コラム

ブレインストーミングの意味 – アイデアが出るルール・やり方

 沈黙が続く会議を終わりにしませんか?
 脳が思考停止している状態では、ブレインストーミングはできません。

 ブレインは「脳」、ストーミングは「嵐」。ブレインストーミングの意味はその名の通り「脳に嵐を起こすこと」です。会議中、アイデアが次々でこないとブレインストーミングとは言えません。

 会議中にこんな状況が頻発しませんか?

  • 特定の人ばかり発言する
  • 長い沈黙が続く
  • 決定したことがひとつもない
  • そもそも、つまらない

 会社員は一生涯のうちに、会議の時間で約3万時間を費やしているのだそうです。食事・睡眠の時間を抜いて1日10時間活動出来たとして、あなたは約8年間分の時間を無駄にしているかもしれません。しかも、働き盛りの若いうちの時間です。

 8年間、余分に時間があったら、あなたは何をしますか?

 自己紹介が遅れました。はじめまして「寿(ひさし)」といいます。

 僕は会議が嫌いです。いや、正確には「つまらない会議」がめちゃくちゃ嫌いです。

 過去にWeb制作会社の会議で、取引先の定例会議に出席していたことがあります。各社で15人ほど参加していました。2時間の会議の中で発言する人は3人程度、他の人は聞いてるだけ。人の時間を無闇に奪う地獄です。

 自発性がなく積極性のない人には、後日、メールや文書などでの報告・連絡で十分です。その方が、本人のためにもなります。

 この記事では、ブレインストーミングを面白くする工夫やルール・やり方について解説していきます。会議の時間が少しでも楽しくなり、みんなのアイデアが飛び交う有意義な時間になるようにと思います。

 少しでも、お役に立てればうれしいです。

ブレインストーミン行う意味を理解する

 ブレインストーミングはクリエイティブな発想や新しいアイデア・課題解決に繋がる糸口を見つける会議です。はじめに会議の特性を理解しましょう。

参加者はブレインストーミングの意味について理解しておく

 ブレインストーミングは普通の会議と違い、アイデアを出し合うための会議です。

 極端な話、報告・連絡・共有などの会議では、発言者がひとりいれば他の参加者は皆聞き手で構いません。受け身の姿勢でも問題ないでしょう。会議の準備は、事実やデータに基づいた正確な情報があれば十分です。

 しかしブレインストーミングは、受け身の姿勢ではいけません。参加するメンバーは、主体的かつ、積極的な発言が求められます。受け身の姿勢ならばその会議に参加する必要はなく、むしろ邪魔になるでしょう。
 事実や情報に基づいた自分の考えを発言することになるので、準備としてはテーマを深く理解しておく必要があります。

会議は、報告・連絡・共有で開く意味はない

 会社では、しばしば情報共有のための会議があります。そのような事実確認などの会議は、メールや掲示板・チャットの方がいいのではないでしょうか。時間を拘束せず、言った言わないが少なくなります。
 
 目的が他にあればいいでしょう。例えば朝礼では、情報共有とは別に職場の緊張感を保つ・社員のコミュニケーションなどの意味があればいいでしょう。そうなれば、会議で重要視するのは、元気なあいさつや丁寧なヒアリングです。

 会議の持つ意味をしっかりと理解しておく必要があります。

決定しないブレインストーミングでは意味がない

 最終的に何かを決めることは、ブレインストーミングをやる上で最低限守らなくてはならない絶対的ルールのひとつです。
 ものごとが決定しない会議ほど意味のないことはありません。そして、疲れます。ブレインストーミングは、レクリエーションになってしまっては意味がないのです。

 ブレインストーミングはその性質上、会話が議題から逸れていくことがあります。また、楽しくなればなるほど、時間を忘れて盛り上がり、決めることを後回しにしてしまいがちです。

 結論が出ない会議は、他人の時間を奪ってしまうのです。

ブレインストーミングができる環境にあるか?

 ブレインストーミングは、心理的安全性が確保された環境やメンバーでやりましょう。

 自分の考えていることやアイデアを発言することは、客観的事実を発言するよりも勇気が必要です。個人の意見は、他人の賛否に晒されます。だからこそ、心理的安全性の確保された環境が必要なのです。

 チームワークが出来上がっていない環境やメンバーでブレインストーミングをすると、本心が言えない状況を作り出してしまいます。

 ブレインストーミングするメンバーのチームワークはどうですか?

 信頼関係のおけるメンバーなら、突飛なアイデア・稚拙な考え・的を得ない発言も遠慮なく言えると思います。
 まずは、心理的安全性が確保された環境を整える方が先です。チームビルディングをしてからブレインストーミングしましょう。

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意味あるブレインストーミングにするための事前準備

 では、ブレインストーミングを楽しくするために事前の準備について解説していきます。進行をスムーズにするために気を付けるべき項目は以下の通りです。

  • 開催日程・時間の事前連絡をする
  • テーマについての周知をする
  • アジェンダを決める
  • アイデアを事前に受け付ける

 当日、ブレインストーミングが盛りあがるように、不安要素は事前に取り除いておきましょう。

ブレスト開催日程・開催時間の事前連絡

 2週間前には開催の連絡をしましょう。参加者に準備してもらうことがあるためです。

 事前に準備する項目は以下の通りです。

  • 主催者を明確にする
  • 日時 / 時間
  • 場所(オンライン / オフライン)
  • 会議のテーマ
  • メンバー(多くて5人)
  • 司会者(ファシリテーター)
  • 当日必要なもの

主催者を明確にする

 主催者を明確にしておく事で、会議に対しての質問が主催者に行くようになります。参加メンバー同士で「誰々から聞いた」と言った伝言ゲームを防ぎます。

ブレストは午前中に開催する

 人は午前中、睡眠明けで脳が十分に休まっており頭が冴えているそうです。脳は、午後になるにつれて徐々に疲れていき、機能低下・集中力低下を招きます。

 クリエイティブな会議であるブレインストーミングは脳を使うため、午前中に開催しましょう。

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 実は他にも、ブレストを午前中に開催した方がいい理由がいくつかあります。

  • 昼食後は眠気が襲ってくる
  • 午後はお客さん対応などがあり招集しにくい
  • ブレストの時間が伸びると残業しなくてはいけなくなる

 いいアイデアを出すために、ブレインストーミングは午前中に設定しましょう。

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オンラインでのブレストは事前にURLを発行しておく

 会議の場所は事前に確認しておきましょう。オンライン会議の場合、ツールや接続状態の確認は事前に済ましておきます。

  • オンライン会議のURLは事前に発行して連絡しておく
  • アクセス・ログインができるか検証しておく
  • ツールは使って機能を把握しておく

 ブレストはテンションを下げないことが大切です。いざ会議を始めようとした時、通信トラブルなどで中断してしまうと、出鼻を挫かれてモチベーションが下がってしまいます。

ブレストは少人数で

 ブレインストーミングは、5人ぐらいの少人数がいいでしょう。

 人数が多いと、意見に多様性が生まれすぎてまとまらなくなります。また、発言しない人が出てきてしまいます。逆に人数が少なすぎると、意見に多様性がなくなりアイデアの幅が狭くなってしまうのです。

 それらの理由から、5人くらいがベストなのです。参加者のなかで、司会者・書記・タイムキーパーなど役割分担を決めておくと、ブレインストーミングがスムーズに進行します。

司会者(ファシリテーター)を立てる

 司会者(ファシリテーター)を決めましょう。主催者をファシリテーターにすることが自然だと思います。

ファシリテーターとは

 促進する人、容易にする人の事を言います。会議中にストーリーを作り、参加者の意見や能力を最大限引き出す為にサポートする役割を担います。

事前資料は先に展開しておく

 アイデアを発想するためには、素材となる情報が必要です。アイデアは知識や情報の組み合わせから生まれるからです。

 主催者は事前に情報を展開し、参加者は自分の意見をまとめてブレストに臨みましょう。

ブレインストーミングのテーマを面白くする

 ブレインストーミングのタイトルには、ユーモアが必要です。タイトルを面白くすることで、緊張感が和らぎ、頭が柔らかくなります。斬新なアイデアはリラックスした状態の時に生まれ、柔軟な発想に繋がっていきます。

  • 売り上げアップのアイデアが10個出るまで終われない会議
  • 会社を大きくするためのアイデア100本ノック
  • エジソンでも思いつかない!?新商品開発会議

 少し笑ってしまうくらいのタイトルでいいでしょう。

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アジェンダを決めておく

 アジェンダを決めて参加者に共有しておきましょう。アジェンダとは「会議で論ずる事項(議題)の表」のことです。ブレスト当日のタイムスケジュールを決めておきます。

 1時間30分を想定したアジェンダです。

  • アイスブレイク(5分)
  • 会議のゴールの共有(10分)
  • ブレインストーミング(40分)
  • アイデア議論(20分)
  • アイデア選定(10分)
  • まとめ・次回の日程(5分)

 時間を区切る事で意見が出やすくなり、意見がまとまります。

ブレインストーミングのアイデアを事前に受け付ける

 アイデアを持ち寄った上で集まると、ブレストの導入がスムーズになります。事前にアイデアを募ることにより、当日アイデアが出ない場合の保険にもなります。

  • 社内チャットでグループを作る
  • 口頭でも聞いたメモを、事前資料に入れる
  • メーリングリストで共有する

 メンバーのアイデアを事前に見ることで、さらにいいアイデアが浮かぶキッカケになります。

ブレインストーミングのルールはある意味、大喜利に似ている

 僕はブレインストーミングを、お笑いの大喜利に似ていると思っています。笑いがある楽しい会議は、自然と面白いアイデアが集まります。

ブレストと大喜利の共通点

 大喜利は、お題に対し色々な切り口を考えて発想を飛躍させ回答します。「面白い答えを考える」それ以外に、これといったルールはありません。

 ブレインストーミングは、発想や発言を否定しないことがルールにあります。そのため、飛躍した考えもアイデアの一つとして受け入れていきます。

 ブレインストーミングも大喜利も、面白いアイデアを生み出すという点では、とても近い脳の使い方ではないでしょうか。ルールを比較してみます。

ブレインストーミングのルール

 まずは、ブレインストーミングのルールを解説します。

  • 時間はたっぷりとる
  • 発言のルールを決める
  • 人の意見は否定しない
  • 人の意見に対して拍手する
  • 人の意見を遮らない

大喜利のルール

 次に、大喜利のルールを解説します。

  • ゆっくり考えて回答してよい
  • 回答は挙手で宣言する
  • ツッコミはぜず、おもしろかったら笑う
  • 回答中、絶対に邪魔はにしない

 人の意見に対して拍手することや笑うことは、相手の承認欲求を満たす行為で、心理的安全性を確保してくれます。
 また、他人の意見・回答があることで、自分のアイデアは広がります。切り口や発想の飛躍が生まれていくのです。

ブレインストーミングの時間は長めにとる

 ブレインストーミングは2時間くらいが理想でしょう。その場で考える時間が必要だからです。

 ブレスト中に出たアイデアに対して、ディスカッションも大切です。むしろブレストの醍醐味といっていいでしょう。会議が盛り上がっているのに、時間が気になってしまうのはもったいないです。

発言のルールを決める

 ブレストの雰囲気を壊してしまわないように、発言のルールを決めておきます。人は話を最後まで聞かない人、話を遮る行為に不快感を感じるからです。

 また、話を遮ることは、その時点で発想の飛躍を止めている可能性もあり、ブレストの生産性も下げる行為となるのです。

  • 人の発言は遮らない
  • 意見がある時は手をあげる
  • 個人的なエピソードを話さない
  • ブレストの進行は司会者に任せる
  • 一回の発言はひとり3分まで
  • 話を遮ったらその場で席を立ち一回休み
  • 勝手に喋りだした人は書記を交代する

 これらのルールの他にも、独自の面白いルールを作ると場が和むかもしれません。

アイスブレイクの意味

 ブレインストーミング冒頭は、アイスブレイクをしましょう。

 アイスブレイクとは、簡単なゲームや雑談をして場を和ませるための工夫です。参加者の緊張をほぐして、コミュニケーションを取りやすい状態にします。そうすることで、柔軟な発想やアイデアが生まれやすくなるのです。

アイスブレイクの工夫

 会議室の環境を整えるのもアイスブレイクになります。場が和む工夫であれば、どんなことでもいいと思います。

  • 心地いい音楽を流す(歌詞のないBGM)
  • お茶を用意する
  • 座席にネームプレートを置く
  • 屋外で会議をしてみる
  • ブレスト中のニックネームを決める
  • 司会者はタスキをかける
  • 席はくじ引きで決める

 ちょっとした工夫で、雑談が生まれやすくなるのです。

会議の意味を決めるゴール設定

 ブレストの冒頭では、目的・目標の共有を忘れずにしましょう。ブレストの特性上、アイデアの飛躍により、会話が本題から外れてしまうことがあります。目的を共有していれば、いつでも本題に立ち返れます。

 ブレストはアイデアを結論づけて、決定することに意味があるのです。

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ブレストの終わり方

 ブレストの終了時には、以下の項目を確認するようにしましょう。

  • 今回のブレストで決まった事
  • 次回のブレストテーマ
  • 次回の開催日時

 ブレインストーミングは、盛り上がれば盛り上がるほど次回のことを忘れてしまいます。参加者が全員揃っている場で、次の予定を確認しましょう。
 その日のうちに、議事録やメモを共有し、フォローアップできれば、なおよいでしょう

ブレインストーミングを後押しするツール

 ブレインストーミング中、参加しているメンバーは同じ情報やイメージを共有する事が重要です。

ブレストはプロジェクター・ホワイトボードを使って可視化する

 ブレスト中は、プロジェクターで事前資料などをスクリーンに映します。ブレストの内容はホワイトボードで可視化しながら進めましょう。

 人は手元に資料があると、手元の資料ばかりに目線がいってしまいます。目線をひとつに集中させるためも、プロジェクター・ホワイトボードを活用します。

 アイデアをまとめるために、マインドマップやポストイットを使うのも有効です。

脳を知るマインドマップの書き方 - 初心者が注意したルールとはマインドマップは脳内を可視化するツールです。悩みの原因を探ったり、新しいアイデアを生み出したり、記憶の定着率を上げたりと、活用方法は多岐に渡ります。基本的な書き方・用語・ルールを覚えれば簡単に使用することができます。具体例を解説しながら、マインドマップ紹介しています。...

ブレインストーミングのアイデア・議事録はすべて残す

 ブレインストーミングで生まれたアイデアは、採用・不採用に関わらず、すべて議事録に残すようにしてください。不採用になったアイデアの中にも、後日、見直したら使えるアイデアが眠っているかも知れません。

 テープレコーダーやカメラを活用しましょう。スマートフォン・オンライン会議ツールで録画し、保存しておきましょう。

  • スマホアプリで録音する
  • カメラで録画する
  • 写真を撮って画像で残す

 議事録は書き直すことで、記録者の勝手な主観が入り、余計な編集をされてしまうことがあります。アイデアを編集してしまうことが一番もったいないので、勝手に使えないと判断しないことが大切です。

 また、ブレインストーミングを議事録にまとめるのは大変です。積極的にツールを使って楽をしましょう。

ブレインストーミングは楽しくなければ意味がない

 ここまで読んで頂いてありがとうございました。

 ブレインストーミングも大喜利も、面白くなければやる意味がありません。

 難しい顔をして考えていても、面白いアイデアや斬新な発想は生まれてこないです。脳が思考停止に陥らないように、事前の準備や環境づくり・空気づくりにも力をいれて臨むことが大事です。

 つまらない会議に、あなたの大切な時間を使うのはやめましょう。

 ブレインストーミングで新しいアイデアを発想し、世の中を変えていきましょう!きっと、あなたの人生は豊かになります。
 
 なにか、ヒントになればうれしいです。