コピーライターは「なんかいいよね」を禁止しましょう
その広告の何に惹かれましたか?
なんで心を掴まれたのでしょうか。
コピーライターやクリエイターは、これらの問いに具体的に回答できなければいけません。
コピーライターは「なんかいいよね」を禁止してください。その瞬間に思考は停止してしまいます。
この言葉は、コピーライターの谷山雅計(たにやままさかず)さんからお借りしました。
こんにちは、のざき寿(ひさし)といいます。元芸人です。
谷山さんは宣伝会議コピーライター養成講座の講師です。ぼく2020年に講座を受講しました。宣伝会議賞の審査員もされています。
谷山さんの授業は、3時間・休憩なし、ぶっ通し。ものすごい熱量で講義してくださいました。
そのプロのコピーライターが「なんかいいよね」を禁止しましょうと言っているのです。
キャチコピーに「なんかいいよね」を禁止する
なんかいいよね。
「なんかいいよね」は、その時点で考えることをやめてしまっています。
たとえば、小説や映画を見たとき、誰かに作品の良さを伝えたいとうことがありますよね。
「今まで見た中で一番よかった。なんかよかったんだよね」
この説明や感想で、相手に何が伝わるでしょうか。
つまり何が良いのかということ
谷山さんはキャッチコピーを見る時「なんかいいよね」を禁止しています。
- なんとなく素敵な言葉
- なんかいい言葉
- なんかオシャレ・なんかかっこいい
これら曖昧な「なんか」を使うなと言っています。
なぜいいのかを語れるようにしよう
そうではなく、コピーライターはキャッチコピーを見るべき姿勢として、
- なぜ、その言葉に行き着いたのか
- なぜ、人のこころに響くのか
コピーライターやクリエイターは、作品の裏側にあるプロセスについて考える姿勢が大切なのです。
再現性のあるキャッチコピーを書くために
谷山さんは、曖昧な理由・偶然のプロセスから生まれたキャッチコピーを許していません。それはなぜか、
- クライアントにキャッチコピーを説明するときどうでしょう?
- 次も同じクオリティーのキャッチコピーを書けるでしょうか?
これらの問いに応えられないからです。
キャッチコピーの受け手である「生活者」に、制作の意図やプロセス・理由を伝える必要はありません。しかし「作り手」であるコピーライターは、曖昧な理由・抽象的な理屈ではいけないのです。
キャッチコピーのクオリティがある程度担保できてかつ、再現性が伴っていなければ、プロのコピーライターとは言えないとおっしゃっています。
どうすればコピーライターの資質を磨けるのか
どうすればコピーライターの技術や思考は磨かれるのでしょうか。
「なんかいいよね」を言わなくなるためには何をすればいいのでしょうか。
コピーライターに必要な3つの能力
谷山さんは、キャッチコピーをとにかくたくさん書くことだとおっしゃっています。
コピーライターの思考力を深めるには、
- とにかく書き
- 他人との差を学び
- 自分の目線(ものさし)を鍛える
この3つの制作プロセスをどれだけこなすかで、コピーライターの資質が磨かれていくと教わりました。
キャッチコピーを書き散らかす
キャッチコピーをたくさん書けと言われても、なかなか書けるのもではありません。
でも、連想される単語や言葉なら書けると思います。まずは箇条書きで構いません。
マインドマップなどを使って、情報整理をしていくだけでもいいのです。
すると今まで見えていなかった視点・観点を見つけることができます。
5W1Hを使って考えることも有効な手段でしょう。広告対象が生まれたプロセスや流通のイメージを考えることで発想が広がっていきます。
キャッチコピーを選ぶ
キャッチコピーを選ぶには、選ぶ基準が自分の中に必要です。
キャッチコピーの目的はなんでしょうか?課題解決・新しい発見・共感など、言葉が人の心に届くこと・行動や意識を変えることが目的ではないでしょうか。
キャッチコピーを磨く
キャッチコピーを磨くとは、人に刺さる言葉にするために作品の表現を考えることです。
書き散らかして選ばないと、キャッチコピーは磨くことができません。
コピーライティングの落とし穴は「磨く」工程から入ってしまうこと。
石ころを磨いても、石ころは石ころです。
ダイアモンドを手に取り磨く意識が重要なのです。
書いたキャッチコピー数が少なく、選んでいないキャッチコピーを磨いたところで、いいキャッチコピーにはたどり着かないということです。
「なんかいいよね」を使わなくなる
書く・選ぶ・磨く、これらの制作プロセスときちんと向き合っていれば「なんかいいよね」は言わなくなっているでしょう。
作品を見る目を養おう
なにもキャッチコピーに限ったことではありません。
映画やテレビCM、小説やコラムなど、作り手の意図を見抜く力がコピーライターには必要です。制作の意図や理屈を学んでいくことが、プロのクリエイターへ続く道だと思います。
いいキャッチコピーを書ける人になるには
いいキャッチコピーを書ける人は、深い思考力と豊かな発想、表現力を持っています。
思考力とは「なぜ?どうして?」追求できる探求心だと思います。
「なんかいいよね」で思考が止まっていては、考える力は身についていきません。目にする広告表現に対し「なぜ」という問いをぶつけていきましょう。
「なぜ」を考え続けキャッチコピーを書き続けられる人が、コピーライターに向いている人だとぼくは思います。