仕事で役に立つ大喜利のコツとは?アイデア発想法と考え方
もしかしたらあなたも、同じ状況で悩んだことがあるかもしれません。
仕事で会議の時間。
「何かいいアイデアある人いませんか?」
進行役の人が会議に出席しているメンバーに問いかける。
静まり返る会議室。誰も口を開こうとはしない。
「こんなアイデアはどうでしょうか?たとえばですね…」発言する人はいつもあの社員。
会議はいつも大体同じ展開で、
ぼくはいつも何も思いつかずに、ただ考えているフリをしている。
この会議の状況。
実は大喜利の状況ととてもよく似ています。
大喜利の回答が思いつかずに、ずっと難しい顔をして黙っている芸人。

こんにちは、のざき寿(ひさし)といいます。元お笑い芸人です。20代の頃、吉本興業に所属していました。大喜利が大好きです。
そうなんです。
会議でアイデアを出すことも大喜利で回答することも、本質的には同じことなんですね。
大喜利で面白い回答ができる人は、ビジネスにおいて・会議の場においても大活躍できます。
要するに大喜利は、
大喜利のお題は、課題です。
大喜利の回答は、解決策です。
仕事において大事な能力は「課題発見力」「課題解決力」そして「実行力」です。
つまり大喜利ができる人というのは、課題に対する解決策が湯水のように湧き出てくる人なんです。
さてこの記事では、元お笑い芸人のぼくが「大喜利のコツ」について解説してみようと思います。

大喜利ができるようになれば、あなたもアイデアマンになれます!
先に結論から言いますと、
大喜利のコツは「物事を観る視点の多さ」です。
たとえば「日本」。
あなたは、どれだけの視点で日本を語ることができますか?
視点をいろいろ考えてみてください。
- あなたから見た日本
- 海外の人から見た日本
- 子供から見た日本
- 高齢者から見た日本
- 女性から見た日本
- 後進国から見た日本
- 地図上で見た日本
- 未来から見た日本
- 神様から見た日本
視点の多さは、回答の数に影響しますし、
視点の角度は、回答の面白さや意外性に直結しています。
大喜利ができる人は、瞬時に多くの視点を見つけ誰も気づかない視点で物事を見つめています。これはビジネスシーンにおいても役に立つ能力です。

でも大喜利って、結局センスなんでしょ?
大喜利は「センス」ではありません。
大喜利力(おおぎりりょく)は、訓練すれば身に付くスキルです。大喜利を論理的に考えるコツ・解答の方法論を紹介していきます。
「たまたま面白い回答が浮かんだ」ではなく「どんなお題であってもある程度おもしろい回答ができる」を目指していきます。
大喜利とは

大喜利って笑点のことだよね。
ちょっと違うかもしれないですが、
まずは大喜利について知ることから始めていきましょう。
寄席においてトリ(最後を飾る出演者)がいない場合、それに代わる最後の演目として観客へのいわばアンコールに相当するサービスとして行われていたもの。余興として、その日の寄席の複数の出演者が再び登場し、観客からテーマをもらって互いに芸を競い合った。
Wikipedia 大喜利
「観客からテーマをもらって互いに芸を競い合った。」ということはつまり、お題に対して回答する形式だけが大喜利とはかぎらないんですね。
大喜利は「笑点」で知られるようになった
広く知られるようになったのは、日本テレビで放送されている「笑点」の大喜利でしょうね。
司会者の問いかけ(お題)に対して、演者が「とんち」や「洒落」を効かせて答えるような形式です。
ダウンタウン松本人志さんが大喜利を進化させた
おそらく、IPPONグランプリのような大喜利をイメージしていると思います。
フリップで回答する大喜利形式は、ダウンタウンの松本人志さんがやり始めたと言われています。
1996年に放送が始まった「一人ごっつ」という番組で、松本さんが「フリップ大喜利」や「写真で一言」をやり始めました。
「一人ごっつ」はお笑い芸人の中でも伝説の番組ですね。今見返しても松本さんの大喜利の面白さは頭ひとつ抜けていている印象です。
ぼくは当時高校生でした。
毎週楽しみでしかたなく、深夜にお腹を抱えて笑っていた記憶があります。
大喜利は発想力や企画力を鍛える

大喜利ができると、なんで仕事に役に立つの?
大喜利ができる人は、発想力やアイデア力・人と違った視点を持っている人です。
たとえば企画会議(ブレインストーミング)に参加するとします。
誰もが思いつく商品アイデアしか提案しない人と、
さまざまな視点から商品アイデアを提案できる人。
どちらの人が、ブレインストーミングに参加してほしいですか?
後者の人が必要とされますよね。
大喜利は「脳力(右脳・左脳)」を鍛える頭の体操
また大喜利は「脳を鍛える遊び」の側面もあります。
お題に対してイマジネーションを広げていくことは右脳を使いますし、回答を構成することは左脳を使います。
これは、マインドマップに近い連想力です。キャッチコピーを考える上でも非常に役に立ちます。
【実践】大喜利のコツを掴んでいこう!

大喜利できるだろうか…
ここからは実際に、大喜利をしながら大喜利のコツを掴んでいきましょう。

ぼくも一緒に回答を考えていきます!
スベるとかスベらないとか、いったん忘れましょう。
それでは、お題です!
大喜利のお題
「この部下、俺のことナメてるなぁ。」なぜ。
大喜利のお題
- タメ口を聞いてくる
- やたら学歴を聞いてくる
- 躊躇なく年収を聞いてくる
- ちょっと席を外していたら俺のデスクに座っていた
- SNSフォローしているにも関わらずおそらくをミュートしている
- 1年経っても既読がつかない

あなたは、どんな回答が浮かびましたか?
大喜利のお題には、回答しやすいお題もあれば発想が広がりにくいお題もあります。
今回のお題は回答しやすいお題です。
誰もが経験している体験や出来事は、大喜利のお題としては回答しやすいお題です。
まずは「あるある」という視点から大喜利の回答を考えてみる
あなたは上司です。
部下の「ナメている態度」ってどんな態度でしょうか。
まずは「よくある風景」いわゆる「あるある」から発想していきます。
あるあるとは「共感」「そうそう!それそれ!」って思うことです。
相手側の視点に立った大喜利のお題
「この上司、なんか尊敬できないんだよなぁ」なぜ?
大喜利のお題
- スーツの着こなしがダサい
- 自分よりも身長が低い
- SNSのフォロワーが自分より少ない
- 安っぽい財布を使っている
- 月末、あからさまにバタバタしている
今度は部下側の視点から回答してみてください。
部下側の視点から「あるある」を考える
あなたは部下になって、デキの悪い上司について考えてみてください。
上司と部下という同じ状況下であっても、反対側の視点に立つことで見える世界が変わってくることに気づくと思います。
これが「視点を変える」「切り口を変える」ということです。
世界観のある大喜利のお題
「この医者、さてはヤブ医者だなぁ」どうして?
大喜利のお題
- 聴診器が耳に刺さっていないまま心音を聞いている
- 白衣をよくよく見たらコックコートだった
- ナースに舌打ちされている
- ずっと「手術中」が消えない
- 診察室前の待ち時間が一切ない
今度のお題は「医者」という世界観があります。
医療という世界を表現するには、どうしたらいいでしょうか。
ちょっと考えてみましょう。
世界観を表す表現・語彙を含めて大喜利の回答をする
たとえば「聴診器」「白衣」「ナース」などの言葉は、その世界観を表現することができます。
言葉や語彙でイメージを伝えていくことも、大喜利のコツになります。
つまり世界観が表現できていない回答は、お題に沿った回答になっていないということです。

では「この患者、さては仮病だなぁ」というお題はどうでしょうか。
医者側に視点を移して回答を考えてみてくださいね。
多くの視点を持つことが大喜利のコツ
上司側・部下側、医者側・看護師側など、
視点を移したり行ったり来たりして、状況を見つめたりすることが大喜利のコツです。
円柱は正面から見ると四角に見えます。でも真上からみると円にみえますよね。斜めから見ると反円の形が浮かび上がってきます。影も含めると見え方はひとつではないのです。
客観的・俯瞰的・主観的な視点というのもあります。
抽象的・具体的といった視点もあります。
過去・現在・未来といった時間軸の視点もあったりします。
冒頭で触れた視点の話は、このことを言っています。
実はこの考え方は、キャッチコピーにも通じる話です。キャッチコピーも切り口(視点)の多さがアイデアの数に直結していますしキャッチコピーの質に影響します。
あなたしか気づいていない切り口を見つけて、意外性のある回答や誰も思いつかないアイデアを発想しましょう。
大喜利でいちばんやってはいけないこと

大喜利は、楽しくやればいいんじゃないの?
それは、他の人と「大喜利の答え」がカブることです。
芸人は「ボケがカブる」ことを極端に嫌います。発想の出どころが同じになってしまうと、先に回答した芸人には絶対に勝てないからです。
先ほどのお題は「あるある」や「共感」の延長でした。
実は「あるある」は誰もが思いつきやすい大喜利の回答で、大喜利の面白い人ほど「あるあるネタ」を避ける傾向にあります。
キャッチコピーを考える時も「あるあるネタ」は避けた方がいい
キャッチコピーを考えるときも、誰でも思いつきそうな言葉は避けた方がいいでしょう。
誰もが共感できるキャッチコピーやメッセージは、裏を返せばインパクトがないってことです。
キャッチコピーはインパクトが大事です。生活者を一瞬で振り向かせる言葉というのは、多少の違和感だったり居心地の悪さだったりが必要だと思うのです。
【さらに実践!】大喜利のお題から回答のコツを掴む

さて、もう少し実践をしてみましょう!
今度は「大喜利のお題」に焦点を当てて、大喜利の回答のコツを考えてみましょう。
ぜひ、一緒に考えてみてください。
緊張と緩和を生み出す大喜利のお題
お通夜で参列者が皆、半笑いで出てくる。どうして?
大喜利のお題
- 遺影が顔出しパネルになっていて喪主と記念撮影できる
- 祭壇がトリックアートになっていてそこに遺体がない
- 赤と白で装飾されている
これはいわゆる「緊張と緩和」のお題です。
緊張感や悲しみ・シリアスな場面は、笑いに変わりやすい性質があります。
怖い・命が危ない・医療・犯罪など。それらが持っている緊張感が「フリ」になるわけですね。
このお題の場合は、もちろん「お通夜」がフリです。お通夜の雰囲気をぶち壊すようなことを考えればいいわけです。
発想を飛躍させていく大喜利のお題
アホアホ株式会社の朝礼の内容を教えてください
大喜利のお題
- 夕礼の時間に朝礼が始まる
- ひとりの社員のプライベートな話を全社員で延々掘り下げる
- 売り上げ目標を「飴玉○個分」で発表する
このお題は発想を飛躍させていくお題です。
この場合は「アホすぎるとどうなる?」を突き詰めていく感じになると思います。もしくは「アホな人の行動ってどんなだろう?」を考えていきます。
アホすぎる社員・アホすぎる社長・アホすぎる状況などのイメージを頭の中で飛躍させていきましょう。
〇〇をイジる大喜利のお題
「あのヒーロー、なんかダサいなぁ」なぜ?
大喜利のお題
- バイトのシーンが長い
- 駆けつけるために走っている時、小銭の音がする
- 現金支払いに妙にこだわる
芸人が、他の芸人をイジったりすることで笑いをつくることと似ています。
あなたが頭に思い浮かぶヒーローはどんなヒーローですか?
「仮面ライダー」「ウルトラマン」「スパイダーマン」「〇〇戦隊」とすると。
隙を見せる瞬間やカッコ悪い瞬間を切り取ってみてください。そこを面白おかしくイジってみましょう。
キャラのイメージが壊れる瞬間を考えていくと面白い回答になりますよ。
瞬発力が必要な大喜利のお題
「お前はもう、死んでいる」みたいな事を言って下さい。
大喜利のお題
- 支払いはもう、終わっている
- 就職さきはもう、倒産している
- 彼女はもう、別の男に抱かれている
こういうタイプのお題は、瞬間的に矛盾をつくることを意識します。
セリフの型は壊さずに、リズムや言い方・字面なども工夫すると面白く聞こえます。
「こんな〇〇は嫌だ!」大喜利
こんな会社では絶対働きたくない。どんな会社?
大喜利のお題
- 子供店長
- SNSバズって調子に乗って作った会社
- 離島にある
このお題は単純に「嫌だなぁ〜」をひたすら突き詰めるお題ですね。
度がすぎるくらい「絶対嫌だ!」を考えてみましょう。
大喜利は、大喜利すればするほど大喜利力が身に付いてきます。芸人の大喜利本も数多く出版されていますが、ぼくがお勧めするのは、やはり千原ジュニアさんの本ですかね。
大喜利の力を仕事にどう役立てるか

わたし、芸人じゃないんだけど。
大喜利を仕事にどう活かすかを知りたいんです。
そうですよね。
楽しくて、ついつい普通に大喜利をしてしまっていました。
仕事の場面だと、どれだけの数多くアイデアを発想できるかということが重要なってきます。
回答の数はアイデアの数
回答の数はアイデアの数です。
ビジネスシーンにおいて、たとえば企画会議やブレインストーミングでは、アイデアの数・発言の回数が重視されるのではないでしょうか。
「黙って座っているだけなら、会議に出席している意味はない」って上司に怒られますもんね。
だからこそ、普段から大喜利で発想力を鍛えておくことが練習になるんです。
まずはアイデアの数がだせること、面白いとか意外性とかはその後で大丈夫。
楽しみながら大喜利に取り組んでいきましょう。
お笑い芸人がネタを作る時はまず大喜利をする

ぼくはお笑い芸人をしていました。
漫才のネタを作る時は、まず大喜利をしてボケをたくさん考えていきます。
そのボケを会話をつなぐように作っていくと、漫才の原型ができてきます。
たとえば「修学旅行の思い出」という漫才のテーマなら、一般的な修学旅行の思い出とはズレたことがボケになってきます。
- ゴーグルはめてさ、みんなでバーチャル空間に行くのよ(メタバース?)
- 寝る時、嫌いな人を言い合った(寝付き悪いやろ〜)
- 現金投げをした(富裕層の修学旅行?)
この作り方は、多くの芸人がしているネタの作り方です。
大喜利の公募で実力を磨こう

どこで大喜利したらいいの?
とにかく大喜利をすること。
とはいっても、日常で大喜利する場所なんてないですよね。
でも実は、SNSや公募など、大喜利をする場所ってたくさんあるんです。
大喜利の公募に応募しよう!

とりあえず公募ガイドです!
公募ガイドは大喜利に限らず、文芸やキャッチコピーなどの公募情報がたくさん掲載されています。
公募ガイドのWebサイトで「大喜利」で検索をかければ、一般企業の大喜利コンテストも多数見つかります。公募で賞金を稼ぎながら大喜利力を身につけていきましょう。
公募の探し方を知りたい方はこちらの記事をどうぞ。
キャッチコピーのコンペに挑戦してみよう
大喜利とキャッチコピーは「いとこ同士」みたいな、とても相性がいいんです。
クラウドソーシング(クラウドワークス)の案件では、キャッチコピーの案件がたくさんあります。
大喜利の練習が副業収入になる可能性があります。
キャッチコピーの案件に挑戦しながら、大喜利力を磨いてみるのもアリですよ!
SNSで大喜利力を鍛える
SNSでは大喜利のアカウントがあったりします。
SNSであなたの投稿が拡散されれば、一夜にして有名人になる可能性もある?かも?
ちなみにぼくは、noteで大喜利コンテンツを運用しています。よかったらご参加ください!
大喜利のコツは大喜利を楽しむこと

とにかく大喜利を楽しむことです!
お!こんな回答思いついた!
そういった発見と驚きが大喜利にはあります。大喜利は、新しい自分に出会えるきっかけになります。
大喜利は人を笑わせるための手段です。
真面目に考えてはいけません。楽しむことが大切です。
思わず自分でニヤけるような回答を考えて楽しみましょう。
大喜利が、あなたの日常を面白く彩ってくれるでしょう。
最後まで読んでいただいてありがとうございました!
では、素敵な大喜利ライフを。