若いうちの挑戦は成功しなかったとしても学びと価値がある
ぼくは20代のころ、お笑い芸人をしていました。
結果的にプロの芸人という夢は叶いませんでした。けれど若いうちに挑戦をしておいてよかったと思うことはたくさんあります。
「若いうちに挑戦しておいたほうがいい」なんてよく言われますが、年齢を重ねてからも挑戦しなくてはいけない場面はたくさんあると思うのです。
たとえば中年に近づいてくると、仕事では昇進に伴い管理職を任されることがありますよね。今までやったことのない仕事に取り組むことも挑戦と言えるでしょう。
新しい趣味を始めることも挑戦ですし、引っ越しや結婚、子育てや住宅ローンだって挑戦だと思うのです。
夢と呼ぶような挑戦ばかりが、挑戦とは限らないですよね。
挑戦に失敗したとき、取り返すのに時間がかかることは若いうちにしたほうがいいかもしれません。
でも、挑戦することに年齢は関係ないと思っています。
芸人生活という挑戦で学んだこと
それでもですね、20代、芸人時代は結構苦労しましたよ。
吉本の養成所に通って芸人としての活動が始まった訳ですけど。1年間の養成所生活が終わると、いちおう吉本の所属芸人としてデビューできるわけです。
芸人としてスケジュールは真っ白
デビューしたからといって、芸人の仕事があるわけではありません。
あるのは月1回の舞台だけ。その舞台でお客さんを呼べなかったり、ネタを披露して笑いを取れなかったりしたら、ずっとその状態が続くんです。
芸人として活動しているのは、月に1日のみ。スケジュール帳は真っ白でした。
待っていても一向に夢には近づかない。自分で動かなければ状況は好転しない。身をもって学んでいた時期かもしれません。
アルバイトで生活費を稼いでなんとか芸人を続ける日々
当然食べていけるわけものなく、アルバイトをしていました。
本当に、いろんなアルバイトをしました。
飲食店から始まって、清掃のバイト・警備員・引っ越し作業員・イベント設営・現場工事・ホテルの朝食準備・コンビニ・テレアポとか、アルバイト雑誌に掲載してある仕事は、ほとんどやったのではないかと思います。
アルバイトをしていればある程度生活は維持できるのですが、そのままではただのフリーターです。とても芸人と言えない。
なので、アルバイトはそこそこにして、ネタを作ったり路上でネタをしたりして芸人としての時間を確保していきました。
そうなるとアルバイトができなくて生活が維持できない。ギリギリの生活になる。
そんなことを繰り返して10年はあっという間に過ぎていきます。
夢を叶えるにはどんな行動を優先するべきか。時間の使い方を考えなくてはいけなかったのです。
情けないし当たり前のことかもしれませんが、お金がなくて気持ちに余裕がないとそんなことさえ考えられなくなるのですよ。
若いうちの一人暮しの経験は人生勉強になる
ぼくは地元から上京したので、一人暮らしをしていました。
当たり前の話ですが、部屋探しから引越しなどは自分決めなくてはいけないし、炊事・洗濯・掃除なども全部自分でしなくてはいけません。
光熱費などの支払いも全て自分です。お金が足りなくなったときの解決も自分です。
この一人暮らしの経験で、親のありがたみを再確認できましたし、生きてくには最低限の収入が必要だということも身をもって学びました。
生きていく強さみたいなことが、身についたと思います。
挑戦を成功させるには環境を整えることも大事
売れていない芸人の仕事や舞台は、大した収入になりません。
なんなら舞台にいたってはチケットノルマというものがあって、1枚1,000円のチケットを10枚買取り、自分でお客さんを読んでこなくてはいけません。
アルバイトで貯めたお金が、チケットノルマ代金に消えていきます。チケットを売ればプラスマイナス0円の収支になるのですが、売れなければチケットはただの紙くずです。
人気のある芸人ならば苦労はしないと思いますが、ぼくはチケットをほとんど売ることができませんでした。毎回チケットノルマを支払っていました。
ただでさえ厳しい生活なのに、追い打ちをかけるかのようにチケット代が重くのしかかってくるのです。
生活がままならないと、やりたいことまで意識が向かなくなりました。
挑戦ができる環境を整えること、周りの人の理解も含めて集中できる状態をつくることはとても大事だということです。
若いうちに挑戦したからこそ堅実な挑戦の仕方がわかる
20代の芸人時代を振り返ってみると、やっぱりちょっと無謀でしたね。
目的をしっかりもっているわけでもなく、目標も細かく定まっていない。ただ漠然と「売れたい」という願望だけ口にしていたと思います。
運やセンスで挑戦が成功するのではなく、堅実な行動計画が挑戦を成功に導くのです。
挑戦の目的を定めることが大事
20代のころは、若さゆえの情熱といいますか、その時その時の感情で突っ走ってしまっていました。
目的を深く掘り下げて考えないまま、行き当たりばったりで成功することもあります。そのまま走り抜けられればいいのですが、一度躓いてしまうと立ち直り方がわからないのです。
舞台で上手く行った日もあれば、まったくお客さんの反応がない日もあります。
どちらの日からも学ぶべきことはたくさんあります。でも、当時のぼくはダメな日から反省することはあまりしていませんでした。それは、目的がぼんやりしていたからだと思います。
目標を持つと挑戦が輝いてくる
目標も漠然としていました。
「次の舞台を頑張る」とか「舞台を大事にする」とか、そうした抽象的な目標しか掲げていなかったように思います。
目標は具体的な方がいいということも、芸人を辞めてから気づいたことです。
「毎月3本ネタを書く」「お客さんに10人声をかける」とか、そう言った具体的な目標を持つべきでした。そして、毎日を大切に過ごすことが挑戦を成功させる近道なのだと、まったく気がつかないまま20代が過ぎていきました。
挑戦するのに年齢は関係ないけれど
40代になっても50代になっても、挑戦はできますし挑戦しないといけないタイミングはあります。
でも、その年齢まで挑戦から逃げてきたり挑戦をしてこなかったりとしたら、失敗する確率は大きくなってしまうでしょう。
挑戦の仕方がわからないからです。
ぼくは若いうちに挑戦した経験からいろんなことを学びました。それは「どうしたら成功に近づくのか」「これをしたら成功から遠のいている」など、感覚的に学んだことや知恵です。
新しいことに挑戦すると必ず不安がつきまといます。経験がないことは、誰でも成功の保証がないからです。
「今日がいちばん若い日」なんて言葉があります。
なにか新しいことに挑戦しようと悩んで決断を迷っているなら、できるだけ早いうちに一歩目を踏み出してみましょう。
たとえ上手く行かなかったとしても、その挑戦には意味と学びがあります。
たとえ挑戦が上手くいかなかったとしても、その挑戦は後からいつでも取り返せる。取り返す時間を残しておくためにも、若いうちに、今、第一歩目を踏み出しましょう。