いいキャッチコピーには課題解決がある
いいキャッチコピーには、課題解決があります。
コピーライティングは、クライアント企業が抱える商品・サービスなどの本質的な課題を解決する言葉の技術です。
こんにちは、寿(ひさし)といいます。
キャッチコピーは広告です。そもそも広告の役割とはなんでしょうか。クライアント企業は広告を出稿・掲載することで、たとえば商品・サービスの、
- 認知を広げたい
- 興味をもってほしい
- イメージアップをしたい
- クリックしてほしい
- 問い合わせをして欲しい
- 買って欲しい
- 思い出してほしい
- 誰かに伝えてほしい
これらの「生活者・消費者に対しての働きかけ」を期待しています。つまり、広告の目的は「生活者の能動的な行動を促す」ことなのです。
クライアント企業が抱える課題とは、最終的な利益(売上やブランドイメージ)の向上で、キャッチコピーは解決の手段でなければならないのです。
この記事では、課題解決にはどんな要素が含まれているか、考えてみたいと思います。
なにか、あなたのヒントになればうれしいです。
人の心や感情に語りかけるキャッチコピーが課題解決につながる
言葉による課題解決を成功させるには、人の心や感情に語りかけるキャッチコピーである必要があります。
- 新しい発見があった時
- 納得できる説明があった時
- 共感できることに出会った時
- 心をくすぐるユーモアに出会った時
これらは、人の心や感情を動かすきっかけになり、生活者・消費者の能動的な行動を促します。
広告の目的と、言葉による課題解決との関係性を忘れないように、キャッチコピーを考えていきましょう。
https://hisashi-media.com/copy-learn/basic-posture/「文庫本」という商品のキャッチコピーを例に考えてみる
「文庫本」を例に、課題解決のあるキャッチコピーを掘り下げてみます。
昨今、電子書籍の登場や娯楽の多様化があり、書店で文庫本や本・雑誌を買う人が減っていると思います。
では、どんなキャッチコピーを書いたら書店で文庫本を買う人が増えるでしょうか。
文庫本と電子書籍を比較すると、以下のようなことが浮かんできました。
- 文庫本は、充電を気にしなくていい
- 文庫本は、本棚に並べると壮観(電子書籍は場所をとらないが、味気ない)
- 文庫本は、貸し借りしやすい
- 文庫本は、書き込んだ手書き文字が思い出になる
- 文庫本は、しおりを選ぶことが楽しい
- 文庫本は、売れる
- 文庫本は、読み終わったら人にプレゼントできる
- 文庫本は、西日焼けする
- 文庫本は、枕にできる
思いつきですが、この中に文庫本特有の「発見」「納得」「共感」「ユーモア」があれば、商品の切り口、つまりキャッチコピーのアイデアとして、発想を広げられます。
「そういえばやっぱり、文庫本っていいよな」
生活者・消費者のそういった気持ちの変化があれば、実際に手にとって購入を検討するでしょう。キャッチコピーが行動を促したと言えます。
課題解決のあるキャッチコピーには、人の感情の動きが必要なのです。
https://hisashi-media.com/copy-learn/benefit-tsukkomi/「文庫本」の名作キャッチコピーを知る
想像力と数百円
糸井 重里さん
新潮社(1984)
このキャッチコピーは、糸井 重里さんの代表作ともいえる言葉です。僕の大好きなキャッチコピーです。
読書の価値は人間の想像力を掻き立てることにあります。文庫本はたった数百円で、想像力を磨いたり広げたりできるものだと、価値の再発見を提示していると思います。
僕はこのキャッチコピーに共感し、無性に小説を読みたくなりました。
みなさんはどんな解釈をしますか?
描写だけのキャッチコピーは書いてはいけない
描写だけのキャッチコピーとは、機能説明や状況説明、情景を描いただけの言葉です。
「缶ビール」のキャッチコピーを考えるとします。
- キレのある辛口
- 麦100パーセントの味わい
- プリン体0!糖質カット!
- のどごし爽やか
- 春味の季節
これらの言葉は、缶ビールの、味や原材料・特徴を説明しているだけに過ぎません。缶の成分表に書いてあることをそのままキャッチコピーにしても意味がありません。また、世の中の人がわかりきっていること・競合他社製品との差別化を伝えても、キャッチコピーは目立たず、それほどインパクトを生まないのです。
これでは生活者・消費者の心と感情が動き、キャッチコピーによって能動的な行動を促すことは難しいでしょう。
解決のあるキャッチコピーに変化させる
そこで、ベネフィットのあるキャチコピーを考えます。ベネフィットとは「商品(缶ビール)を手にすることで、もたらされる価値・生活の豊かさ」のことです。
みなさん、ビールはどんな時に飲みたくなりますか?
- 仕事を頑張った自分へのご褒美
- 嫌なことがあり、気分を変えたい時
- お風呂上がりにシュワっとしたい
- 仲間とのコミュニケーションを円滑にするため
- オンライン飲み会の乾杯に
これらは生活者・消費者の感情に寄り添った具体的なシーンが描かれています。「悩み」「快楽」などの感情を含んでいて、人それぞれの「課題」を解決する糸口として考えられています。
https://hisashi-media.com/copy-learn/benefit/生活者の本音(インサイト)を考えてキャッチコピーを書こう
キャッチコピーを考えていると、商品・サービスの特徴やメリットばかりを伝えるキャッチコピーになりがちです。
広告対象の商品・サービスの特徴やメリットを知れば知るほど感情移入し、それらを伝えたい気持ちになってくるのです。ですが生活者が知りたいのは、商品・サービスの特徴ではなく「その商品・サービスを使うことによって、どんな課題が解決され、豊かな生活を送れるのか」が知りたいのです。
クライアント企業・広告主側の視点に立ち過ぎてしまうと、生活者との距離が遠くなり・接点も無くなっていきます。そうなると、生活者の本音の課題(インサイト)がわからなくなってしまうのです。
コピーライターの仕事は、生活者と広告対象の橋渡しをすることです。課題解決の意識を持ってキャッチコピーを書いていきましょう。
最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。
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