おもしろいエッセイの書き方とは?読者の心と感情を動かしてあなたのファンを作ろう
おもしろいエッセイは、
先が気になりますし、
感情が揺さぶられます。
結末はどうなるのか?
文章表現が面白い。
文章表現が面白くて魅せられているのか?
筆者のファンなのかも知れませんね。
おもしろいエッセイにはさまざまな要素があると思います。
こんにちは、のざき寿(ひさし)といいます。元お笑い芸人です。
エッセイの公募で賞をいただきました。365日、毎日noteでエッセイを書いています。
ぼくはnoteで毎日エッセイを書いています。
エッセイの公募にも挑戦し、いくつか賞を頂きました。
毎日エッセイを書きながら、どうしたら「おもしろいエッセイが書けるのか」をずっと考えています。
はじめは文章を書くことが億劫(おっくう)でした。
書いても、書いても、何の反応ももらえず「いったい何のためにエッセイを書いているのだろう?」と悩み、書くこと自体をやめようと思ったことは何度もあります。
でも、あるとき書き方を変えたら反応がありました。
「おもしろくて笑い過ぎて腹痛くなりました」とコメントをもらいました。
その時思ったことは、おもしろいかどうかは「読者の方が決めること」なんだって。
当たり前のことかもしれません。でも、自分の身の回りのことを描くエッセイでは、自己満足の文章になってしまうケースが多いのです。
その時から「読んでくれている人のためにエッセイを書こう」と強く思うようになりました。
それからいままでも、書き方の工夫は毎日考えています。
- 実体験をネタにする
- フォーカスを絞る
- 感情表現をする
- 思考の癖をつくる
- フリとオチを意識する
- 本質とカタルシスを語る
この記事では、ぼくが365日毎日エッセイを書いてきて気づいた「おもしろいエッセイの書き方」を紹介していきます。
事象と心象描くエッセイの書き方
エッセイとは「ある出来事(事象)に対して、自分がどう感じたのか・どう思ったのか(心象)を語る文章」です。
- エッセイ:事象と心象を描き読者を文章
- 小説:架空の主人公を作った物語
- コラム:世の中・社会の事柄に対しての意見・提案が含まれた文章
- 作文:事象と心象が自己完結している文章
ぼくの中ではこのような分類をして、文章を書き分けています。
事象と心象の書かれたエッセイとは?
道で段差に躓いて転んだ。
膝から血が流れて、痛かった。
すり足で歩いているから躓いたんだ。
この文章を事象と心象に分けてみます。
道で段差に躓(つまず)いて転んだ。
膝から血が流れて
痛かった。(感情)
すり足で歩いているから躓いたんだ。(思考)
たった数行ですが、これも立派なエッセイです。
人は感情と思考に面白さを感じる
おもしろいエッセイは、感情表現が豊かで思考の癖がある文章だと思っています。
先ほどのエッセイを、心象の部分だけ書き換えてみます。
痛かった。(感情)
すり足で歩いているから躓いたんだ。(思考)
思わず「痛ってぇー!」と叫んでしまった。前を歩いていた人たちが何人か振り返った。最悪だ。(感情)
もうこの靴は二度と履かない。転んだのは自分のせいじゃなく、歩きにくい靴を開発したメーカーにあると思う(思考)
道で段差に躓いて転んだ。
膝から血が流れて、思わず「痛ってぇー!」と叫んでしまった。前を歩いていた人たちが何人か振り返った。最悪だ。
もうこの靴は二度と履かない。転んだのは自分のせいじゃなく、歩きにくい靴を開発したメーカーにあると思う
事象を変えると嘘になってしまいますが、心象は自由に変えられます。
自分の感情や思考を掘り下げていくことが、新しい自分の出会うきっかけになったりもします。
これがエッセイの面白さです。
読者は、あなたと自分との「感情や思考の差」を面白がってくれるのだと思っています。
さらけ出しましょう。
自分をさらけ出すからこそ、ファンになってくれるのだと思います。
ぼくはそこにいちばん注意を払ってエッセイを書いています。
日記を書いて感情と思考をストックしておこう
おもしろいエッセイを書くには、感情や思考の広さ・深さがとても重要になってきます。
ぼくは毎日、日記を書いています。
どんな些細なことでも、おもしろい出来事でなくても、
自分の感情が動いた瞬間を日記に書き留めて、エッセイのネタとしてストックしています。
エッセイの書き方・手順と工程
細かいテクニックを語る前に、ぼくがエッセイを書くときの工程を紹介しておきます。
全体像を把握しないまま書き始めてしまうと、最後まで書ききれずにいつまでも完成しないということが起きてしまうからです。
文章は何度でも書き直せます。
書き直せるからこそ、いつまでも書き終わらない状態が続いてしまうのです。
ぼくも、完成しないエッセイが何本もあります。
エッセイはまず書き切ること
エッセイ・文章全般に言えることですが、まずは書き切ることが重要です。
- 文字数は無視して書き切る
- 文章を規定の文字数に近くなるまで削る・足す
- 話の筋が途切れていないか構成を見直す
- 読者にとって読みやすいエッセイになっているかを見直す
- 文章表現を工夫する(言い回し・比喩・文末表現)
- 誤字・脱字を確認する
ぼくがエッセイを書く時に行っている工程です。
まずは書き切ってしまうこと。これが本当に大事です。
書き切ってしまってから、推敲(すいこう)という細かい調整に入っていきます。
構成などの大きな見直しから、最終的に細かい誤字・脱字のチェックをして完成となります。
規定の文字数は考えずに書く
エッセイは大体、800文字から2,400文字くらいの文字数で書きます。
原稿用紙が400字で、2枚から6枚といったところでしょうか。
なぜこの文字数かというと、エッセイの公募が大体このくらいの文字数のものが多いからです。
まずは文字数を気にせずに書き切ってしまいます。2,400文字を超えてしまって構いません。構成や話の筋なども気にしなくていいです。
ぼくは初稿の段階で大体、5,000文字くらいになってしまいます。
大事な部分だけ残していく
ここから推敲が始まっていきます。
書きすぎた文章は、だいたいテーマ・伝えたいこととは逸れた内容が含まれています。
思い切って段落ごと削ったり文節を削除したりして、規定の文字数近くまで文字数を削っていきます。
ぼくはWordで執筆していますが、できれば推敲前の原稿は別に保存しておきます。
というのは、あとあと「あの内容やっぱり足そうかな」と思った時に、消してしまうと使えなくなってしまうからです。
修正前・修正後の差を見比べるためにも使います。推敲ごとのファイルは別にしておきましょう。
構成を入れ替える
ある程度、規定の文字数に近づいてきたら、構成を入れ替えていきます。
どのシーンから見せることが「エッセイを面白く見せられるか」を練っていきます。
読者を置いてけぼりにしないように、話の筋が途切れていないかに注意を払いながら構成を入れ替えていきます。
細かい文章表現の見直しをしてエッセイを磨いていく
エッセイの仕上げをしていきます。
- 描写に比喩や隠喩を使ってみる
- 文末表現を見直して単調さをなくす
- 主語の統一・主語・述語の見直し
- 語彙・専門用語の見直し
- 不要な接続詞の削除
- 誤字・脱字・送り仮名・句読点を見直す
この段階で構成を入れ替えることは基本的にはしません。
ほんとうに最後の調整です。
エッセイのタイトルは最後に決める
エッセイのタイトルは、文章を書き終えたあとに考えています。
というのは、はじめにつけてしまうと発想が狭まってしまう感じがするのです。
文章中を通じて伝えたいメッセージや印象に残ったフレーズなどを用いて「どんな物語なんだろう?」と興味をそそるタイトルをつけます。
キャッチコピーの考え方に近いかも知れませんね。
読者の興味を一瞬で惹く短い言葉を考えましょう。
おもしろいエッセイにする書き方の工夫
さあ、ここからは具体的な書き方のテクニックについて語っていきます。
ここからの内容は、ぼくが365日毎日エッセイを書いていて編み出した必殺技です。どんな本にも書いていません。
テーマを絞ってエッセイを書く
得意な分野・専門知識・これから勉強しようとしていることなど、自分が経験・実績のあることにテーマを絞ってエッセイを書いています。
やっぱり、知らないことを書こうとするとボロが出ますし、薄っぺらい内容になってしまいます。
読者は「自分が知らない世界を知りたい」のだと思います。
ぼくは介護職員としてデイサービスで働いています。介護現場で起こる出来事をもとに感じたこと・気づき・思考やアイデアを綴っています。
実体験があることは必須
介護現場で働いていると、ほんとうの様々な出来事・事件に出くわします。
職場の人間関係のこともあるし、ぼく自身の悩みもたくさんあります。
自分が体験しているからこそ、リアリティーのあるエッセイが書けると思っています。
これが空想や妄想の出来事であれば、読者は簡単に見破ってしまうでしょうし、ファンもつかないと思います。なので、AIライティングなどは一切使いません。
エッセイのコンセプト(目的・目標)を決める
テーマとは別に、コンセプトを決めます。
コンセプトを決めるとは、
- 誰に
- 何を
- どのように
伝えるのかを決めることです。
ぼくであれば、
ことがコンセプトになります。作家としての肩書きや経歴・実績もコンセプトに合わせて紹介しています。
これは読者にとってもメリットになります。
「この人はどんなエッセイを書く人なのだろう?」っていうことは事前に伝えておいた方が親切ですよね。
出来事でオリジナリティーを出さない
エッセイのネタになるような、おもしろい出来事はそうそうありません。
世界一周旅行でもしていれば話は別ですが、
おもしろい出来事をベースにして考えてしまうと、そうそうにネタ切れしてしまいます。
なので、エッセイストとしてのオリジナリティーは、出来事とは別のところで表現するようにします。
それが感情表現と思考の癖です。
感情表現を豊かにしよう
「嫌なことを言われて、腹がたった」
「腹が立った」という感情を掘り下げて考えてみます。
- 何に対して
- どのくらい
- そのあと、どうした?
自分の感情を表現するための言葉を探していきます。
「手が出そうになった」
「睨みつけたまま、自分から目を逸らすことはない」
「むしゃくしゃしたから、甘いものを食べて気持ちを落ち着かせた」
「二度とぼくから話しかけることはない」
「いいかげんにしろー!って叫んでしまった。」
こうして感情表現を言い換えたり行動で表現したりしていくと、オリジナリティが出てきます。
些細な出来事でも、感情表現次第で全く違った印象になるわけです。
思考の癖は性癖みたいなもの
「嫌なことを言われて、腹がたった」
この出来事に対して、自分はどういう気づきがあったのか。
エッセイの読者は、書き手の独特な思考に興味津々です。見てはいけないものを見たいのです。心の内は物質として目に見えないものですから。
「嫌なことを言って損するのは相手の方だ。ぼくは大人だから言い返すことはしない」
「もう、喧嘩上等で思いっきり言い返してやろうかとおもったけど、殴り合いになったら力負けするからやめておこう。殴られるのは嫌だ」
「この世からいなくなってしまえばいいのに。家に帰ったら日記に何度も書いておこう」
思考で人となりが滲み出てきますよね。
思考をさらけ出すことが、エッセイの面白さだと感じています。忖度ない正直な感想は清々しく、読者もあなたのことを好きになるきっかけになります。
おもしろい思考は、芸人のエッセイを参考にするといいかもしれません。
エッセイストとしての必殺技をつくる
感情表現と思考の癖を身につけたら、最後に必殺技を考えましょう。
エッセイストとして、作風や文体を作っていくことはとても大事です。
「このエッセイストは他の人と違う」という差別化するためのエッセンス・こだわりを作ります。
ぼくは「比喩表現」にこだわっています。
「赤い」と書くのではなく、
「りんごのように赤い」
「郵便ポストだ」
「日の丸のように」
「赤ちゃんのお尻のような色」
「初恋の相手にバッタリ会って体温が急激に上がったときくらいの赤らみで」
芸人をしていたので「たとえツッコミ」を考えるような感覚で考えています。少しでも面白いエッセイにするための工夫です。
大喜利やマインドマップを使って比喩表現や語彙を膨らませていくのもおすすめです。
フリとオチを意識してエッセイを構成する
オチのある文章だと、読者の印象に残りやすくなります。
ぼくがよく使う構成は「フリとオチ」の構成です。
介護現場は命を扱う仕事なので、常に緊張感があります。
たとえば、
まずは、フリです。
「デイサービスのある利用者さんが朝から歩行状態が悪い。調子が悪いのだろうか。大病を患っていて、いつ容態が急変してもおかしくない」
フリで緊張感を作っておきます。そしてオチです。
「なんとかデイサービスで1日過ごした。帰りに靴は着替えるときに左右反対に履いていることに気がついた。そりゃ、歩きにくいわけだ。気づかなくて申し訳なかった」
なんだ、そんなことか、
と思うかもしれませんが、このフリとオチの関係性は、ついつい読んでしまうエッセイ・先が気になるエッセイには不可欠なテクニックです。
お笑いでは「緊張と緩和」「裏切り」と言ったりします。
情景描写ばかりしすぎて、そこにあなたがいない
文学的に書きすぎると、情景描写ばかりになって人物が見えてこなくなるときがあります。
「灼熱の太陽が降り注ぐ。街を行き交う人たちは首にタオルを巻く人もいれば、扇子で自分をあおいで暑さを凌いでいる。アスファルトからは地熱が立ち上る。何もしないでたっているだけで汗が滝のように流れる」
このように、
舞台設定や状況説明をすることはとても大事ですが、そればかりしてしまうと物語は一向に前に進みません。
無駄のないエッセイは、セリフで舞台設定を説明していたり、登場人物の行動で状況説明をしていたりします。
お笑い芸人のコントで、
「今日は彼女とはじめてのデートだからなぁ。駅前のコンビニで待ち合わせているんだけど、もう時間なのにきてないよなぁ。すっぽかされたかなかなぁ」
なんて状況説明する一人台詞があったりしますが、不自然ですよね。
自然なセリフのやりとりで、
「何分待たせるんだよ。すっぽかされたと思って不安になったろーが」「ごめんごめん」「もう、汗ベッタベタだよ。風呂入りたい」「なにそれ?誘ってんの?」「ちっ!違うよ!」
とした方がいいですよね。
書き手であるあなた、主人公の存在をアピールしながらエッセイを書いていきましょう。
俯瞰した目線で本質を語ってみる
「〜は、こういうことじゃないだろうか」
みたいな、人生の気づきみたいなことを書くとエッセイに深みが出ます。
「老後を生きるということは、できないことが増えていくのではなく、大事なことだけを残して必要のないことを手放していく期間のことじゃないだろうか」
みたいなことです。
具体的な出来事から物事を抽象化して本質を語ることも、エッセイには必要な要素だと思います。
エッセイストになるには
まずは実績を作ること。
無名の人がエッセイストになるための方法ではないでしょうか。
ぼくが行っている実績の作り方の方法をいくつか紹介したいと思います。
エッセイの公募に挑戦する
企業が開催しているエッセイの公募や行政が主催となっているコンテストもあります。
公募の検索サイトで、エッセイの公募を探しましょう。
ぼくは公募で累計10万円の賞金を獲得しました。
実績にもなるし、ちょっとしたお小遣い稼ぎにもなります。
noteでエッセイを発信しよう
エッセイの公募で実績を作ると、あなたのエッセイに興味を持ってくれる方も増えていくと思います。
ぼくは実際にnoteでエッセイを販売しています。実績を見て興味を持っていただいていると思います。
個人ブログでエッセイを書こう
個人ブログを開設することもおすすめです。
自分のホームページを作って作品をまとめておけば、作品集としてアピールすることもできます。
エッセイ執筆の他に、書く仕事の副業をしたいと思っているなら、作品集(ポートフォリオ)として作っておくといいでしょう。
クラウドソーシング(クラウドワークス・ココナラ)など、Webライティングの実績としても使えます。
もっとくわしく「エッセイストになるには」を知りたい方はこちらの記事をどうぞ。
エッセイで新しい自分を発見しよう
ぼくがエッセイを書いていておもしろいと思うことは、
新しい感情や思考に出会った瞬間です。
自分でも知らなかった自分を発見することで、人生を豊かに生きるヒントに気がついたり、至らない部分にも出会ったりすることもありますが、
エッセイを通じて自分をもっと好きになることができました。
そしてその気づきが、誰かを楽しませたり豊かしたりすることも、
エッセイの醍醐味だと思っています。
だからぼくは、これからもエッセイを書き続けます。