大喜利が面白い人・芸人の特徴とは?人とは違った発想をするための右脳と左脳の使い方
プロの芸人って、なんであんなに面白い答えがポンポン思いつくの?
ぼくはこの問いの答えを必死で探していました。
というのは、ぼくは当時芸人をしていて、漫才のネタづくりで大喜利をしていましたし、舞台でも大喜利のコーナーに出演していたからです。
結局当時は大喜利のコツは掴めずに、感覚だけで大喜利をしてスベりまくりました。
芸人をやめてからもずっと「大喜利の面白い人は、どんな思考なんだろう」と考えていました。そして、数年が経ってわかりました。
ぼくはですね、右脳と左脳の使い方にあると思っています。
右脳は映像をイメージする能力。
左脳は理屈を組み立てる能力。
大喜利の面白い芸人は、右脳と左脳、そのどちらも大喜利のお題によって使い分けているように思います。
こんにちは、のざき寿(ひさし)といいます。元お笑い芸人です。キャッチコピーは大喜利を答えるように考えています。
大喜利とは、お題に対して面白い答えを考えるシンプルな演芸です。
シンプルながらアイデア力・発想力が試されるとても奥の深いこととして、ビジネスシーンで大喜利が取り上げられることがあります。
大喜利の面白い人は企画力があり、ものごとを例える力や類推的(アナロジー)な思考にも長けています。アナロジー思考とは、簡単にいえば未来を予測する力です。
また、面白いキャッチコピーを書く人も大喜利力が高い傾向にあります。
その大喜利力はどのようにして鍛えられるのか。
元お笑い芸人の視点から、大喜利の面白い人の特徴について解説したいと思います。
ちなみにぼくの大喜利の実績をご紹介すると、公募ガイドさんの大喜利コーナーで回答が掲載されたことがあります。
大喜利力を向上させて、仕事やプライベートを面白おかしくしていきましょう!
大喜利の回答が面白いとは
大喜利の面白い人の特徴を語る前に、
まず「大喜利が面白い人」の定義をしたいと思います。
面白いとは
たとえば舞台上であれば、観客の笑い声でしょう。
なぞかけならば「うまいこと言う」が正しくなることもあります。
ここで扱う大喜利は、フジテレビ「IPPANグランプリ」のような、純粋に発想や想像力・切り口などで評価する大喜利です。
単に発想が飛躍しているだけでなく、その上で面白いかどうかが基準になります。
大喜利のお題・大喜利のコツに関して詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ。
面白いという観点とは
では、どこで発想が飛躍している・想像力が長けていると判断すればいいのか。
ぼくが思うひとつの基準として「それは思いつかなかった」があります。
たとえばスティーブ・ジョブズが発明した「iPhone」。今までになかった革新的な携帯電話の形でした。
「iPhone」はひとつの大喜利の回答といえます。
では、この大喜利のお題はなんだったのかを考えてみます。
大喜利です
こんなお題が、世界を席巻する先鋭的なアイデアを生んだのかもしれません。
声を出して笑う他にも「世の中を面白くする」という意味において、iPhoneは面白い回答だったと思います。
今でこそ当たり前にあるiPhoneですが、当時はだれも思いつかなかったのです。
笑いのツボは人それぞれだが
笑いのメカニズムとして、緊張と緩和があります。
緊張感のある状況では、ちょっとした間の抜けた出来事や瞬間が緩和になり、笑いに変わるという現象です。
もうひとつ「裏切り」というメカニズムがあります。
「こう展開すると思っていたのに、予想外の結末だった」というようなことです。
たとえば、映画の結末がバットエンドだった。みたいなことです。
プロのお笑い芸人はこうした笑いのメカニズムを知り尽くしています。そしてメカニズムを利用した上で誰も思いつかない回答をくり出します。
定義としては少し抽象的になってしまいますが、
- 緊張と緩和
- 裏切り
このふたつの観点を、大喜利の回答として「面白い」と定義したいと思います。
大喜利が面白い人の右脳の使い方とは
さてここからは、大喜利が面白い人の特徴を「右脳と左脳」という視点から解説していきたいと思います。
まずは右脳から。
右脳は発想や想像力・客観的な視点・俯瞰的な視点の大喜利力を支えています。
客観的な視点・俯瞰的な視点を持っている
たとえば、カメラで写真を撮るとします。
カメラの撮り方はさまざまです。
- 望遠レンズで撮る
- 広角レンズで撮る
- フィルターを入れて撮る
- 誰かになりきって撮る
- 数年後をイメージする
- 過去をイメージする
これらはものの見方・捉え方「どう撮るか」という客観的な視点で、
- 正面から撮る
- 横から撮る
- 真下から撮る
- 真上から撮る
これらは「どこから撮るか」という俯瞰的な視点です。
大喜利は、この客観的・俯瞰的な視点で状況を見つめる能力が必要になります。
たとえばバカリズムさん。「その角度があったか」「そのパターンがあったか」「その切り口があったか」など、他の芸人とは一線を画した視点の回答が次々と出てきます。
比喩(直喩・隠喩)表現や例えツッコミが上手い
「〜ようだ」「時は金なり」のような、何かに例える能力も大喜利には必要です。
たとえばフットボールアワーの後藤さん・南海キャンディーズの山里さん。たとえツッコミが上手いです。
品川庄司の品川さんを「おしゃべりクソ野郎」と例えた有吉さんもすごいですね。
瞬時に思いつくものあると思いますが、おそらくおもしろい比喩表現を日頃から考えているのだと思います。
絵やイラストが上手い
頭の中で広がっている映像を表現する能力に長けています。
大喜利は絵や図・イラストで伝えた方が直接的で面白くなる場合がります。
たとえば「ドラゴンボールの孫悟空が、」と言葉で伝えるより、悟空の絵を描いてしまったほうが伝わる速度は早いし、見た目も面白くなります。
漫画家の和田ラヂヲさん。大喜利の大会で優勝するなど、プロの芸人も一目置いています。漫画の面白さは誰もが知るところで、シュールな発想と作風、それにネタ数の多さ。その才能は大喜利でも驚異的です。
頭の中で世界観を再構築できる
世の中にあるさまざまな世界、ヤクザの世界・メルヘン・セレブ・貧乏・人・モノ、などが頭の中でイメージできています。
笑い飯の西田さんが印象的で、頭の中でイメージとして世界が再構築できるのでしょう。そして再構築された世界の中で面白い出来事を起こすことができる。大喜利の回答からそんな印象を受けます。
新しい世界観を生み出す能力
千鳥の大悟さんは、聞いたこともない言葉を生み出します。
千鳥の漫才には「ベニズワイガニ エビミ」「ヨダレダコ」「ポカリガワ」など、突拍子もないキャラクターが登場します。
聞いたことない言葉・現実的にはありえない世界を生み出すこと、発想力や想像力を使って独自の世界観を生み出すことも、大喜利には必要な能力です。
大喜利が面白い人の左脳の使い方とは
今度は左脳的な大喜利について解説していきます。
左脳は、分析・計画性・言語を扱う領域です。大喜利の見せ方・回答を見せる順番を考える力を左脳が支えています。
情報量・知識が豊富
大喜利の面白い人は、そもそもの知識や情報量が多いです。知識量に比例して大喜利力が高い傾向にあると思います。
大喜利は、課題(お題)に対しての解決策(回答)です。「解決策をいくつ考えることができるか」それが大喜利の本質だとぼくは考えています。
解決策やアイデアを生み出す公式は次の通りです。
つまり知識や情報がないとアイデアは生まれないということ。
インテリ芸人ほど大喜利能力が高い傾向にあります。麒麟の川島さんは、発想力もさることながら持っている情報量もすごいですね。
サブカルチャーに精通していて専門知識がある
サブカルチャーや芸能ゴシップなど、ある特定の分野に特化した深い知識を持っているように思います。
ケンドーコバヤシさんの大喜利には、プロレス・漫画・アニメなどのマニアックな情報が入っていたりします。
雰囲気やニュアンスを伝えることが上手いので、わからなくても面白く聞こえてきますよね。
大喜利の出し方・言い方・表現が面白い
大喜利は回答の面白さだけではありません。表現力もかなり大事な要素となります。
- 声のトーン・話すスピード
- 回答を出すタイミングや間の取り方
- 緊張感の作り方
- 文字・絵など、表現方法の選択
回答の出し方を間違えてしまうと、せっかくの面白い答えも台無しになってしまいます。
ロバートの秋山さんは回答自体も面白いですが、回答の言い方、顔だけでも笑ってしまいますよね。
際立つキャラの憑依型コントを得意としているので、大喜利でもその能力が発揮されています。
回答の順番・構成を考えられる
ひとつのお題に対し、3つの回答が浮かんだとします。
どの回答から答えていくか、回答する順番はとても大事です。
発想の飛躍が手前ものから回答しないと、大きく飛躍した回答はウケません。要するに、現実的なことから非現実的な回答へと、徐々に飛躍させる必要があるわけです。
回答の構成力も大喜利では重要な能力といえます。
お題への掘り下げ方が深い
大喜利は、面白ければどんな回答でもいいというわけではありません。
大喜利には「とんち」の要素もあるので、納得感がない回答は笑いにつながらないことがあります。
大喜利の面白い芸人ほど、お題に沿った回答をします。
- お題から外れた回答
- ルールを無視した回答
- 関連性の薄い回答
このお題に対する掘り下げ方がすごいのが、千原ジュニアさんです。面白い回答の中に、どこか納得感といか腑に落ちる回答が多い印象があります。
右脳と左脳を行ったり来たりさせて回答する
ここまで紹介した、右脳と左脳の使い方。
大喜利では、右脳・左脳を高速で移動させて回答を考えていきます。
大喜利脳の使い方
- 左脳でお題を分析する
- 右脳でお題の世界観をイメージする
- 左脳で知識や情報・語彙を探す
- 右脳で切り口や視点・フォーカスを変えていく
- 左脳で回答の順番を考える
- 右脳で観客の反応をイメージする
- 左脳で伝え方・表現方法を考える
回答する。
こうして、右脳と左脳を行ったり来たりさせて回答してみてください。
キャッチコピーを大喜利的に考えてみよう
ここまで紹介してきた「大喜利の面白い人」の特徴は、いいキャッチコピーを書くコピーライターにも通じるところがあります。
ぼくがキャッチコピーを学んだコピーライター養成講座では、大喜利の授業がありました。
大喜利をすることで、だれも思いつかないユニークなアイデアに辿り着けるかもしれません。
キャッチコピーの発想に困ったときは、大喜利で頭を柔らかくして考えることもひとつの方法です。
ぼくはキャッチコピーを考えるときに、大喜利をするようにしています。
大喜利・キャッチコピーの公募に挑戦してみよう
大喜利力を試したいなら、公募に挑戦するといいですよ。
公募ガイドでは、大喜利の公募情報がたくさん掲載されています。
ぼくは大喜利の公募で回答が選ばれました。そして公募の賞金で累計10万円のお小遣いをゲットしました。
キャッチコピーの副業に挑戦してみよう
大喜利力があると、キャッチコピーのアイデアも考えやすくなります。
クラウドワークスでは、キャッチコピーの案件がたくさんあります。
大喜利力を鍛える意味で、案件に応募してみるのもいいと思います。もし採用されれば収入になるし、もしかしたらコピーライターの道も開けてくるかもしれません。
大喜利力を鍛えてアイデアのある日常にしよう
はたして、大喜利とは一体なんなのか。
どうやら、単なるお笑いの演芸にとどまらないとぼくは感じています。
「あしたの休み、なにしようかな」
これもひとつの大喜利のお題と考えたとき、
「家でゴロゴロしようかな」は、
大喜利の答えとして、果たして面白いでしょうか。
「日帰りで、九州までとんこつラーメンを食べにいく」は、ちょっと面白いかもしれません。
「小学校のときに仲のよかった友達を探して会いに行く」も、ちょっと面白いですね。
日常に起こりうる行動の選択肢を大喜利してみると、思いがけない発見があるかもしれません。
ぼくは大喜利に、そんな期待を持っています。
頭を柔らかくするためには、情報や知識を詰め込んだ硬い頭を大喜利でかき混ぜていくといいかもしれません。
では、ぼくと一緒に、大喜利を楽しんでいきましょう!