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カスタマージャーニーマップの作り方とは

 カスタマーは訳すと顧客、ジャーニーは旅、マップは地図です。カスタマージャーニーマップは顧客の感情や行動を可視化した、顧客理解と顧客対応のツールです。

 お客さんに、あなたの商品を買ってもらうためにはどのようなキッカケや具体的な行動が必要でしょうか。

 たとえば、あなたがスーパーで買い物をしているとします。新商品に目が留まり、買い物カゴへ商品を入れてレジで精算し購入する。この消費行動を分解してみると、

  • 新聞の折込みチラシで新商品の情報を得る
  • 夕飯のお買い物でチラシのことを思い出す
  • スーパーで新商品を見つける
  • パッケージデザインからどんな味か興味が湧く
  • 買い物カゴに入れる
  • レジで精算する
  • 家族と一緒に食べる

 日常的な消費行動にもこれだけの感情の動きや行動があります。カスタマージャーニーマップは、顧客が商品を購入するまでのストーリーを整理しやすい形式で可視化していきます。

 ホームページ制作においては、コンテンツ設計やホームページへの導線を考えることに役立つでしょう。

 この記事では、カスタマージャーニーマップの具体的な作り方や工程、作り方のコツをお伝えしていきます。

カスタマージャーニーマップの目的

 カスタマージャーニーマップの目的は、消費行動の仮説を立てることにより、マーケティング戦略の現状把握や問題点の洗い出し、新しいアイデアを発見することにあります。

顧客視点が身に付く

 カスタマージャーニーマップを作る過程では、顧客の感情や行動をイメージします。これにより、自社の視点から顧客視点へと考え方の出発点が変化し、今までに考え付かなかったアイデアや問題点に気づくのです。

組​​織内で顧客理解を共有きる

 カスタマージャーニーマップは、顧客が商品を購入するまでのプロセスを体系化して可視化していくものです。
 販促チームで作ったカスタマージャーニーマップは、営業部署や商品開発チーム・顧客サポートチームなど、組織内で共有できます。組織内で共通言語が生まれることで、意思疎通がスムーズになり結束力も高まります。同じ目標に向かって生産性の高いパフォーマンスが発揮できるのです。

カスタマージャーニーマップの具体的な作り方

 ここからは、カスタマジャーニーマップの具体的な作り方を解説していきます。作り方の工程は、大きく8つのステップからなります。

  • テーマを決める
  • ペルソナを設定する
  • 行動を洗い出す
  • 行動をステージに分ける
  • 顧客接点を明確にする
  • 感情の起伏を想像する
  • 対応策を考える
  • アイデアを追加する

土台となる情報を整理しよう

 上記の8つの工程を、さらに「土台」「顧客視点」「企業視点」と、3つに分けて考えていきます。

 まずはカスタマージャーニーマップの土台となる情報を整理していきましょう。最初の設定が間違ってしまうと、後の工程すべてに影響してしまうので、チーム内でしっかりと議論して決定していってください。

テーマを決める

  • 自信が所属している企業名・部署名
  • 売りたい商品・サービス
  • 顧客のスタート
  • 顧客のゴール
  • 期間

 自分が所属している企業名や商品はもちろんですが、スタートとゴールを顧客側の視点で考えることが重要です。
 顧客のゴールは、なにも商品購入だけとは限りません。商品の認知度やお問い合わせ、SNSでの情報拡散やホームページのPV向上など、定量的に計測できる指標であれば何を設定してもいいのです。

 そもそもの目的や目標を整理するために「5W1H」を使うと整理しやすくなります。

5W1Hの考える順番
5W1Hの考える順番 - 相手への伝え方企画やプレゼンなど自分考えが人に伝わらない時がありませんか?人に何かを伝える時は伝える順番が大事です。5W1Hの上手に使い相手に分かりやすい順番を解説します。またアイデアを考える時にも5W1Hの順番は大事です。参考の本もご紹介します。5W1Hが有効に使えるようになります。...

 期間は、顧客がスタートからゴールに到達するまでの期間を設定します。目標値として設定する場合は、現実的に可能な期間を設定しましょう。

 目的や目標の設定には「SMARTの法則」を使うと便利です。

【SMARTの法則】は時代遅れなのか? - 目標設定・目標達成のコツとは?SMART(スマート)の法則は具体的な目標設定をするために有効なフレームワークです。SMART(スマート)の法則はビジネスシーンで、プロジェクトマネジメント、従業員の業績管理、能力開発の基準を示す為に多く使われています。努力の継続のコツも合わせて紹介しています。...

ペルソナ(顧客)を設定する

 次に、カスタマージャーニーマップで旅の主人公となる顧客像(ペルソナ)を作ります。このペルソナがゴールに到達することが、カスタマージャーニーマップの目標になります。

 具体的なペルソナの作り方は次の記事で紹介していますので、参考にしてみてください。

セグメンテーションとターゲティング(ペルソナ)の違いとは  セグメンテーションは市場のことを指します。ターゲティング(ペルソナ)は、セグメンテーションから絞り込んだ顧客層のことです。 要するに...
ペルソナシートのテンプレートを使ってターゲットを明確にしよう  ペルソナとは、商品やサービスを買って欲しい・利用してもらいたい人物像です。テンプレートを使うことで、ペルソナを設定するときのヌケ・モ...

顧客視点で考えよう

 つぎに顧客視点でカスタマージャーニーマップを考えていきます。

行動を洗い出す

 顧客の行動とは、カスタマージャーニーマップのスタートとゴールまでの顧客の動きです。たとえば、顧客がテレビCMであなたの商品を知った場合、商品購入までにどのような行動が考えられるでしょうか。

  • テレビCMを見る
  • インターネットで検索する
  • SNSで評判調べる
  • ホームページの商品ページを見る
  • ホームページから注文する
  • 後日、商品受け取る
  • 商品レビューを書く

 自分自身がお客さんとなり、行動をイメージしてみてください。アイデアベースで構いません。カスタマージャーニーマップは仮説をつくり、検証と改善を重ねていくものだからです。

行動をステージに分ける

 ステージ分けとは、行動をカテゴライズしていく作業で、上記で洗い出した行動を仕分けしていきます。

  • 商品との出会い
  • 商品のリサーチ
  • ホームページでのコミュニケーション
  • 商品購入

 前述の顧客行動は、これらのステージに分類されます。顧客が商品購入に達するまでのステージに漏れがないか確認しながら仕分けしていきます。

顧客接点を明確にする

 顧客から見た、企業や商品との接点を考えていきます。具体的には次のような接点が考えられます。

  • テレビCM / ラジオCM
  • 動画広告 / Web広告
  • 口コミ
  • スマートフォン・SNS

 広告媒体や物理的なデバイスやツールなどは問いません。また、自社が扱っていない接点もアイデアとして挙げてみましょう。可能性の幅が広がります。

感情の起伏を想像する

 顧客のスタートからゴールまでの感情の起伏を考えていきます。たとえば、あなたの商品に出会った時の感情はどうでしょうか。洋服などの身につけるものであれば「かっこいい」「かわいい」でしょうし、食品であれば「おいしそう」などの感情が想像できます。
 逆に「めんどくさそう」「今度にしようかな」など、好意的な感情ばかりではないかもしれません。

 最終的に顧客の感情がポジティブになるように、顧客行動と顧客接点を踏まえて、感情の設計を考えていきます。

企業視点で考えよう

 ここからは企業側の視点に立って考えていきます。顧客視点で洗い出した課題や問題点を解決するためのアイデアや方法を検討していく工程です。

対応策を考える

 顧客視点で考えた、顧客の感情がネガティブになるポイントで対応策を考えていきます。たとえば、商品情報を追加する・サポートメールや電話をする・SNSで積極的にアピールする、など、具体的な施策や打ち手を考えましょう。

 人員や予算的に実行が難しいからやめる、などの行動を阻害する要因はいったん置いておき、お客さんのためにできることを自由に考えた上で実行の方法を考えるようにします。現状ではできないことも、将来的にはできるようになる場合があるからです。

アイデアを追加する

 作り方の最後は、今まで考えてきた視点ではなく、考えてきた視点の枠を越えることを考えます。

  • 商品の売上を10倍にするには?
  • 海外に進出するためには?
  • 生産コストを50%引き下げるには

 今まで考えてきたことは、現状でできる範囲のアイデアや試作でした。上記のアイデアは、現場の枠を越え、新しい手段を考えることが目的です。つまり、企業や商品の将来を考えることやリスクを予測することになるのです。

 カスタマージャーニーマップにアイデアを追加するポイントは、ポジティブな要因とネガティブな要因とで、あわせて考えるようにします。イノベーション・競合の動向・チャンス・リスクなど、観点を変えて考えましょう。

カスタマージャーニーマップを作る時に用意するもの

 作り方の最後に、カスタマージャーニーマップをつくる際に必要な道具をご紹介します。

  • ホワイトボード
  • 台紙(A3×6枚の大きさ)
  • タイマー
  • ペルソナシート
  • マジック・ペン(色)
  • ポストイット(付箋)

 道具のほかに、制作時間を長めにとりましょう。3時間くらいがちょうどよく、参加者全員がカスタマージャーニーマップの制作に参加し活発な意見交換ができるように、ファシリテーターを立てることも重要です。

 制作工程を意識し、まじめに考えることも大事ですが、楽しく会議を進める工夫も同じくらい大切です。

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 ここまでが、カスタマージャーニーマップの作り方でした。

カスタマージャーニーマップの活用方法

 ここまで出来上がったカスタマージャーニーマップは、さまざまな場面で活用できます。前述でお伝えした、組織内で顧客視点を共有することのほかに、企業内でのインナーブランディングにも応用が可能です。

インナーブランディングにカスタマージャーニーマップを活用する

 たとえば、ペルソナを企業で働く従業員に設定した場合はどうでしょう。カスタマージャーニーマップのスタートを新入社員に設定するとします。ゴールはリーダーシップをとれる社員とします。

 企業は、新入社員を成長させるために、どんな対応策やサポートができるでしょうか。また、新入社員はどんなことで悩み、つまずき、感情の起伏があるでしょうか。社員育成のロードマップを考える上でも、カスタマージャーニーマップは活用できます。

 こうした社員教育が、企業・組織のインナーブランディングに繋がっていきます。

ホームページの導線を考える

 顧客とホームページをつなぐ接点の洗い出しをし、導線設計を考えるためにカスタマージャーニーマップを活用します。

 たとえば、リスティング広告やランディングページからあなたのホームページへ遷移した場合、適切な導線設計になっているでしょうか。または、ランディングページとリンクしたページとの関連性は保たれているでしょうか。

 カスタマージャーニーマップは文字通り「顧客の地図」を意味します。地図の設計に無理がないように、ホームページの導線設計を見直すために活用しましょう。

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顧客の感情に寄り添ったキャッチコピーを考える

 顧客の感情の起伏と顧客接点は、広告戦略のポイントになります。顧客の感情をイメージし、適切なタイミングで状況に応じたキャッチコピーを考えましょう。

 カスタマージャーニーマップのスタート地点の顧客とゴールに近い顧客とでは、響く広告やキャッチコピーは違って当然です。

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企画書・提案書にカスタマージャーニーマップを記載する

 クライアントとの合意形成を図るためにカスタマージャーニーマップを活用しましょう。

 提案側の企業とクライアントの顧客理解が違っていては、目指すゴールが大きく変わってしまいます。コンテンツ制作やマーケティング戦略に大きく影響してしまうので、あらかじめ企画書や提案書を作成する時点で盛り込んでおきましょう。

 顧客を中心に考えることで、クライアントへの説明がしやすくなり、マーケティングの施策で誤った判断をした場合は立ち返れます。

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仮説をつくるためにカスタマージャーニーマップを用いる

 最後にカスタマージャーニーマップの注意点をお伝えします。

 カスタマージャーニーマップはあくまで仮説に過ぎません。企業側の視点で考えた顧客創造だと認識を持って制作しましょう。

 仮説は実行とともに検証しなければ意味がありません。作り方を完璧にマスターするよりも、実行を優先しなければ、ただの白紙なのです。そして改善を繰り返して精度の高いカスタマージャーニーマップを完成させましょう。

 今回の記事を参考に、あなたの事業に合ったカスタマージャーニーマップができれば幸いです。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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