エッセイ
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人を傷つけてぼくは言葉が武器になることを知ることができた

hisashi
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言葉は使い方次第。

問題を解決することもできれば、問題を作り出してしまうこともあります。

ぼくは後者の使い方をしてしまったことがあります。

人を傷つけてしまいました。

言葉による攻撃は、相手の心に傷跡を残しその傷はなかなか癒えることはありません。それに傷が目に見えないものなので、直っているかどうか他人の目からは判断がつきません。自分自身でさえ、完治しているかわからないことがあります。

それほど言葉の刃というものは鋭利だということです。決して振り回してはいけない。

ストレスが負の言葉を生み出していく

これは前職、Web製作会社で働いていた時の話です。

ぼくはWebエンジニアをしていました。中小企業のホームページを制作するためにプログラミングをする仕事です。

週にひとつホームページ完成させなくちゃいけない過密なスケジュールでした。
他の制作会社でも働いたこともありますが、一般的な制作期間は2週間くらいあります。会社での作業では完成させられず残業と自宅に持ち帰っての作業、さらに休日も返上していました。

ぼくのスキル不足が問題でもありますが、心にプレッシャーを抱えた状態では冷静な判断はできません。うまくいかないことの原因を外側の環境にぶつけるしか、当時のぼくには方法がありませんでした。

会社の言い分としては「暇な時期や作業がない時は好きに過ごしていい」そういった働き方だったから、その過密なスケジュールに対してはとくになんとも思ってはいない。

そんなこと、会社は言っていません。でもそう言われていると勝手に思い込んで、自分の中にストレスを溜め込んでいったのです。

負の感情が言葉をどんどん鋭利にしていく

毎週迫ってくる納期に、心はかなりのストレスを感じていたのかもしれません。

やっぱり、人は忙しいとおかしくなる。感情的の浮き沈みが激しくなったり風邪をひきやすくなったりして体にも不調が現れてきます。思考力も低下してくる。

今振り返って思うのは、あの忙しい時期は頭の中の言葉が、かなり負の言葉に支配されていたということです。

忙しい状況下だと焦燥感や怒りの感情に支配されます。そうなると人間の頭の中、自分との対話の言葉は、暗い影を落としたような言葉しか残らなくなるのでしょう。

心に余裕がある時に頭の中にあった「ありがとう」「助かったよ」「嬉しい」「おつかれさん」といった言葉は、忙しさにどんどん殺されていきました。

そしてその屍は「なんだよ」「うるさいな」「腹立つなぁ」「だまっとけ」みたいな、そうした負の言葉の養分になっていくのでしょう。

ぼくの頭の中は人を傷つける言葉しか残っていなかった

仕事のへの姿勢が気にくわない後輩がいました。

後輩とは直接話をする間柄でもなく、ただ職場で一緒に働いている関係性です。ぼくとの作業には直接関係しないけど、一緒の職場にいると、どうしても気に障るし目障りに映る。ぼくにはそいつが、遊んでいるよう見えました。

ぼくはこんなに忙しくしているのに。

どんどん負の言葉が大きくなっていく

一度そう思ってしまうと、頭の中でどんどん言葉が膨らんでいきました。勝手な想像で黒い語彙が文脈で繋がって文章になっていきました。

そうした時、ぼくの頭の中で処理しきれなくなって溢れ出した言葉はどこへ向かうか。それがSNSでした。おそらくSNSをつかって誹謗・中傷や不平不満・愚痴などを匿名で書き込んでいる連中は、自分の中に言葉を埋葬しておく場所がないのです。

ぼくもその連中と同じように、その後輩の誹謗・中傷をSNSに書き込んでしまいました。

SNSは自分を正当化するために使う。自己顕示欲や自己肯定感の崖に立って、存在のアピールをしてしまいます。

数日経って、ぼくが書いた誹謗・中傷は後輩の目に入っていました。

後輩は身に覚えのないことを吊し上げられて人格を否定されているわけです。しかも同じ職場の人間に。後輩はすぐさま会社の役員に相談をしました。
後日役員から謝罪をするようにと言われ、ぼくは誠意を持って謝罪をしました。そして翌月に、その会社を退職することにした。ぼくが目に入ることが、後輩の心に影を落とすから。

言葉は人を生かすために使うと決心した

そのひと言は、薬なのか毒薬なのか。

言葉は書くにしろ話すにしろ、考えて使わなくてはいけません。判断がつかないなら、飲み込んで黙っておくか誰にも見つからないノートに書いておいて後日燃やしてしまうべきだと思います。

ぼくはそう心に誓いました。

その出来事は、今でもぼくの心に影を落とすことがあります。

言葉は自分も傷つけるのです。

そしてその後輩には、ほんとうに申し訳なかったと思っています。

他人を傷つけてから言葉の力に気づいていては遅い

この出来事で言葉の使い方や怖さを知ることができたけれど、もしこのことに気が付かずにずっと人を傷つける言葉を使い続けていたら、

そう思うと、ぼくの中でものすごく重要な出来事だったと思うのです。

言葉を発する前に、自分の感情を確認しましょう。

怒りや不安に支配された状態で言葉を使わないようにしましょう。その言葉は、あなただけでなくあなた以外の人にも届いてしまう可能性があります。

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