セグメンテーションは市場のことを指します。ターゲティング(ペルソナ)は、セグメンテーションから絞り込んだ顧客層のことです。
要するに、大きな分類から小さな分類に絞り込んでいく過程が、セグメンテーションとターゲティングです。これらのフレームワークは主に、ターゲット設定に使用します。
顧客のニーズが細分化・多様化している市場で、自社の製品やサービスを適切な顧客に届けるために、セグメンテーションとターゲティングの考え方を用います。
ホームページ制作では、企画・提案、サイト設計に活用できるでしょう。サイト設計で重要な考え方は「誰に・何を・どう伝えるコンテンツなのか」を意識して設計することです。つまり、セグメンテーションとターゲティングを考えることで「誰に」が明確になります。
セグメンテーションとターゲティングを考える上で注意したいことは、ふたつの視点を混同しないことです。混同して考えてしまうと、マーケティングの方法や手段の選択を間違えてしまい、望む結果に大きな差が生まれてしまいます。
この記事では、セグメンテーションとターゲティングを解説しながら、具体例を紹介していきます。
セグメンテーションとターゲティングとは
セグメンテーションとターゲティングは、混同しやすいのでもう一度整理しておきます。
- セグメンテーション → 大きな分類・市場
- ターゲティング → 分類されたグループから標的を絞ること
用いる場面としては、
- 自社の商品・サービスの市場・顧客を絞り込む
- 自社の強みや商品・サービスが活きそうな市場を見極める
- リソースを把握し、選択と集中を行う
このような場面が想定されます。
セグメンテーションとは
セグメンテーションは、直訳すると「区分」という意味です。市場を大きく以下の4つのカテゴリーで分類します。
- 地理的変数
- 人口動態
- 心理的変数
- 行動変数
地理的変数(ジオグラフィック変数)
国や都市・地域など、地理に関する分類です。
- 日本
- 愛知県在住
- 勤務先が愛知県
- 季節
人口動態(デモグラフィック変数)
性別や年齢・家族構成・職業・年収など、人口に関連する分類です。
- 男性・女性
- 30代・高齢者
- 独身・既婚
- 親と同居
- 年収○○万円以上
心理的変数(サイコグラフィック変数)
価値観や嗜好・性格・趣味など、心理的な状態に関する分類です。
- 旅行が趣味
- 健康志向
- 娯楽優先
行動変数(ビヘイビアル)
人の行動パターン・好奇心・興味や関心の強さなど、行動に関する分類です。
- 未使用者
- ライトユーザー
- ヘビーユーザー
キャズムとは

市場をこれらの区分で大きく分類し、ターゲティングでさらに顧客像を絞り込んでいきます。
セグメンテーションを選ぶための評価基準 – 6Rとは
セグメンテーションで分類した顧客属性は、次の評価基準に従って選び、標的として設定します。
- 市場規模(Realistic scale)
- 成長性(Rate of growth)
- 競合状況(Rival)
- 優先順位(Rank)
- 到達可能性(Reach)
- 反応の測定可能性(Response)
これら6つの頭文字を取って、6Rと言われています。とくに重要な指標は、市場規模・成長性・競合状況です。顧客の存在を優先に選んでいきましょう。
市場規模(Realistic scale)
商品・サービスの消費量・消費額で判断する指標です。大きい市場は、企業により多くの利益をもたらす可能性があり、基本的にマーケットは大きい方が良いといえます。
成長性(Rate of growth)
競合の売上高や商品・サービスの消費額などで判断する指標です。市場の規模は小さくてもこれからの成長率が高いと見込まれる分野、あるいは市場の規模は大きいものの成長率に欠ける分野など、将来性を見越した視点での判断が必要です。
競合状況(Rival)
競合となる企業や商品・サービスなどの数で判断する指標です。競合の数は多いけれどマーケットの規模も大きい場合であれば、新規参入のチャンスはあります。
優先順位(Rank)
顧客にとって「興味・関心が高い商品・サービスかどうか」で判断する指標です。
到達可能性(Reach)
ターゲット顧客にアプローチできるかどうか判断する指標です。たとえば、インターネットで商品を購入できる仕組みがあるとします。そもそも顧客がインターネットを使えない状況だった場合、まったくアプローチができません。顧客との接点を考えるための指標です。
反応の測定可能性(Response)
顧客へのアプローチが、どのくらい効果があったかを判断するための指標です。さまざまマーケティングの施策は効果測定をします。結果をもとに課題を見つけ改善していくことが重要だからです。ホームページでいえば、アクセス解析がそれに該当します。
ターゲティング(ペルソナ)とは
セグメンテーションと6Rの評価基準で絞り込んだ顧客層や市場を、ターゲティングといいます。自社の商品・サービスが絞り込まれた市場で優位性を保てるかどうかが、ひとつの指標になるでしょう。
ペルソナとは
ターゲティングで絞り込んだ市場にいる、顧客像をペルソナといいます。具体的な名前や写真、年齢・性別・住居など、細かな設定をします。自社の商品・サービスがどのように顧客(ペルソナ)に届き、使用されるのかイメージするのです。
ペルソナシート
ホームページ制作では、ペリソナシートを用いて、細かな設定を考えていきます。

カスタマージャーニーマップ
作り込んだペルソナはカスタマージャーニーマップを使って、顧客の消費行動を想定します。

セグメンテーションとターゲティング(ペルソナ)の具体例
NHKの平日8時15分から始まる「あさイチ」という番組がありました。(2015年当時)。その時間帯は、各局と熾烈な視聴率争いがあり、当番組は視聴率4〜5%と苦戦していたそうです。
NHKは打開策として、徹底的に40代の主婦層をターゲットに設定することにします。今まで放送していた、事件や事故・芸能人ゴシップなどの定番ネタをやめ、40代の主婦が関心のある話題に絞って取り上げることにします。人間関係や体の悩みなど、生々しい生活の話題を取り上げていきました。見事に主婦の心を掴み、視聴率を一気に10ポイント以上引き上げた事例があります。
ホームページ制作でセグメンテーションとターゲティング(ペルソナ)を意識する
ホームページ制作では、提案書や企画書の作成、コンテンツ制作全般でセグメンテーションとターゲティングを活用します。
- ペルソナを意識した提案書・企画書の作成
- キャッチコピーの作成
- Webデザインのテイストを決める
ペルソナを意識した提案書・企画書の作成
クライアントへのプレゼンは、セグメンテーションとターゲティングを意識した資料作成が必要です。とくにペルソナを意識した企画や提案でなければ、ホームページ制作のそもそもの出発点を間違えてしまいます。

キャッチコピーの作成
メインビジュアルのキャッチコピーやトップページのリード文など、ペルソナの感情が動く言葉や文章・コンテンツを考えることが大切です。ホームページのコンテンツ全般は、自社の視点で考えるのではなく、顧客視点に立って考える必要があります。

ペルソナに合わせてWebデザインのテイストを決める
ペルソナを意識したWebデザインにしましょう。フォントやカラー、トンマナ・装飾など、ターゲットに合わせたデザインコンセプトでの制作が大切です。
顧客(ユーザー)ファーストのホームページ制作をしよう
ホームページの目的は、ユーザーにとって有益な情報を発信することや課題を解決することです。
ホームページ制作を始めた段階では、顧客の存在を意識して作業を進めていきます。しかし制作の中盤や佳境に入ると、ユーザーの存在を忘れ、制作側の都合を優先してしまうことがあります。それでは、顧客の目的は達成されず、望む成果は得られません。
ターゲットを明確にすることは、当初の目的を忘れないために重要な工程です。セグメンテーション・ターゲティング(ペルソナ)のフレームワークを活用し、ユーザーにとって有益なホームページを作りましょう。

