宣伝会議賞2021で2本のキャッチコピーが一次審査を突破しました
宣伝会議賞2021に応募したので、応募したキャッチコピーと考え方について振り返っていきたいと思います。
結果的に、2本のキャッチコピーが一次審査を通過しました。
こんにちは、のざき寿(ひさし)といいます。元芸人です。
今回は自分が取り組みたいテーマのみ、チャレンジすることにしました。
テーマは「介護」です。
現在ぼくは、介護の仕事をしています。
近所のデイサービスでパート職員として、高齢者・障害のある方・認知症高齢者の介護をしています。
キャッチコピーを書くときに大切にしていることのひとつに、できるだけ自分の実体験から得た感情や視点で語ることです。
介護職員として高齢者の方々と関わり、仕事をする中で感じたこと・発見したことをキャッチコピーで表現できればと考えました。
チャレンジした課題
70歳になったあなたが「エデンの園」に入居したくなるアイデア
第59回 宣伝会議賞
課題の詳細
エデンの園という、有料老人ホームのキャチコピーを考える課題です。
有料老人ホームは、公共の介護施設と違い民間事業者が運営する高齢者向けの住居です。比較的自立度の高い高齢者に向けて食事・入浴・家事・健康管理・医療を提供しています。
介護施設は一般的に身体介護のイメージがありますが、有料老人ホームは自立した高齢者に向けて身の回りの生活サポートをするといった位置づけになっています。
エデンの園では、個室が用意され大浴場やラウンジなどホテルを思わせるような設備があります。毎月の利用料・入居費用などがかかり、料金は運営している法人によってさまざまです。
今回の課題は、施設のPR広告に使うキャッチコピーでした。
一次審査を通過したキャッチコピー
認知症高齢者が一人で外出し、自分では家に帰れなくなることはよくあります。最悪、事故にあうなんてことも大袈裟な話ではありません。
有料老人ホームは外出が自由にできます。もし外出先で帰り道に迷った場合でも、職員が迎えにきてくれるでしょう。安心を表現したキャッチコピーです。
実はこのキャチコピーを書いたとき、いいキャッチコピーが書けたかも!と思ったのです。
悩みは年代によって違います。お金のこと、体のことなど悩みは尽きません。同年代の悩みは同年代に聞いてもらったほうが話しやすいですよね。仲間意識が生まれ安心します。
一次審査を通過できなかったキャッチコピー
この課題、100本中100本応募していました。審査を通過できなかった98本のうち、いくつかキャッチコピーを紹介したいと思います。
SKATで結果を振り返ると、安心を買うという切り口は、かなりの人が書いていたキャッチコピーでした。
「死」という言葉を使うのはよくなかったですね。
転職エージェンシーのキャッチコピーみたいですね。
決意って重いし、老人ホームに入ることが少しネガティブに感じますね。
そんなこともないですね。高齢者ほど若い人と話したいと思っています。
うーん。なんかジジくさいキャッチコピーですね。登場人物が二人ともおじいちゃんですね。
とまぁ、振り返ってみると審査を通過しない理由が確かにありました。
キャッチコピーの制作プロセスを振り返ってみる
キャッチコピーの思考・プロセスについて振り返ってみたいと思います。
広告主・課題の印象
エデンの園はWebサイトでの取材になりますが、高級ホテルのような印象を受けました。
食事はレストランさながら。レクリエーション施設・アミューズメント施設も充実していて、他の入居者の方ともコミュニケーションが生まれやすいと思いました。
また医療サポート・従業員育成にも注力されている印象があり安心感を感じました。
グループ全体で8箇所の施設があり、横浜・宝塚・油壺など、観光地や別荘地に立地しています。富裕層向けの施設といった位置づけでしょう。
自立型・介護型でターゲットを変える
エデンの園は、入居者の区分として「自立型」「介護型」に分けられています。入居時の段階で、要支援・要介護認定を受けている高齢者の方は「介護型」に入居することになります。
自立型・介護型、どちらかのターゲットを選択して、キャッチコピーを書き分ける必要があったと思います。
キャッチコピーのベネフィットはターゲットによって違う
自立型は「これからの人生をいかに楽しく過ごせるか」を伝えることが大切だと考えました。
一方介護型は、さらに介護サポートがある安心感を表現することが大切だと考えました。
また、課題にある「70歳になったあなた」という視点も無視できません。自分自身が70歳になったときに、キャッチコピーを受け取ってどう感じるかを考えていかなくてはいけませんでした。
ベネフィットを掘り下げてキャッチコピーを考える
70歳の人は、なにで心が動くのか。
手厚い生活のサポートなのか、終の棲家としての安心できるくらしなのか、はたまた費用なのか。70歳を迎えて今まで貯めてきた老後資金を何に使うか、重要な選択を迫られるわけです。
経験と体験を積み重ねることの大切さ
課題に挑戦しはじめたときが、ちょうど介護施設で働き始めた頃でした。
デイサービスの職員なので、有料老人ホームのことはわかりません。同じ介護業界でも、現場が違えば視点はまったく違います。介護職員・ケアマネージャーなどの職種によっても視点は変わってくるでしょう。
ただひとつ変わらないことは、高齢者がどんな気持ちで・何を望んでいるかです。
介護職員として高齢者と接している中で、高齢者は何を楽しんでいて、どんなことに生きる活力を得ているか。どんな言葉を使っているか。見聞きした体験と経験の積み重ねが、いいキャッチコピーに辿り着く道筋だと信じてキャッチコピーを考えていました。
宣伝会議賞にチャレンジしてみて
宣伝会議賞で結果にこだわることは大事です。でもキャッチコピーを考えることで、介護職が世の中で果たしている役割を再確認できたことは収穫でした。
そして介護職員として高齢者の方々接していることが、ぼくにとって大きな学びの場であり、この仕事は「自分に向いているな」「介護の仕事が好きだな」と思える瞬間に出会えました。
その思いをキャッチコピーで表現できることは、ぼくにとってとても意味があります。
いままでとこれからの経験をかけ合わせて、介護職のネガティブなイメージを少しでも明るい方向に向けられたらと思います。
これからもキャッチコピーを書き続けて行こうと、あらためて思った宣伝会議賞でした。