言うか)を考えることが、全体の7割を占めると思っています。

 これはプロのコピーライターも言っていることで、商品・サービスのきちんとした取材や情報整理ができていない状態でキャッチコピーを書いても、本質をついた言葉にはならないからです。

 What to say(何を言うか)を考えることは、「思いつき」や「ひらめき」でキャッチコピーを書かないためでもあります。

キャッチコピーのコンセプトの作り方 – 切り口にアイデアを加える

 洗い出した切り口をもとに、そのままキャッチコピーを書いてもインパクトのある言葉にはなりません。切り口にアイデアを加えて、目立つ表現にしていきます。

 キャッチコピーは、人の注意をひく言葉でなくてはならないからです。目立つことは重要なのです。

キャッチコピーのコンセプトを考える

 たとえば、乾電池のキャッチコピーを書くとします。乾電池を使用する場面といえば、テレビやエアコンのリモコンや掛け時計など、家電製品が一般的です。
 ですが、視点を変えてみると、災害時の防災グッズにも重宝するのです。子どものおもちゃにも使われています。

 次の記事では、乾電池のキャッチコピーを考察しています。

https://hisashi-media.com/copy-learn/thinking-constitution/

 コンセプトと見つけた切り口の重なる部分を考えて、具体的なキャッチコピーを考えていくのです。

How to say(どう言うか) – キャッチコピーの表現の作り方 – 考え方(2)

 さてここからは、キャッチコピーの具体的な作り方を解説していきます。What to say(何を言うか)から、How to say(どう言うか)を考えて行きます。

 切り口をから、人の心を動かす言葉に表現を変えていくプロセスです。具体的に3つの段階を踏みます。

  • キャッチコピーを書く
  • キャッチコピーを選ぶ
  • キャッチコピーを磨く

 それぞれ詳しく解説していきます。

キャッチコピーを書く – 作り方(1)

 切り口をもとに、キャッチコピーをたくさん書きましょう。

 たとえば切り口ひとつに対し、10本を目標にキャッチコピーを書くようにします。切り口が10本あれば、100本のキャッチコピーが書けるわけです。

キャッチコピーをたくさん書く理由

 たくさんのキャッチコピー候補から選ぶのか、それとも数本のキャッチコピーから選ぶのか。100本中の1本なのか、5本中の1本なのか。

 当然、たくさんのキャッチコピーから選んだ方がいいですよね。

 頭の中にあるアイデアと言葉を吐き出すように、単語レベルでもいいのでキャッチコピーを書いてみましょう。たくさん書くことによって、次の「キャッチコピーを選ぶ」プロセスにつながります。

 たくさんキャッチコピーを書ける人は、コピーライターとしての実力があると言っても過言ではありません。頑張りましょう!

キャッチコピーの数を量産するコツ

 僕がオススメする方法は「大喜利」を使って考えることです。

https://hisashi-media.com/copy-learn/ogiri-idea/

 キャッチコピーは注目されることが大切です。インパクトのあるキャッチコピーには「クスッ」っと笑えるユーモアがあったりします。

 大喜利を使って考えることで、人を笑わせよう楽しませようというサービス精神が生まれます。韻を踏んだり、言葉遊びやダブルミーニングなど、頭を柔らかくして柔軟な発想を引き出しましょう。

 他の方法として、

  • 視点を自分以外の他人に置き換えて書く
  • 話し言葉で書く
  • 数年後・過去など、時間軸をズラして考えてみる

 キャッチコピーはアイデア勝負です。発想の飛躍がカギです。

 他の人が思いつかないようなキャッチコピーに出会うまで、粘り強く根気よく考えましょう。キャッチコピーは自分との対話であり、自分との戦いです。

キャッチコピーは短く書こう

 キャッチコピーを考えていると文字数が多くなりがちです。広告対象を深く知れば知るほど、多くを伝えたい気持ちになるからだと思います。

 しかし、キャッチコピーは「短ければ短いほうがいい」とされています。キャッチコピーは一瞬の勝負なので、言葉の意味を理解しやすく、インパクトのある短いキャッチコピーのほうがいいのです。

https://hisashi-media.com/copy-learn/write-short/

 長いキャッチコピーは、最後まで読んでもらえない可能性があるので注意が必要です。

 キャッチコピーを短く書く理由は他にもあります。SNSでの拡散や口コミなどでキャッチコピーが流通しやすい点も挙げられます。

ボツにしたキャッチコピーは「ボディコピー」に使える

 100本書いたキャッチコピーは決して無駄にはなりません。ボディコピーとして使えるからです。

 ボディコピーとは、キャッチコピーの後に読んでもらいたい、まとまった文章のことです。キャッチコピーでは伝わりきらない想いや詳細を伝えるためにあります。

 キャッチコピーの一つひとつは短い文章ですが、広告対象の情報がいっぱい詰まっているはずです。接続詞などでつなぎ、文章の構成を考え、言葉を整えることで、ボディコピーとして成り立つのです。

 新聞広告やチラシには必ずといっていいほど、ボディコピーが添えられています。

https://hisashi-media.com/copy-learn/copy-write-lot/

キャッチコピーを選ぶ – 作り方(2)

 書き出したキャッチコピーの中からいいキャッチコピーを選びます。キャッチコピーは書く力も大切ですが、同じぐらい選ぶ力も重要なのです。

「いいキャッチコピー」を選ぶ基準を考える

 人の感情が動かなければ、いいキャッチコピーとは言えません。「人の心が動く言葉」かどうかをひとつの基準にしてください。
 それに加え、広告主、広告対象である商品・サービスの課題解決ができている言葉かどうかも重要な視点になります。

人が動くキャッチコピーにあるもの

 人が動くとは、次のようなことです。

  • 人の心を動かす(感情)
  • 人の頭を動かす(脳の記憶)
  • 人の体を動かす(行動)

 記憶に残るキャッチコピーも人を動かしたことになります。ブランドの認知やイメージの向上は、人の記憶にアプローチしているのです。

 あなたの書いたキャッチコピーは、ターゲット・ペルソナを振り向かせたでしょうか。

 おさらいになりますが、人の感情が動くには次のようなことが含まれています。

  • 新しい発見や気づきがある
  • 共感できる
  • 実感が湧く
  • 納得できる

 キャッチコピーにこれらの感情が含まれていなければ、成果を出すことは難しいでしょう。

 自分の書いたキャッチコピーで、自分の感情が動くのかも大事ですね。

商品・サービスにキャッチコピーを配置してみる

 最終的にキャッチコピーは、広告として掲載されます。

  • TVCM
  • 新聞広告
  • 電車つり革広告
  • ポスター
  • 企業ブランディング / スローガン
  • Webサイトメインビジュアルのキャッチコピー

 実際に配置してみて、キャッチコピーに違和感がないか確認をしましょう。

キャッチコピーを声に出して読む

 人はキャッチコピーを脳内で読みます。文章のリズムや読み方・言い方を確認するために、音読しましょう。

 キャッチコピーに、言いにくさや違和感・リズムやテンポの悪さなどがあれば、読み手も同じように、端切れの良さなどを感じます。

 声に出すと客観的に判断しやすくなるので、絶対に音読して確かめましょう。

他人にキャッチコピーの意見を聞く

 他人にキャッチコピーの感想を聞くことも有効な手段です。

  • キャッチコピーを学んでいる人
  • 正直な意見を言ってくれる仲間
  • 複数人に聞いてランキングを決める

 いろんな感想がほしいからといって、やたらめったら他人に意見を求めるのはオススメしません。多様性が生まれすぎて迷ってしまい、自分の意見を信じなくなるからです。信頼のおける何人かだけに絞って意見を聞きましょう。

https://hisashi-media.com/copy-learn/select-copy/

キャッチコピーを磨く – 作り方(3)

 選んだキャッチコピーを洗練させていきましょう。キャッチコピーを磨くことは、最後のプロセスになります。

  • 話し言葉にしてみる
  • 漢字・ひらがな・カタカナにしてみる
  • 逆説的な言い方にしてみる
  • 主観的 / 客観的視点で言葉を変える
  • 類語を探す
  • 「てにをは」の省略
  • 改行、句読点の位置を変える
  • 倒置法で表現する
  • 比喩表現を使う

 レトリックを使い、納得のいくまでキャッチコピーの表現を探りましょう。キャッチコピーを磨く時間は楽しいですよ。

 ここでひとつ注意が必要です。コピーライター養成講座で口酸っぱく言われたことは「キャッチコピーを磨くことから考えるな」でした。

 What to say(何を言うか)がきちんと考えられてない状態でキャッチコピーを磨いても、絶対にいいキャッチコピーにはたどり着きません。出発点が間違っているままだと、ゴールに辿り着くことはないですよね。

 キャッチコピーを磨く技術よりも「キャッチコピーを書く力」「キャッチコピーを選ぶ力」が重要なのです。

キャッチコピーの作り方はコピーライターによって違う

 キャッチコピーの作り方はコピーライターによって違います。今回紹介している方法は、僕の思考法でキャッチコピーの作り方のひとつに過ぎません。

 あなたは、あなたのキャッチコピーの作り方を考えていきましょう。

大喜利の考え方でキャッチコピーを書く

 誰も思いつかないアイデアが欲しい時。大喜利でキャッチコピーを考えるのはどうでしょうか。

  • ▲▲▲は、〇〇〇だ!
  • こんな〇〇〇は嫌だ!
  • ▲▲▲の目線で言えば
https://hisashi-media.com/copy-learn/ogiri-idea/

 キャッチコピーを考える上で、他人とアイデアが同じになることが一番避けたいことです。でもそう簡単に奇抜なアイデアはでないですよね。
 そんな時は大喜利で頭を柔らかくして柔軟に考えてみてください。参考までですが、コレが僕のオリジナルな考え方です。

キャッチコピーのトレーニング方法

 キャッチコピーを考える上で「キャッチコピー脳」を鍛える必要があります。具体的なトレーニング方法をまとめてみました。

https://hisashi-media.com/copy-learn/training/

Twitter(ツイッター)を活用してキャッチコピー脳を鍛える

 ツイッターは文字数制限があるので、端的に伝えたいことを書かなくてはいけません。キャッチコピー練習にはもってこいのツールです。また、フォロワーからの反応がもらえる機能も、人の反応を知る指標になります。

https://hisashi-media.com/copy-learn/studying-twitter/

 ツイッターを利用しているコピーライターも多いので、情報収集ができるのも便利です。

公募に応募してキャッチコピーの実績を作る

 積極的にキャッチコピーの公募に応募しましょう。評価を得ること、実績を作ることがキャッチコピーの上達とモチベーションの維持につながります。

https://hisashi-media.com/copy-apply/sendenkaigi-award-2020/

 ここまでが、コピーライティングの考え方・作り方のコツでした。

 この考え方は「イメージコピー」「セールスコピー」「Webコピー」すべてに使える考え方です。なにか参考になればうれしいです。

キャッチコピーを学ぶと人生が豊かになる

 キャッチコピーを学ぶと、普段から言葉に意識が向くようになります。いい言葉を使えば、良い習慣が身につき、人生は豊かになると思っています。

 生活の中で、目標管理や自分の思い込みを変えるために、キャッチコピーを使ってもいいのです。

https://hisashi-media.com/column/affirmation/ https://hisashi-media.com/column/smart-law/

 最後に、本気でコピーライターを目指す人は、宣伝会議のコピーライター養成講座に通うことをオススメします。現役コピーライター・クリエイターとも繋がれるチャンスもあります。

 なにより、同じ目標に向かって努力する仲間はかけがえのない財産になります。

https://hisashi-media.com/copy-learn/training-course-reputation/

 ここまで読んで頂いてありがとうございました。

 あなたの、キャッチコピーの作り方の参考になればうれしいです。

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