商品購入に繋げるカスタマージャーニーマップの作り方
その商品はどのような道筋をたどってお客さんの手に届きますか?
お店で買えるものですか?
ネットを通じて買うものですか?
それとも直接あなたから購入しなければなりませんか?
どこで情報をしることができるでしょう?
こんにちは、のざき寿(ひさし)といいます。元芸人です。
たとえばスーパーに新商品が並んでいます。あなたはテレビCMで、その新商品の存在を知っていました。興味をそそられるものだったので、カゴの中へ入れて買い物を済ませました。
この一連の流れが、カスタマージャーニーマップです。
カスタマーとは顧客のこと。あなたのお客さんになる人です。ジャーニーは旅行、マップはそのままの意味で地図のことです。つまりカスタマージャーニーマップは、お客さんが商品を購入するまでの道案内のことです。
この商品購入までの一連の行動を可視化していきます。顧客の消費行動を分析していくことがカスタマージャーニーマップの目的です。
それでは、カスタマージャーニーマップの作り方を一緒に考えていきましょう。
スーパーで買い物をする時のカスタマージャーニーマップ
もう少し、スーパーで買い物をするお客さんの行動について掘り下げてみます。
スーパーで新商品を手にするまでの行動を並べてみます。
- 新聞の折込みチラシで新商品の情報を得る
- 夕飯のお買い物でチラシのことを思い出す
- スーパーで新商品を見つける
- パッケージデザインからどんな味か興味が湧く
- 買い物カゴに入れる
- レジで精算する
- 家族と一緒に食べる
購入するまでには、これだけの行動があるのです。
AIDMA(アイドマ)とAISAS(アイサス)
まずは商品を知ることから始まります。それから関心や興味をもち記憶に残っていきます。そうなると、顧客は自分から行動しはじめるのです。
このことを、マーケティングではAIDMA(アイドマ)とAISAS(アイサス)といいます。
- Attention:注目、商品やサービスについて知る
- Interest:興味を持つ
- Desire:欲しいという欲求
- Memory:記憶
- Action:購買行動
これらの単語の頭文字を取って、AIDMA(アイドマ)です。
日常的な消費行動にもこれだけの行動があるわけです。カスタマージャーニーマップではこういった顧客の行動をストーリー化し分析をしていきます。
カスタマージャーニーマップの目的
カスタマージャーニーマップの目的は、顧客の消費行動の仮説を立てることにより、マーケティング戦略の現状把握や問題点の洗い出し、新しいアイデアを発見することです。
顧客視点で考える
カスタマージャーニーマップは、顧客視点で考えていきます。商品購入に至った経緯や感情を分析していきます。自社の視点からカスタマージャーニーマップ作るのではなく、顧客視点で考えることがとても重要です。
組織内で顧客理解を共有きる
販促チームで作ったカスタマージャーニーマップは、営業部署や商品開発チーム・顧客サポートチームなど組織内で共有できます。
組織内で共通認識が生まれることで、意思疎通がスムーズになり結束力も高まります。同じ目標に向かって生産性の高いパフォーマンスが発揮できるのです。
カスタマージャーニーマップの具体的な作り方
ここからは、カスタマジャーニーマップの具体的な作り方を解説していきます。作り方の工程は、大きく8つのステップからなります。
- テーマを決める
- ペルソナを設定する
- 行動を洗い出す
- 行動をステージに分ける
- 顧客接点を明確にする
- 感情の起伏を想像する
- 対応策を考える
- アイデアを追加する
カスタマージャーニーマップのテーマを決める
何を・どうしたら目標が達成されるのか、カスタマージャーニーマップのテーマを決めます。
- 自信が所属している企業名・部署名は何か?
- 売りたい商品・サービスは何か?
- 顧客のスタートはどこか?
- 顧客のゴールは何か?
- 期間はいつまでなのか?
スタートとゴールを顧客側の視点で考えることが重要です。
顧客のゴールとなるのは、商品購入だけとは限りません。商品の認知度やお問い合わせ、SNSでの情報拡散やホームページのPV向上など、定量的に計測できる指標であれば何を設定して大丈夫です。
そもそもの目的や目標を整理するために、5W1Hを使うと整理しやすくなりますよ。
目的や目標の設定には、SMARTの法則を使うと考えやすくなります。
ペルソナ(顧客)を設定する
次に、カスタマージャーニーマップの主人公となる顧客像(ペルソナ)を作ります。このペルソナがゴールに到達することが、カスタマージャーニーマップの目標になります。
具体的なペルソナの作り方は、次の記事で紹介していますので参考にしてみてください。
顧客の行動を洗い出す
顧客の行動とは、カスタマージャーニーマップのスタートとゴールまでの顧客の動きです。たとえば、顧客がテレビCMであなたの商品を知った場合、商品購入までにどのような行動が考えられるでしょうか。
- テレビCMを見る
- インターネットで検索する
- SNSで評判調べる
- ホームページの商品ページを見る
- ホームページから注文する
- 後日、商品受け取る
- 商品レビューを書く
自分自身がお客さんとなり、行動をイメージしてみてください。仮説で構いません。実践・検証と改善を重ねていくものだからです。
行動をステージに分ける
ステージ分けとは、行動をカテゴライズしていく作業です。上記で洗い出した行動を大きな分類に仕分けしていきます。
- 商品との出会い
- 商品のリサーチ
- ホームページでのコミュニケーション
- 商品購入
前述の顧客行動はこれらのステージに分類されます。顧客が商品購入に達するまでのステージに漏れがないか確認しながら仕分けしていきます。
顧客との接点を明確にする
顧客から見た、企業や商品との接点を考えていきます。具体的には次のような接点が考えられます。
- テレビCM / ラジオCM
- 動画広告 / Web広告
- 口コミ
- スマートフォン・SNS
現在展開している広告媒体や情報を受け取るツールまで掘り下げて考えていきます。
顧客の感情の起伏を想像する
顧客のスタート時の感情からゴールまでの感情の起伏を考えていきます。
たとえば。あなたの商品に出会った時の顧客の感情はどうでしょうか。洋服などの身につけるものであれば「かっこいい」「かわいい」でしょうし、食品であれば「おいしそう」などの感情が想像できます。逆に「めんどくさそう」「今度にしようかな」など、好意的な感情ばかりではないかもしれません。
最終的に顧客の感情がポジティブになるように、顧客行動と顧客接点を踏まえて、カスタマージャーニーマップを設計していきます。
企業視点でもカスタマージャーニーマップを考えよう
今度は、企業側の視点に立って考えます。企業側に立ってカスタマージャーニーマップを作り込んでいくことで、商品のアイデアや改善点が見えてきます。
対応策を考える
顧客の感情がネガティブになるポイントに焦点を当て、対応策を考えていきます。
たとえば、商品情報を追加する・サポートメールや電話をしてフォローアップをする・SNSで積極的にアピールし認知を広げるなど、具体的な施策や打ち手を考えましょう。
できない理由は考えないようにします。
- 人員のリソースがない
- 予算的に実行が厳しい
これらの対応策が実行できない要因はいったん置いておきます。現状ではできないことも、将来的にはできるようになる場合があるからです。お客さんのためにできることを自由に考えた上で実行の方法を考えるようにしましょう。
カスタマージャーニーマップからアイデアを発想する
考えてきた視点の枠を越えることを考えます。
- 商品の売上を10倍にするには?
- 海外に進出するためには?
- 生産コストを50%引き下げるには
今まで考えてきたことは、現状でできる範囲のアイデアや試作でした。
上記のアイデアは、現場の枠を越え新しい手段を考えることが目的です。つまり企業や商品の将来を考えることやリスクを予測することになるのです。
カスタマージャーニーマップを作る時に用意するもの
カスタマージャーニーマップをつくる時に便利な道具をご紹介します。
エクセルなどで作ってもいいのですが、アナログで作ることをお勧めします。アナログで作った方が個性的になるし、作っていて楽しいからです。楽しい雰囲気で戦略を練る方が、新しいアイデアが生まれやすくなります。
あったらいい道具
- ホワイトボード
- 台紙(A3×6枚の大きさ)
- タイマー
- ペルソナシート
- マジック・ペン(色)
- ポストイット(付箋)
会議の時間は長めに取る
3時間くらいがちょうどよく、参加者全員がカスタマージャーニーマップの制作に参加できて活発な意見交換ができるように、ファシリテーターを立てることも大事です。
カスタマージャーニーマップの活用方法
カスタマージャーニーマップは、さまざまな場面で活用できます。
組織内で顧客視点を共有することのほかに、企業内のインナーブランディングにも応用が可能です。
インナーブランディングにカスタマージャーニーマップを活用する
たとえばペルソナを新入社員に設定するとします。ゴールはリーダーシップをとれる社員とします。
企業は、新入社員を成長させるためにどんな対応策やサポートができるでしょうか。また、新入社員はどんなことで悩み・つまずき、感情が揺れ動くのでしょうか。社員育成のロードマップを考える上でも、カスタマージャーニーマップは活用できます。
ホームページの導線を考える
ホームページの導線設計を考えるためにカスタマージャーニーマップを活用します。
たとえばリスティング広告やランディングページからあなたのホームページへ遷移した場合、適切な導線設計になっているでしょうか。ランディングページとリンクしたページとの関連性は保たれているでしょうか。
カスタマージャーニーマップは文字通り「顧客の地図」を意味します。地図の設計に無理がないように、ホームページの導線設計を見直すために活用しましょう。
顧客の感情に寄り添ったキャッチコピーを考える
顧客の感情の起伏と顧客接点は、広告展開のポイントになります。顧客の感情をポジティブに変えられるような広告を、適切なタイミングで打つことが大切です。
カスタマージャーニーマップに応じて、キャッチコピーを変えていきましょう。カスタマージャーニーマップのスタート地点の顧客とゴールに近い顧客とでは、響く広告やキャッチコピーは違って当然です。
企画書・提案書にカスタマージャーニーマップを記載する
クライアントとの合意形成を図るためにカスタマージャーニーマップを活用しましょう。
提案側の企業とクライアントの顧客理解が違っていては、目指すゴールが大きく変わってしまいます。コンテンツ制作やマーケティング戦略に大きく影響してしまうので、あらかじめ企画書や提案書を作成する時点で盛り込んでおきましょう。
顧客を中心に考えることで、クライアントへの説明がしやすくなり、納得してもらいやすくなります。
仮説をつくるためにカスタマージャーニーマップを用いる
最後にカスタマージャーニーマップの注意点をお伝えします。
カスタマージャーニーマップはあくまで仮説に過ぎません。企業側の視点で考えた顧客創造だと認識を持って制作しましょう。
仮説は実行をもとに検証しなければ意味がありません。作り方を完璧にマスターするよりも、実行を優先しましょう。そうしなければただの白紙です。改善を繰り返して精度の高いカスタマージャーニーマップを完成させていきましょう。