仲の悪いメンバーが集まると、足の引っ張り合いが始まります。
仲の良いメンバーが集まると、協力し助け合います。
チームビルディングは、「成果の上がるチーム」を作るために企業組織で活用されています。
成果の上がるチームに大切なことは、良好な人間関係です。他人と良好な人間関係を築くと、人間関係で感じるストレスも軽減されチームに一体感が生まれます。
職場などで、チームが最大のパフォーマンスを発揮するために必要なことは、良好な人間関係といって過言ではないと思います。
次のような悩みをお持ちではないでしょうか?チームビルディングの具体的な方法をお伝えしたいと思います。
- 職場内で人間関係のストレスに悩まされている
- 成果の上がるチームを作りたい
- 主体性のないメンバーを「やる気」にさせたい
チームビルディングを成功させるために最も重要なことは、チームメンバーひとりひとりを知ることです。これに尽きます。
あなたは、一緒に働く仲間のことをどれだけ知っていますか?
他人の人生や歴史に関心を持ち、共有し互いに価値観を認め合う。その人の特徴を理解し、考えを知ることがとても大切なのです。
自己紹介が遅れました。はじめまして「寿(ひさし)」といいます。
僕がチームビルディングを学んだのは、前職Web制作会社に在籍しているときでした。その会社は当時、創業5年目。社員数15人規模の中小企業です。
Web制作会社の仕事は一般的に、営業・ディレクター・デザイナー・エンジニアと、作業工程によって分業されています。各々パソコンに向かって黙々と作業する日が多く、まったくコミュニケーションを取らない日はザラにあります。当社もそのような職場風景でした。
Web業界は、個人のスキルが重要視される業界ではあります。当社もそうでした。しかし、さらに大きな組織として飛躍するためには、チームで成果をだす風土やしくみが必要だと、会社の方針を見直す時期に来ていました。
そこで、外部コンサルティングに依頼し、チームビルディングの講習を会社役員含め、全従業員受けることになります。
結果、チームビルディングを学んだことで雑談などの自然な会話も増え、人間関係の深まりを感じました。一体感が生まれ、発言や意見交換が活発になり、クオリティや成果にいい影響を与えていたと思います。
それらの経験から得た学びをもとに、知識や具体的方法をお伝えできればと思います。みなさんのお役に立てると嬉しいです。
チームビルディングの「チーム」とは?グループとの違い

チームビルディングにおける「チーム」には、明確な定義があります。チームと近い言葉にグループがあります。違いを整理しておきましょう。
- グループ:ただの人の集まり
- チーム:同じ目的・目標を持った人の集まり
チームには目的・目標が必要です。会社組織はチームと言えるでしょう。家族も子育てという目的があるのでチームと言えます。一方、大学のサークル活動はグループとなります。
会社の目的・目標は、ビジョンやミッション・スローガンのことです。
なぜ、チームビルディングが必要なのか?

チームビルディングは、ジョブ型の働き方に向いているからです。
今までのメンバーシップ型の働き方は、ピラミッド構造の組織の中で、総合職を目指すことが目的でした。会社組織に準じた人材の育成に向いています。
しかし、昨今、会社組織での働き方が、従来のメンバーシップ型からジョブ型へ移行する企業が多くなってきました。働き方がジョブ型へ移行していくことで、個々の専門性を活かせるスター構造の組織が注目されています。
ジョブ型では個人の能力を重視する一方で、チームとして成果を上げる必要もあります。メンバー個々の人間性を知り、最大限の能力を引き出すためには、チームビルディングが不可欠なんです。
チームビルディング必要な目標設定とは?

成果を上げるチームになるためには目標設定が重要です。みなさんの所属しているチームは目標がしっかり定義できているでしょうか。
目標がしっかりと定義されていることでチームは結束し、成果というゴールに向かって動き出します。チームビルディングでは、目標には3つの種類に分類されます。
- 意義目標
- 成果目標
- 行動目標
では、詳しく見ていきましょう。
「意義目標」とは?
意義目標は、抽象度が高い目標です。
- 抽象度が高い
- 指標や行動を自分たちで考える必要がある
- 成果目標や行動目標を通じて達成したい事の先にある目標
企業でいう、存在意義(ブランドパーパス)やビジョン・ミッションに相当します。ひとつ例を挙げます。
水と生きる
サントリーホールディングス株式会社
意義目標は、抽象的な目標や概念を表現します。抽象的で幅広い解釈ができるので、自由な発想がしやすく、新しいアイデア生まれる目標です。
ですが、抽象的すぎる目標のため、具体的な行動が分かりづらい欠点をもっています。そこで、次に紹介する「成果目標」と「行動目標」を合わせて考えていく必要があります。
「成果目標」とは?
成果目標は、目標達成の指標を設定します。
- 数字などの指標が定められている
- 目標の達成条件が設定されている
一般的な目標は、成果目標と言っていいでしょう。仕事で日常的に意識るす目標は、成果目標であることがほとんどで、ノルマと言い換えられるでしょう。例をいくつか挙げます。
- 売上を前月比120%達成する
- 納品までのリードタイムを5%短縮する
- 生産効率を〇〇%向上させる
「意義目標」と「行動目標」の中間的なところに位置しています。
「行動目標」とは?
行動目標は、業務に直結した内容で、日々の行動や具体的な作業のことです。
- 具体的な作業・行動を決める
- 意義目標や成果目標を達成するための目標
- 個人個人の行動を明文化したもの
具体的な例としては、以下のようなことです。
- 企業の事業のサポートをするためにWeb制作をする
- 会社を知ってもらうためにブログを書く
行動目標は、行動が具体的に明文化されているため判断に迷う事がありません。ですが、行動が限定されているため、画期的なアイデアは生まれにくい目標になります。
チームビルディングには「意義目標」が最も重要
チームビルディングにおいて「意義目標」が最も重要です。抽象的な目標から具体的な目標や課題を見つけ出し、主体性に行動できる人を創るためです。自らアイデアを生み出し行動できる人材が、これからのチームに求められていくでしょう。
意義目標がしっかりと設定されているか、確認しておきましょう。

チームビルディングとは「人」「関係性」「仕組み」とは?

チームビルディングを成功させる秘訣は、次の3つの要素を最大化することです。
- 人:人材
- 関係性:人間関係
- 仕組み:評価制度
ひとつひとつ解説していきます。
チームビルディングの「人」とは?
自身を含めたメンバーの「強み」「長所」を把握しましょう。
- 強みと長所
- 得意なこと・苦手なこと
- 考え方・価値観
自分と他人の考え方や価値観を知り共有することが、チームビルディングにはとても重要です。
他人を客観的に知るために有効な、自己診断の方法やツールを紹介していきます。あなたが感じる主観的な解釈は置いて、客観的に判断することがポイントです。
人の思考特性を知る、ハーマンモデル(利き脳診断)

ハーマンモデルは、人の「利き脳」を知るための診断です。
ノーベル賞科学者ロジャー・スペリーなど、大脳生理学の研究成果をもとに、ネッド・ハーマンにより開発されました。
人には利き腕や効き目があるように、思考にも自然に使っている「利き脳」があります。この利き脳がその人の思考特性を決めるのです。
人の思考特性は、コミュニケーションや意思決定・問題解決・マネジメントスタイルなどに影響するといわれています。
脳は次の4つの部位から構成され、それぞれ違った機能をになっています。
- 大脳新皮質側の左脳を「A」
- 辺縁系側の左脳を「B」
- 辺縁系側の右脳を「C」
- 大脳新皮質側の右脳を「D」
自分の効き脳(利き脳)にあった活動であれば、人は苦痛を感じることなく高いモチベーションで作業に集中でき、仕事や勉強の成果を上げやすくなります。
一方、自分の効き脳(利き脳)に合わない行動は、苦手意識を感じ、やる気も起きにくい状態にしてしまうのです。
ハーマンモデル診断は、IBM・マイクロソフト・資生堂などの企業研修で採用されています。世界各国で200万人以上の利用実績がある信頼性のおける診断です。
人の得意分野を知る、ストレングス・ファインダー
自分の強み(ストレングスポイント)を知るためのツールです。
人は欠点を克服するための努力に、多くの時間を割いています。しかし、もっとも効率のいい努力は、自分の長所を正確に把握し成長させることです。
ストレングスファインダーは、あなたに関する180問の質問が用意されています。診断の結果を、34の長所となる資質に当てはめ、あなたの得意分野を導き出します。
チームビルディングでは、各メンバーが長所を最大限に活かすことが重要です。まずは、メンバーそれぞれの長所を把握し共有しましょう。
人の性格を知る、エニアグラム診断

人間の性格を、9つのタイプに分類する診断です。自分の内面にある本質を知るために有効なツールです。
エニアグラム診断は、9つのタイプに分かれた20の質問、合計180の質問のに答えることで性格を診断します。その人の、ものごとへの感じ方や感情・感性を知るために有効な診断です。
- 完全でありたい人
- 人の助けになりたい人
- 成功を追い求める人
- 特別な存在であろうとする人
- 知識を得て観察する人
- 安全を求め慎重に行動する人
- 楽しさを求め計画する人
- 強さを求め自己を主張する人
- 調和と平和を願う人
チームビルディングにおいて、相手がどう感じているかを考えることはとても重要です。発言や行動の裏にどのような心理が働いているか、知る手がかりになります。
僕は前職で、ハーマンモデル診断を受けました。診断の結果、アイデア発想やコミュニケーションには得意で、論理的な思考や計画性は不得意との結果でした。
Webエンジニアとしてプログラミングを仕事にしていましたが、診断の結果から、ライティングに仕事の幅を広げていこうと思いました。
人の特徴を知り、その人が能力を最大限に発揮できる環境を、チームメンバーで創っていきましょう。
チームビルディングの「関係性」とは?
チームビルディングは、良好な人間関係を築くことがとても重要です。
良好な人間関係とは、コミュニケーションでストレスを生まない環境だと思います。そのためには、チーム内で心理的安全性を保つこと、発言や指摘によって相手がどのように感じるかを理解する必要があります。
チームの心理的安全を保つ
チームビルディングには、気兼ねなく意見を言える環境が必要です。そのために心理的安全性を保ちましょう。
心理的安全性とは、組織行動学を研究するエドモンドソンが、1999年に提唱した心理学用語です。「チーム内で他のメンバーが自分の発言を拒絶したり、罰したりしないと確信できる状態」と定義しています。つまり、チームの中で自分の考えを誰に対しも安心して発言できる状態を保つことです。
2012年、Googleが心理的安全を重視した組織運営に取り組み、調査・検証を重ねて世界に広げたことで、重要視されるようになりました。精鋭を集めたチームでも、心理的安全性が低い職場では生産性が上がらないと結論づけらてれいます。
効果として、パフォーマンスが向上・活発な情報交換・新たなイノベーションの創出など、様々な効果があります。
心理的安全に支障をきたす原因は4つです。これらの不安を取り除くことが心理的安全性を保つ上で重要になります。
- 無知だと思われる不安
- 無能だと思われる不安
- 邪魔だと思われる不安
- 批判的だと思われる不安
あなたが所属するチームの心理的安全性はどうでしょうか?

コーチングで仲間のタイプを知る

コーチングでは、人は大きく以下の4つのタイプに分かれます。タイプによって掛ける言葉や行動に気を配ることが、チームの人間関係を良くします。
- 実行力でチームをリードするコントローラー
- 夢を語って盛り上がるプロモーター
- 合意と協調を重んじるサポーター
- 冷静沈着に現状を分析するアナライザー
メンバー間でコーチングのタイプを共有し、互いの価値観を尊重したコミュニケーションが大切にしてください。
チームビルディング「仕組み」とは?
チームには、ルールや秩序が必要です。ルールや秩序のないチームは、自分勝手な行動を引き起こします。仕組みとはルール作りのことです。
ルール作り5つのポイント
ここでは、ルール作りのポイントと、ヒントとなるチェック項目を挙げていきます。
- What:何をルール化するのか
- Who:誰が決めるのか
- Where:どこまで責任を負うのか
- When:どのくらい確認するか
- How:何を評価するのか
◆ What:何をルール化するのか
- 人の全ての行動を監視するか?
- やらない事、禁止事項は?
◆ Who:誰が決めるのか
- リーダーが決めるのか
- 多数決で決めるのか
- 個人個人に任せるのか
◆ Where:どこまで責任を負うのか
- チーム全体の責任なのか
- 個人の責任なのか
◆ When:どのくらい確認するか
- 月一で見直すのか
- 年単位で見直すのか
◆ How:何を評価するのか
- プロセスを重視するのか
- 成果を重視するのか
上記を意識しながら、チームのルール作りをしていきましょう。
チームビルディングが長期間にわたる理由とは?
チームビルディングは長期に渡るプロジェクトになります。半年から1年くらいの期間をかけて取り組みます。それは、チームには成長する過程があるからです。短期間で人の意識を変えることは難しいのです。
チームが今、どの成長過程にあるかを把握しておくことで、今、チームがどのような課題を解決するべきかがわかります。
ここでは、その過程を解説していきます。
チーム変革までの道のり

成果を上げるチームになるまでには、次のような段階があります。
- 個人の気づき、意識変化
- 個人の行動、習慣が変わる
- チーム全体が変わる
いちばん最初の変化は、個人の変化です。個人が変化しないかぎりチームの変化はありません。では、個人はどのように変化していくのでしょう。
個人のパフォーマンスが発揮されるまで

人は意識が変わればすぐに成果がでる訳ではなく、物事が身につくまでに数々の段階があります。「知らない」から「している」になるまでには、多くのステップを踏むのです。
人間には「ホメオスタシス」という、一定の状態を維持しようとする働きがあり、無意識に習慣化できてから、成果に現れてきます。

タックマンモデル – チームが成熟するまでの困難
個人が変化した後は、チーム全体が変わる必要があります。
タックマンモデルとは、チームが成熟するまの、5段階のステージを表現したものです。1965年に心理学者のタックマンによって提唱されました。
タックマンモデル

タックマンモデルを理解することで、チームの状態が不安定になっても冷静に対処出来るようになります。
- STEP1 形成期
- STEP2 混乱期
- STEP3 統一期
- STEP4 機能期
- STEP5 散会期
◆ STEP1 形成期
チームが立ち上がったばかりのタイミング。メンバーのコミュニケーションやチームとしての目標を探っている時期。
◆ STEP2 混乱期
チームの目標や各自の役割・責任について混乱や意見の対立が起こるタイミング。メンバー同士本音で語り合う期間とも言えます。
◆ STEP3 統一期
目標や役割などの共通認識がとれ、メンバー同士の相互理解や尊重が生まれる期間。
◆ STEP4 機能期
チームが成熟して、リーダーの指示がなくともメンバーが各々の役割を果たし、自律して行動できる期間。
◆ STEP5 散会期
目的を達成したり時間的な制約を受けてチームが解散してしまう期間。
この5つのステップが共有できると、余計な不安がなくなるでしょう。
チームビルディングの参考書籍
ここまでチームビルディングについて、具体的な方法を解説してきました。この記事で参考にした書籍を紹介します。
在宅勤務だからこそチームビルディングが必要
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
2020年以降、働き方が大きく変化しました。在宅勤務が主流になりつつあり、対面せずに仕事を進めていくことに違和感がなくなってきています。
自宅に篭り、ひとりで仕事をしていると、他人との繋がりを感じにくく、組織やチームで働く意味が感じられなくなってきます。
僕は、全ての仕事をひとりでしているような錯覚に陥りました。ですが、仕事はひとりでは完結しません。
個人事業主でもフリーランスでも、人が集まればチームです。
成果の出るチームを作るために、チームで必要とされる人材になる為に、チームとは何かを学んでおくとこは大事だと思い、この記事を書きました。
在宅勤務やリモートで、相手の顔が見えない状況で仕事するこが増えたからこそ、より、相手を理解する知識や技術が必要とされるでしょう。
人間関係のストレスを軽減するためにも、チームビルディングを活用しましょう。
何かお役に立てればうれしいです。