キャッチコピーを学ぶ

キャッチコピーは100本書いてから選ぶ

 キャッチコピー、100本書きましょう。

 ひとつのテーマに対し100本書いた中から「これだ!」と思うキャッチコピーを選びましょう。

 こんにちは、寿(ひさし)です。

 僕は2020年に、宣伝会議コピーライター養成講座を受講しました。現役コピーライター講師のみなさんは口を揃えて言います。

 「キャッチコピーは書けるだけ書きなさい」

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 キャッチコピーの「数」を書けることは、コピーライターの資質です。数を書けない人は、努力して数を書くための論理や方法を身につける必要があります。

 なぜ数を書くことが重要なのか。

 数を書くには理由があります。数を書くための方法論もあります。決して精神論や根性論ではありません。

 100本という数字はあくまで目安です。「たくさん書いた方がいい」といった意味で捉えてください。

 この記事は、以下の本を参考にしています。

 なにか、お役に立てればうれしいです。

キャッチコピーを100本書いたほうがいい理由

 キャッチコピーを100本書く理由は、

  • キャッチコピーの「切り口」がたくさん発見できる
  • たくさんのキャッチコピー候補の中から「キャッチコピーを選ぶ目」を養うことが出来る
  • 100本書いたら「いいキャッチコピーになる」言葉がある

 中でも大事なのは、キャッチコピーの「切り口」を見つけることです。さまざまな視点に立ってキャッチコピーの発想やアイデアを多く見つけることが、いいキャッチコピーに辿り着くために必要なのです。

キャッチコピー制作のプロセスは「散らかす」「選ぶ」「磨く」

 キャッチコピー制作は「散らかす」「選ぶ」「磨く」この3つのプロセスで考えます。キャッチコピーを100本書くために、制作のプロセスを理解しておきましょう。

キャッチコピーを「書き散らかす」

 とにかく、書き散らかしましょう。

 思いつきでも、単語レベルでも構いません。書けるだけ吐き出すように言葉を書きましょう。料理でいうなら材料を用意する工程です。 
 商品・サービスのメリットやベネフィット・競合優位性(USP)など、何でもよく、ネットで調べた言葉やキャッチコピーでも大丈夫です。

 缶ビール」を例にしてみます。

思いつきでキャッチコピーを書く

 その商品・サービスに対して、自分が感じているイメージや感情を思いつくまま書いてみます。

  • のどごし爽やか
  • いい仕事ができた後に
  • 仲間との乾杯
  • 苦味がたまらない
  • 外で乾杯できる
  • 公園で話し込む時には、缶ビール
  • 蓋を開ける音がたまらない
  • とりあえずビール
  • 最近ビールが美味しくなってきた、大人になった証拠
  • 注ぐより、缶ビールの方が乾杯しやすい

 キャッチコピーの分類をしやすくするために「マインドマップ」を活用するのもオススメです。

マインドマップの書き方 - 初心者向けルールの解説マインドマップは脳内を可視化するツールです。悩みの原因を探ったり、新しいアイデアを生み出したり、記憶の定着率を上げたりと、活用方法は多岐に渡ります。基本的な書き方・用語・ルールを覚えれば簡単に使用することができます。具体例を解説しながら、マインドマップ紹介しています。...

ターゲット(視点)を変えてキャッチコピーを書く

 自分以外の「他の誰か」になって考えてみます。ここでは「新入社員」になってみました。

  • 仕事がうまくいった夜は、贅沢なビールで乾杯
  • 先輩に奢ってもらった缶ビールが忘れられない
  • ビールが似合う大人になった
  • 同期とは公園で乾杯
  • 大人は苦味の違いがわかる
  • 缶ビールを開ける音が好きだ
  • 高級なお店より、外で飲む缶ビール
  • とりあえずビールが様になってきた
  • のどごしの意味がわかるようになってきた

 ターゲット(視点)を変更してみましょう。人物に限らず、モノや動物・俯瞰的な視点も加えてみます。

  • 神様
  • 犬・猫
  • 海外の人
  • 高校生

 まじめに考えず、遊び心を持って書くと発想が広がります。「大喜利」は発想やアイデアを飛躍させてくれる強力なフレームワークといっても過言ではないかも。

大喜利で考えるキャッチコピーの切り口
大喜利で考えるキャッチコピーの切り口キャッチコピーが全く思いつかないことがあります。そんな時は大喜利を使って発想すると、思いがけないアイデアが出てくることがあります。同じようなつまらない言葉ばかり。そんな時は頭が硬くなっていると思うんです。大喜利をしてみてください。...

「(商品)は、〇〇」でキャッチコピーを書いてみる

 発想を広げるために「缶ビールは、〇〇だ」と、ひとことで表現してみます。

  • 缶ビールは、冷蔵庫にいつもいれておくと安心だ
  • 缶ビールは、時期によって味わいがある
  • 缶ビールは、グラスに注いだほうがおいしい
  • 缶ビールは、昼に飲んでもうまい
  • 缶ビールは、冷蔵庫でキンキンに冷やしておく

 広告対象に「疑問」や「問い」を投げかけることが、ベネフィットを探るきっかけになります。ツッコミを入れて、その商品・サービスの価値を見つけていきましょう。

「なんでやねん!」 - 商品にツッコミを入れてベネフィットを考える
「なんでやねん!」 - 商品にツッコミを入れてベネフィットを考える商品のベネフィットを上手く見つけられない。商品・サービスにツッコミを入れるとベネフィットが簡単に見つかります。会話形式にすることで頭を柔軟にして考えて行きます。ひとつの方法としてご覧んください。...

キャッチコピーを「散らかす」とは、なにをしているプロセスなのか

 「散らかす」は、商品・サービスの良さを伝える「切り口」を見つけるためにあります。その商品・サービスに対して自分が持っている「視点」が、キャッチコピーの本数に比例してきます。

 数を書けない人は「商品・サービスに対して調べる」「商品・サービスを実際に体験する」「人から商品・サービスのこと話を聞く」これらの時間や行為・行動を増やしてみてください。

 プロのコピーライターも「現場取材・体験が9割」だそうです。

 結局いくら調べても、体験・経験には敵わないのかも知れません。商品に対する興味の深さ・幅が、切り口の数と言葉の強さに比例してくるのです。

 自分の中に溜め込んだ言葉を吐き出すことが「書き散らかす」工程なのです。

ベネフィットの意味 - メリットとの違いベネフィットって何?メリットと何が違うの?マーケティング用語でよく使う「ベネフィット」。この記事では「ベネフィット」の正確な意味を「メリット」との違いを交え解説します。どんな場面「ベネフィット」は必要になるのかも具体例を挙げています。...

キャッチコピーを「選ぶ」

 書き散らかしたキャッチコピーは、選んで片付けましょう。

 書き散らかしたキャッチコピーの中から「いいキャッチコピー」を選びます。書き散らかしたキャッチコピーは予選のエントリーです。本戦に進出できるキャッチコピーを選抜していきます。料理でいうなら調理開始、レシピに合わせて食材を選んでいくのです。

 さて、どちらが最終的に、いいキャッチコピーを選ぶことが出来るでしょうか。

  • 5本のキャッチコピー候補から、1本のキャッチコピーを選ぶ
  • 100本のキャッチコピー候補から、1本のキャッチコピーを選ぶ

 当然、たくさんのアイデアからキャッチコピーを選ぶほうがいいでしょう。ここでキャッチコピーを100本書く意味が出てくるのです。

何を「基準」に、どのような「根拠」や「理由」でキャッチコピーを選びますか?

 広告に掲載するキャッチコピーは最終的に1本です。

 キャッチコピーを書き散らかしてからキャッチコピーを選ぶことには、もうひとつ大きな理由があります。それは「自分がいいキャッチコピーを選ぶ基準」を鍛えているのです。

いいキャッチコピーを「選ぶ」コツ
いいキャッチコピーを「選ぶ」コツ書く事より難しい「いいキャッチコピーを選ぶこと」。いいキャッチコピーを選ぶには、自分の基準を持つことが大事になります。キャッチコピーの選び方を解説し、選ぶ基準を持つための訓練方法を解説しています。 ...
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いいキャッチコピーには課題解決がある広告の役割ってなんだろう。いいキャッチコピーには課題解決があります。商品・サービスが抱えている本質的な課題を言葉によって解決する機能があります。生活者の心と感情を動かし、能動的に行動するような言葉を考えましょう。...

キャッチコピーを「磨く」

 選んだキャッチコピーは、大事に育てましょう。

 選んだキャッチコピーは「磨いて」言葉の表現を洗練させます。キャッチコピーを選ぶプロセスで、いいキャッチコピーが選べていなければ「いいキャッチコピー」には近づけません。

  • 「てにをは」を見直す
  • 句読点の位置を見直す
  • 言葉のリズムを見直す
  • 口に出して読んで観る
  • 類語で言い換える
  • 口語・文語などの使い分け
  • 比喩・隠喩で表現してみる
  • 主観・客観で言い換えてみる

 キャッチコピーを磨く方法は多種多様にあります。コピーライターによって十人十色で、コピーライター養成講座の講師であるプロのコピーライターも人それぞれでした。

 あなたは、あなたの磨き方を考えていく必要があります。

キャッチコピーを磨くだけでは、いいキャッチコピーにならない

 キャッチコピーは「磨く」ことにこだわり過ぎること、つまり、言葉のレトリックの部分だけに注力しやすいので注意が必要です。それは、キャッチコピーに詩的な表現や世界観を表現しやすい作品性があるからでしょう。

 ですが、キャッチコピーは広告です。クライアント企業の課題解決に貢献することが目的なのです。本来の目的を見失って、言葉を磨くことだけに注力するのはやめましょう。

 たくさんの切り口・アイデアを考えること、見つけることがコピーライターの本質です。その土台の上で、人の心を動かす言葉・キャッチコピーにして表現することが大切なのです。

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キャッチコピーを「100本書くこと」を目的にしてはいけない

 キャッチコピーを100本書くことは、いいキャッチコピーを書くための目標でしかありません。

 言ってしまえば、1本目でいいキャッチコピーが見つかれば問題ないわけです。ですが、現役コピーライターでさえ「キャッチコピーをたくさん書きなさい」と教えているのです。なぜか。

 広告対象が変われば、基本に立ち返り、思考を巡らせることがコピーライターの作法なのです。その商品・サービスの「まだ世の中に知られていない価値」を発見するためには、それ相応の時間と思考の量が必要なんだと思います。

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コピーライターの基本姿勢とは - 「なんかいいよね」禁止  コピーライターは「なんかいいよね」を禁止してください。  コピーライターの「谷山 雅計(たにやま まさかず)」さんは、ご自身の...

 キャッチコピーは、アイデアが短い言葉に表現されているに過ぎません。ひとが思いつかないアイデアを考えるために、キャッチコピーを100本書いて可能性を探りましょう。

 まだ見つかっていない言葉を、一緒に考えていきましょう。

 何か、あなたのヒントになればうれしいです。

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