宣伝会議賞2020 – キャッチコピー公募に初挑戦したら三次審査まで通過した
握手は綺麗な手で
課題:社会情報大学院大学
「企業の経営者が、<広報・PR>をもっと重視したくなるような
<広報・PR>にかわる新しい言葉やフレーズ」
宣伝会議賞、初挑戦で三次審査まで通過したキャッチコピーです。
初挑戦だったので「参加することに意味がある」と、先に言い訳を考えて挑んだ宣伝会議賞でした。
しかしながら、三次審査を通過したとたんに「あともう一歩でファイナリストの可能性もあったのか、、」と欲が脳から吹き出してきて、謙虚さはひっそりと顔を出すようになりました。本当にデタラメな人間です。
こんにちは、寿(ひさし)と言います。
宣伝会議賞、全体的な結果としては、
一次審査、1本通過。
三次審査、1本通過。
でした。上出来です。作戦が功を奏しました。その作戦とは、、「ひとつの課題に集中する」という、なんとも単純な作戦です。
実はぼく、宣伝会議さんが主催する「コピーライター養成講座」の卒業生です。
講座でコピーライティングを学んだことがきっかけで、宣伝会議賞に挑戦することにしました。講座の講師陣には、宣伝会議賞の審査員をされているコピーライターが数名いらっしゃいます。宣伝会議賞のアドバイスは頂いていました。
2020年の宣伝会議賞は、キャッチコピーの課題が23課題ありました。ひとつの課題に対し100本の応募ができ、上限数は2,300本、応募できることになります。
コピーライター養成講座の講師の方々は、みな口を揃えて「とにかくたくさん書け」と言います。数を考えることは思考の深さに直結するからです。小手先のテクニックよりも、考えた熱量とかけた時間が大事なんだと。
それが、講師の方々から頂いたアドバイスのひとつでした。
実際に宣伝会議賞に毎年挑戦している方の中には、上限数に達するまで応募している方もいるみたいです。コピーライターの登竜門とも言われ2,300本応募したプロもいたはずです。
でも、「2,300本も書けない」。
これは僕の正直な気持ち。まともに戦っても勝てないとも思っていました。ゆえに「ひとつの課題に集中する」という作戦で戦うことにしました。
「宣伝会議賞」は、日本でいちばん有名なキャッチコピーの公募です
そのコトバには、
2020 宣伝会議賞キャッチコピーより
100万円以上の価値がある。
グランプリは、賞金100万です。
ここで簡単に「宣伝会議賞」を紹介しておきます。
宣伝会議賞は、広告業界雑誌、月刊「宣伝会議」が主催する広告賞です。広告表現のアイデアを、キャッチフレーズ・CM企画などの形式で募集します。2020年は第58回目の開催でした。
審査員には「仲畑貴志」さんをはじめ、日本を代表する有名コピーライターが名を連ねます。歴代受賞者には「糸井重里」さんがいたりと、名実ともに日本最大の公募と言っていいでしょう。
毎年秋頃開催され、プロ・アマ問わず誰でも参加できる広告賞で、2020年のキャッチコピーの応募総数はなんと、
61万7203点!!
※一般部門
とんでもない数の広告アイデアが応募されました。
公募の課題の内容は、宣伝会議賞に協賛している企業が、自社商品や自社サービス・企業メッセージやスローガンなどの広告アイデアを募る形式で行われます。過去には「キッコーマン」「キンチョー」「SONY」など日本を代表する企業の参加がありました。
一次審査・二次審査・三次審査を通過したキャッチコピーはファイナリストとして選出され、それらの作品の中から、グランプリや協賛企業賞が決まります。
授賞式は開催年の翌年に盛大に行われ、2020の宣伝会議賞は、女優「南 沙良」さんがイメージキャラクターを務めました。
歴代のグランプリ作品は宣伝会議賞の特設Webサイトから閲覧できます。
コピーライターで宣伝会議賞を知らない人はいないでしょう。コピーライターの登竜門といわれ、業界ではあまりに有名な公募です。
「宣伝会議賞2020」審査を通過したキャッチコピー
審査を通過したキャッチコピーは2本でした。
審査を通過したキャッチコピー
三次審査通過キャッチコピー
課題:「社会情報大学院大学」
SKAT.20
企業の経営者が、<広報・PR>をもっと重視したくなるような
<広報・PR>にかわる新しい言葉やフレーズ
握手は綺麗な手で
一次審査を通過したキャッチコピー
課題:「セメダイン」
SKAT.20
シューズドクターNを使って、
すり減った靴底を直したくなる広告アイデア
靴底をジャッキアップ。
個人成績で見る「宣伝会議賞2020」
宣伝会議賞2020「キャッチコピー部門」は、全部で23課題。個人成績は次の通りでした。
- 応募数 107 / 2300本中
- 応募課題数 7 / 23課題中
- 通過課題 2 / 23課題中
- 一次審査通過 2 / 107本中
- 三次審査通過 1 / 107本中
応募者全体で見ると次の通りです。
- 一次審査通過作品 5946点 / 通過率 0.99%
- 二次審査通過作品 605点 / 二次審査通過率 0.10%
- 三次審査通過作品 153点 / 三次審査通過率 0.02%
- ファイナリスト作品 24点 / ファイナリスト審査通過率 0.004%
※通過率は応募総数における割合
※ひとつの課題につき100本応募可能(2,300本応募可能)
※一般部門の数字
出典:宣伝会議2021年3,4月号 参照
三次審査の通過率は「0.02%」!!
はじめての挑戦にして三次審査を通過したことは、評価していいのかも知れません。
宣伝会議賞の戦い方 – ひとつの課題に集中する
「1本でもいいから、僕の書いたキャッチコピーが審査員の目に留まること」
これが、今回の目標でした。先にお話しした通り、僕はコピーライター養成講座に通っていました。コピーライター養成講座の講師には、宣伝会議賞の審査員をしているコピーライターさんが数名いらっしゃいます。
コピーライターさんが口を揃えていうのは「同じ切り口のキャッチコピーが大半を占めます。誰もが思いつくコピーは審査員の目には留まらないと思った方がいい」とのことでした。切り口とは「広告対象の良さを、どのような視点で表現し伝えているか」です。
約61万点ある応募作品の審査は、細かい表現を見るのではなく、まずは切り口を見るのだそうです。
裏を返せば、他と切り口の違うキャッチコピーは目立つと言えます。他の応募者が思いつかない切り口を発見した時点で、審査は通過しやすくなるのです。
そこで僕は、数で勝負するのをやめ、切り口を探すことに時間をかけることにしました。さらに応募数が少ないと思われる「社会情報大学院大学」さんの課題を選択しました。広報やPRの仕事は誰もが体験できる仕事ではないので、応募数が少ないだろうと考えたんです。
一方、商品のキャッチコピーなど、身近で取り組みやすい課題は応募が殺到すると予想しました。たとえば、キッコーマンさんの「豆乳」、セメダインさんの「シューズドクターN」の課題がそれに該当します。
つまり、競争相手を減らし、自分の書いたキャッチコピーが他の方の作品に埋もれないようにしたんです。
作戦が功を奏したのか「社会情報大学院大学」さんの課題で三次審査を通過しました。
キャッチコピーをどのようにして考えたか
ここで「社会情報大学院大学」のキャッチコピーをどのようにして書いたか、手順を整理してみようと思います。
本・雑誌・Web、とにかく情報収集をする
「広報・PR」とは何か?
経営者は、どんな思考で何を考えているのか?
とにかく調べます。
僕には広報・PRの実務経験はありません。経営者になったこともなく、どのような視点に立って言葉を考えるべきかもわからない状態です。何の知識や情報もないのに発想が出てくる訳はありません。
キャッチコピーを考える時「ターゲット・ペルソナを考えよう」と言います。ですが、いくら完璧に設定を考えても、実体験からなるエピソードや実体験に基づいた感情には敵いません。
でも実体験をすることは難しい。であれば、調べた量と時間で実体験を補うしかありません。書籍やWeb検索・経験者へのインタビューなどを通じて、発想やアイデアを引き出し、語彙を増やしていくしかないのです。
コピーライター養成講座の先生は「現場に行って取材してきなさい」と言っていました。現場に行き取材して肌で感じたことが、キャッチコピーになっていくのだそうです。
コンセプトワードを考える
会社経営者は、広報やPRを「ブランディング」のために使いたいのではないでしょうか。
広報・PRに求められることは、顧客に向けて「自社をどのように受け取ってほしいか」情報を戦略的にマネジメントすることだと思います。
加えて、社長にかわり会社のビジョンや理念を表現する役目があると考えました。社長の言葉を、顧客にわかりやすく寄り添ったポジティブな言葉にして伝える役割が、広報・PRの仕事だと考えました。
この時点で「顧客」「握手」「ポジティブ」などのコンセプトワードを書き出していたと思います。
コンセプトに沿って、キャッチコピーを書きまくる
ここからはとにかく書きまくる段階です。いくつかご紹介します。








「選んで」「捨てて」「応募する」
候補を書き連ねたところで、応募するキャッチコピーを選んでいきます。
ひとつのアイデアであっても、言い回しや句読点、語尾を変えたりすると言葉の表情が変化していきます。
https://hisashi-media.com/catch-copy/宣伝会議賞2020の結果を受けて反省すべきところ
三次審査まで通過したことは素直に嬉く自信にも繋がりました。しかし、同時に反省点も山のように出てきました。
応募したキャッチコピーの数が少ない・応募していない課題がある
応募数107本。
すべての課題に取り組み、上限の100本に応募すれば2,300本書けたはずでした。
書かないことはチャンスを自分から捨てていると同義です。課題と向き合うことでしか技術の向上も成長もありません。とにかくなんでもいいから投稿しておくべきですね。

コピーライター養成講座で講義を頂いた、コピーライター「中村禎さん」の言葉です。
ひとつの課題にかける時間配分
宣伝会議賞は課題が発表されてから、ひと月半ほどの短期決戦です。
実をいうと、最初に取り組んだ課題はキッコーマンさんの「豆乳」の課題でした。身近な商品で愛飲していていたこと、前年度の宣伝会議賞でも同じ課題が出題されていたので、考えやすいだろうと思ったのです。
ただ、取り組みやすい課題は、それだけ切り口も出揃っています。そう思い、他人とは違う目立つキャッチコピーを書こうと商品の特徴を細かく調べすぎて、多くの時間を消費してしまいました。
ある程度調べたら、さっさっと書く方がいいですね。後で見直せばよかったんです。
過去の受賞作品を「SKAT」で見るべきだった

「SKAT」は、宣伝会議賞翌年に発行される、一次審査を通過したキャッチコピーが網羅されている単行本です。
プロアマ問わず応募できる宣伝会議賞は、電通をはじめ有名企業のコピーライターも同じ土俵で戦っています。
「SKAT」を見て多くの作品にふれておくと、課題の傾向や審査の基準・キャッチコピーのクオリティーがわかります。自然と自分の書いたキャッチコピーを選ぶ目が養われていくのです。
キャッチコピーが出てこない時も、眺めていればヒントになったりしますし、パクリは禁止ですが、アイデアの仕組みは真似させてもらうべきでした。
課題によってキャッチコピーを書き分けることの難しさ
宣伝会議賞はさまざまな企業が協賛しています。課題は商品のキャッチコピーから企業スローガン・メッセージ、社会課題など多種多様です。
課題を分類してみた
「商品・サービス」の課題
- キッコーマン
- サントリー
- 商工中金
- 日本情報経済社会推進協会(プライバシーマーク)
「企業スローガン」の課題
- 関西電力
- 中部電力
- ショーエイコーポレーション
「世の中(社会)へのメッセージ」の課題
- 社会情報大学院大学
- クレディセゾン
- JT
- 楽天デザインラボ
個人的に「商品・サービス」の課題は、取り組みやすい課題だと感じました。
- 身近な商品だから購入・体験できる
- 消費者の声が検索できる
- ターゲットが想定しやすい
- 過去のキャッチコピーを調べやすい
一方「企業スローガン」「世の中へのメッセージ」は、企業の歴史や時代背景を知らないと着想が難しいと感じました。
キャッチコピーの書き方を体系化する
闇雲にキャッチコピーを書いていても、いいキャッチコピーは書けません。論理立てて考える必要があります。そのためには自分なりのメソッドが必要です。
コピーライター養成講座の講師をしていた講師のコピーライターさんは、独自の理論を持ち体系化されていました。そして誰一人として同じ書き方をしていませんでした。
僕は、広告対象を調べながら関連語句・語彙を集め、それらの言葉から連想してアイデアや発想を広げていきます。一定のクオリティーを保つためには、「思いつき」「ひらめき」で書かず、論理的なアプローチが必要です。
https://hisashi-media.com/catch-copy/「SKAT.2020」自分の書いたキャッチコピーが掲載されました
審査を通過したキャッチコピーは、翌年の「SKAT.2020」に掲載されます。書籍に名前が載るのは素直に嬉しいですね。
次回の宣伝会議賞に活かして行きたいと思います。
宣伝会議賞に参加してみて
宣伝会議賞は多少お祭り的な要素があります。素直に公募を楽しむことも大切です。
ですが、本格的にプロを目指している駆け出しのコピーライターさんも参加しています。賞を狙って結果を出すことで将来が開けることもあるでしょう。なにより自信に繋がります。
本気で取り組み熱くなるのは、素敵なことだと僕は思います。
みなさんも、次回挑戦してみてはいかがでしょうか。
宣伝会議賞に挑戦した方、お疲れ様でした。
何かのお役に立てれば幸いです。