新しい習慣を身につけるには、習慣化のメカニズムを理解する必要がある。
よく三日坊主というが、三日続いたことは習慣化する可能性を秘めている。
三日坊主を何度も続けているうちに、自然に習慣化しているものだ。
努力しようと思ってはいけない。
心から望む目標が明確にあれば、自然に行動がついてくるのだ。
いい習慣を身につければ、
いい人生になる。
いい人生は、
いい習慣の連続で創られる。
精神論や根性論では習慣化は難しく、忍耐と我慢を必要とする努力はいづれ限界を迎えてしまう。習慣化に失敗する人のほとんどは、そんな理由だろう。
行動とともに脳の思い込みを変える必要がある。そうすれば習慣化の期間は最短、明日からということも可能になる。
毎日のランニング・読書・ギター・執筆など、様々なことを習慣化してきた。仕事へ行くために出勤することさえ、ひとつの習慣といえる。
脳のメカニズムを知り、思い込みや潜在意識の使い方を学び、具体例な方法や知識・習慣化を阻害する原因などを学んでいきたい。
習慣化にかかる期間はどのくらいか
一般論として、習慣化にかかる期間は平均66日だといわれている。
これはロンドン大学のフィリッパ・ラリー博士によって研究された「人間の習慣化」が根拠となっている。
- 行動習慣(読書・勉強等)は1ヶ月
- 身体習慣(ダイエット・運動・早起き等)は3ヶ月
- 思考習慣(論理的思考・プラス思考等)は6ヶ月
人間はこれらのプロセスを経て、物事を習慣化するそうだ。
「最低でも3ヶ月は続けてください」と耳にする。しかし、3ヶ月続けても習慣化できないことがある。
「やらなければいけない」
義務感や囚われた忍耐や我慢で続けている努力は、いづれ限界を迎えてしまう。
「やらないと気持ちがわるい」
そう思えなければ習慣化できないのだ。期間の問題ではなく、気持ちや思考の問題なのだと気づくことが習慣化の第一歩といえる。
すでに習慣化できていることに目を向けてみる
睡眠・食事・風呂・着替え・歯磨き。
これらは習慣だ。人はもれなく、習慣化に成功している。
習慣化とは何か
習慣化というと「新しい何かを継続して身につけること」そう考えている人が多い。
でも実は、習慣とは無意識に行っている行動のことなのだ。つまり習慣とは、意識しなくてもできていることなのだ。
このことをより理解するためには、潜在意識の存在を知る必要がある。そして潜在意識を意識的に利用する必要がある。
「歯磨きができない」「ご飯の食べ方がわからない」と思うだろうか。
「自分にはできる」と、脳の思い込みを書き換えない限り、習慣化の期間は永遠に終わらない。
習慣化するまでの期間は潜在意識が決めている
潜在意識とは意識しなくても働いている意識のこと、つまり無意識のことだ。
習慣化は、無意識が働かなければ達成できない。
パソコンのOS(オペレーションシステム)」。古いOSのままでは、新しいソフトウェアは動作しない。OSは定期的にアップデートする必要がある。
新しい習慣を取り入れることも一緒だ。
まず思い込み・潜在意識を新しく書き換える必要がある。

習慣化までの期間を短くするコツとは
習慣化までの期間を短くするには、思い込みを書き換えることが大切だ。
自分の思い込みを書き換える前に、現在の自分は「何を思い込んでいるか」を知ることが重要になる。
- モチベーションの正体
- メタ認知
これらを理解することで、自分の思い込みを客観的に見つめることができる。
習慣化を後押しするモチベーションの正体
習慣化には高いモチベーションが必要だ。
モチベーションとはなにか。動機や行動する意欲のことだ。
モチベーションを高めるコツは、ふたつのモチベーションを支える要素を理解しておいたほうがいい。
ひとつは「報酬」
もうひとつは「身の危険」
「報酬」がモチベーションを高める
報酬とは、習慣化をすることで得られる成果・結果のこと。
何の成果も得られないまま努力を継続することは、タダ働きをずっとさせられるようなこと。習慣化における報酬は、次のようなことが挙げられる。
- 食事管理を習慣化すれば、スリムな体型が手に入る
- スキル学習を習慣化すれば、評価され給料が上がる
- 運動習慣を習慣化すれば、健康的になる
これらの報酬が得られるからこそ行動する意欲、つまりモチベーションが高く保てるわけだ。当然、高いモチベーションを保ち続けられれば、習慣化する期間も短くなる。
報酬を得るために集中力が高まっているとき、脳内では、やる気・幸福感を感じさせる物質、ドーパミンが放出される。
「危険」がモチベーションを高める
危険とは、変化しなければならない危機的状況のこと。
人間は生命を維持するために、あらゆる機能が備わっている。3大欲求である、食欲・睡眠欲・性欲は、生命を維持するために無意識で働いている。
日常の危機的状況を考えてみる。
- 肥満による生活習慣病でダイエットが必要
- 健康のために、禁煙・禁酒を医師から忠告された
- 時代の変化に取り残されないように情報収集が必要
これらの危険を回避するために「〜しなければならない」と、欲求が高まります。つまりモチベーションが高まるのだ。
危険回避のときに放出される物質は「ノルアドレナリン」。ノルアドレナリンは交感神経の情報伝達物質で、「闘争または逃走」の役割を担っている。血圧の上昇・心拍数の上昇が起こる。
モチベーション正体はホメオスタシス
ホメオスタシスとは、生体恒常性ともいわれ、人間が一定の状態を維持しようと、変化を拒む働きのことだ。
足や腕に擦り傷をしたとき。傷は、かさぶたになり自然に完治する。これは人間に「皮膚は傷のない状態が正常である」とプログラムされているからだ。ホメオスタシスが働くから傷は完治する。
このことを習慣化で考えてみる。
物事を習慣化したのちの、なりたい自分の姿を、脳・潜在意識に思い込ませ記憶させる。
するとホメオスタシスが働き「理想の状態が正常である」と、現状の自分と理想の自分との差を埋めるように働く。
潜在意識の書き換えが、習慣化を促すのだ。
人はこのホメオスタシスの作用を、モチベーションと呼んでいる。
習慣化に必要なメタ認知
モチベーションを高く保ち続けるためには、自分の脳が「どんな状態か?」を知ることが必要です。その方法として、メタ認知を取り入れます。
メタ認知とは、自分自身を客観視・俯瞰視することです。自分は普段、何を考え・どのような行動を選択しているか、もう一人の自分が認識するのです。
メタ認知の日常的な例として、次のことが挙げられます。
- 自分の声を録音して聞いてみたら思っていた自分の声と違う
- 自分自身を撮影した動画が恥ずかしくて見てられない
これは、主観で思い込んでいる自分の姿と客観的な自分の姿にズレが生じているからです。メタ認知を意識せずに自分自身を知ることは、とても難しいのです。
その点でいうと、芸能人・タレントはメタ認知力が高いと言えますね。芸能人・タレントは、常に自分自身が視聴者や観客にどのように映っているかを意識しています。そのうえで人気や高感度が上がる言動や振る舞いを選択しブランディングしているからです。
このメタ認知という方法を使い、脳の思い込みを監視していきます。モチベーションが高まる脳の状態を意図的に構築していくのです。
メタ認知の具体的な方法は「手書きのメモ」
僕が思う、脳のメタ認知の手段は、「感情が動いた時にメモをとる」ことです。
例えば、友人と遊んで楽しかった・映画を見て感動した・仕事で失敗して落ち込んだなど、感情の変化が生じた時にメモを取ります。主観的な感情はメモを取ることで自分から切り離されて客観視できるようになります。音声録音・動画撮影も有効な手段かも知れません。
習慣化までの期間を短くする具体的なコツ
ものごとを短期間で習慣化するための具体的なコツを紹介していきます。
習慣化には心理的安全性が必要不可欠
習慣化する目的・目標をしっかり持ちましょう。
何のために、なぜやるのか
これらのことが明確でない場合、努力が無意味に感じられ、不安になることが多くなります。習慣化をした先に得るものがなければ、習慣化はできません。
心の底から達成したいこと・やりたいことを掘り下げて考えることで、習慣が意味のある行為だと分かり心理的安全につながるのです。

習慣化の方程式
習慣化には方程式があります。
【 習慣化の方程式 】
習慣 = 思いの深さ * 繰り返し
習慣とは、「思いの深さ」「繰り返し」で構成されています。
脳が「楽しい」と感じることをする
習慣化は、脳が「楽しい」と感じることが、とても重要です。
- スマホゲームにハマってしまう
- 漫画を徹夜して読んでしまう
これらの行動は、脳が「楽しい」「ワクワクする」と感じることで放出される、ドーパミンという神経伝達物質が作用しているからです。没頭し、のめり込むことはモチベーションそのものなのです。
脳のメタ認知を使い、自分の感情がポジティブに向いているか確認しましょう。
悪い習慣を捨てる
新しい習慣を取り入れる前に、不要な習慣を捨てましょう。
たとえ新しい習慣を身につけ無くても、悪い習慣を捨てるだけで生活は豊かになっていくはずです。
- 夜ふかししてしまう
- TVを見すぎてしまう
- 食べすぎ・飲みすぎ
これらの悪習慣を捨てるだけで、時間に余裕が生まれ、新しい習慣を取り入れる余白ができます。時間の余裕がないことは、習慣化を妨げる大きな原因になります。

健康管理・生活習慣の管理をする
体が健康でないと、ポジティブ思考になれず、適切な判断ができなくなります。不規則な生活・不摂生は習慣化に悪影響を及ぼします。
小さな成功だけに目を向ける
たとえば、運動の習慣を身に付けようとしている場合。
その日はモチベーションが上がらず、ジャージに着替えただけで運動しませんでした。その時、「ジャージには着替えた」とポジティブに考えるか、「運動せずにその日を過ごしてしまった」とネガティブに考えるかです。
できなかったことよりも、できたことに意識を向けるようにしましょう。
人の脳はネガティブな感情に敏感に反応します。それは、人間に備わっている危険回避の本能によるものです。つまり、人間はネガティブな思考に目が向きやすい動物なのです。
小さな成功に目を向けることが習慣化への近道です。
何度でもチャレンジする
途中で習慣が途絶えたとしても、何度でもチャレンジしましょう。
何回もチャレンジしていくうちに、成功と実績は積み上がっています。できたことに目を向け、少しずつでも自信をつけていくことが大切です。
ゲーム感覚で習慣化の期間を短くする
中間目標を設けるなどして、目標を達成する度に自分へのご褒美などを考えるのもいいでしょう。
- 一週間継続できれば、自分へご褒美
- 一ヶ月間継続できれば、自分へご褒美
- 3ヶ月間継続できれば、自分へご褒美
ゲーム感覚で楽しみながら習慣化していきます。
心理的トリガーでモチベーションを高く保つ
- この曲を聴くとモチベーションが上がる
- この映画を観るとワクワクしてくる
- この食べ物を食べると元気になる
- この人と話すとエネルギーをもらえる
これらの感情をポジティブにする要因を、心理的トリガーと呼びます、モチベーションがあがらないと感じた時は活用しましょう。
他人を巻き込み強制的に習慣化する
習慣化の理由を自分の外側に作ります。
他人に見られている状況をつくることで、手を抜くことが難しくなります。強制的にやらざるを得ない状況を作るのです。
- 目標を他人と共有する
- SNSで報告するようにする
- 一緒に頑張る人を探す
自分ひとりの力で習慣化が難しい場合は、他人の力を借りましょう。
人間は習慣でできている
いい習慣が、
いい人間を育み
いい人生を創ります。
習慣化は誰もが大切だと思っているはずです。ですが、継続は難しく、途中で諦めてしまう方が多いのではと思います。
僕は、根性論や精神論では習慣化できませんでした。数々の失敗で学んだことは、習慣化のメカニズムを知ることでした。
脳の思い込みを書き換えることで、明日から習慣化できることは事実です。そして、一生続く習慣となるでしょう。
この記事が、みなさんのお役に立てればうれしいです。