キャッチコピーを学ぶ

コピーライターの基本姿勢とは – 「なんかいいよね」禁止

 コピーライターは「なんかいいよね」を禁止してください。

 コピーライターの「谷山 雅計(たにやま まさかず)」さんは、ご自身の書籍でそのように語っています。

 こんにちは、寿(ひさし)と言います。

 僕は2020年「宣伝会議コピーライター養成講座」で、谷山さんの授業を受けました。谷山さんは現役のコピーライター。60歳を超えているとは(2020年当時)思えない熱量と勢いで、3時間・休憩なし、ぶっ通しで講義くださいました。宣伝会議賞の審査員をされています。

キャチコピーに「なんかいいよね」を禁止する

 谷山さんはキャッチコピーを見る時「なんかいいよね」を禁止しています。「なんとなく素敵な言葉」「なんかいい言葉」などの曖昧な理由を使うなと語っています。コピーライターはキャッチコピーを見るべき姿勢として、

  • なぜ、その言葉に行き着いたのか
  • なぜ、人のこころに響くのか

 曖昧な理由・偶然のプロセスから生まれたキャッチコピーを許していません。それはなぜか、

  • クライアントにキャッチコピーを説明するときどうでしょう?
  • 次も同じクオリティーのキャッチコピーを書けるでしょうか?

 これらの問いに応えられないからです。

 キャッチコピーの受け手である「生活者」は制作の意図やプロセス・理由を知らなくても問題はありません。しかし「作り手」であるコピーライターは曖昧・抽象的な理屈ではいけないのです。また、キャッチコピーのクオリティがある程度担保できて、かつ再現性が伴っていなければ、プロのコピーライターとは言えないとおっしゃっています。

たくさん書かける人はコピーライターに向いている

 では、どうすればコピーライターの技術や思考は磨かれるのでしょうか。

 谷山さんは「なんかいいよね」を禁止することのほかに「とにかくたくさん書く」ことを強く推奨しています。

 とにかくたくさん「書き散らかす」「選ぶ」「磨く」こと。

 コピーライターの思考力を深めるには、

  • とにかく書き
  • 他人との差を学び
  • 自分の目線(ものさし)を鍛える

 数を書き、思考の量と深さを追求することが、キャッチコピーのクオリティーの向上に直結しているからです。

キャッチコピーを「書き散らかす」

 たくさん書くコツとしてフレームワークを活用する方法があります。

 オススメのフレームワークは「マインドマップ」です。

 いきなりキャッチコピーを書くより、連想される言葉や単語をリストアップしていくことで視点・観点を広げられます。

マインドマップの書き方 - 初心者向けルールの解説マインドマップは脳内を可視化するツールです。悩みの原因を探ったり、新しいアイデアを生み出したり、記憶の定着率を上げたりと、活用方法は多岐に渡ります。基本的な書き方・用語・ルールを覚えれば簡単に使用することができます。具体例を解説しながら、マインドマップ紹介しています。...

 「5W1H」を考えることも有効な手段でしょう。広告対象が生まれたプロセスや流通のイメージを考えることで、発想が広がっていきます。

5W1Hの考える順番
5W1Hの考える順番 - 相手への伝え方企画やプレゼンなど自分考えが人に伝わらない時がありませんか?人に何かを伝える時は伝える順番が大事です。5W1Hの上手に使い相手に分かりやすい順番を解説します。またアイデアを考える時にも5W1Hの順番は大事です。参考の本もご紹介します。5W1Hが有効に使えるようになります。...

 論理的なロジックやメソッドを活用し、独自の制作工程を体系化することがコピーライティグの再現性につながっていきます。

キャッチコピーを「選ぶ」

 次に、書き散らかしたキャッチコピーを「選ぶ」作業です。

 キャッチコピーを選ぶには「選ぶ基準」が必要になってきます。

 キャッチコピーの目的はなんでしょうか?キャッチコピーの目的は「課題解決」「新しい発見」「共感」など「言葉が人の心に届くこと・人の行動や意識を変えること」ではないでしょうか。

いいキャッチコピーを「選ぶ」コツ
いいキャッチコピーを「選ぶ」コツ書く事より難しい「いいキャッチコピーを選ぶこと」。いいキャッチコピーを選ぶには、自分の基準を持つことが大事になります。キャッチコピーの選び方を解説し、選ぶ基準を持つための訓練方法を解説しています。 ...

 目的を見失ったキャッチコピーは、売り手の自慢やただの文章表現になってしまいます。

 選ぶ目線を養うことは、書く技術と同じくらい重要な技術なのです。

ベネフィットの意味 - メリットとの違いベネフィットって何?メリットと何が違うの?マーケティング用語でよく使う「ベネフィット」。この記事では「ベネフィット」の正確な意味を「メリット」との違いを交え解説します。どんな場面「ベネフィット」は必要になるのかも具体例を挙げています。...
いいキャッチコピーには課題解決がある
いいキャッチコピーには課題解決がある広告の役割ってなんだろう。いいキャッチコピーには課題解決があります。商品・サービスが抱えている本質的な課題を言葉によって解決する機能があります。生活者の心と感情を動かし、能動的に行動するような言葉を考えましょう。...

キャッチコピーを「磨く」

 重要なことは「書き散らかす」「選ぶ」の工程があったあとに「磨く」工程があることです。

 コピーライティングの落とし穴は「磨く」工程から入ってしまうこと。書いたキャッチコピー数が少なく、選ぶ目線がないキャッチコピーをいくら磨いたところで、いいキャッチコピーにはたどり着かないのです。

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キャッチコピーは100本書いてから選ぶいいキャチコピーを書くためにはどうしたらいいのか。ひとつの広告対象につき、100本書いてみてください。100本という数字は目安で「たくさん書いた方がいい」といった意味です。精神論や根性論ではなく、しっかりと「数を書く」理由があります。...

いいキャッチコピーを書ける人になるには

 コピーライター講座の中で感じた「いいキャッチコピーを書ける人」は、深い思考力と豊かな発想を持っていました。思考力とは「なぜ?どうして?」を深く追求できる探求心だと思います。

 「なんかいいよね」で思考が止まっていては、考える力は身についていきません。目にする広告表現に対し「なぜ」という問いをぶつけることが、コピーライターの重要な素養なのです。

 「なぜ」を考え続け、キャッチコピーを書き続けられる人が、コピーライターに向いている人だと僕は思います。

 コピーライターは「なんかいいよね」を禁止して、自分と対話をし、生まれてくるコピーライティングの再現性を体系化していくしかないようです。

 僕も書き続けていこうと思います。何か、あなたのヒントになればうれしいです。

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キャッチコピーの考え方 - 作り方のコツとはキャッチコピーの作り方がわからない。考え方が色々ありすぎてどう書いたらいいのか。言葉を真似するだけではキャッチコピーは書けるようになりません。この記事では基本的な考え方を解説していきます。基本を抑えることで再現性のある書き方を身につけることができます。...