自分でもびっくりしている。
介護現場で働くとは思ってもみなかった。生まれ育った近所のデイサービスセンターで介護士として働き、もうひとつ老人保健施設で清掃員として働いている。
きっかけは、母親の介護を考え始めたことだ。うちは母子家庭、母ひとりと兄と僕の三人家族。兄は故郷を出て別の地域で暮らし、僕は母親と一緒にふたりで暮らしている。僕には家蔵はいない。
オカンは70歳を越えた。どう考えても僕は母親の面倒を見なくてはいけない。いや、母親の面倒をみたい、いや親孝行したいと考えたから。
僕は40歳を過ぎ、これからの人生、死ぬまでできる仕事は何かなと漠然と考えていた。
前職はホームページ制作会社でエンジニアをしていた。世の中はIT人材が足りないと言われていて、花形の業界ではあったが、パソコンに向かって一日中プログラミングをすることに多少疲れていた。
会社で人間関係のトラブルを引き起こしてしまい、タスクに追われる日々に疲れて退職をした。
そんなわけで雇用保険をもらいつつ、職安に通い出して見つけた業界が介護の仕事だった。さっきも言ったとおり、母親の介護も大きな理由になっている。
「自分のためにもオカンのためにもなるしな。勉強してみるか。」
そんな軽い気持ちで始めた介護職だった。
半年間、介護の職業訓練に通い「介護職員初任者研修」の資格をとった。資格って自動車免許しか持ってなかったから、嬉しかった。通ってれば誰でも取れる資格ではあるんだけども。
資格をとったからには「いっちょ働いてみるか」ということで、近所の介護施設の求人探して。結構すんなり決まった。介護業界って基本人足りてないから採用のハードルは低いのだろうと思う。
正社員になるのはやめた。
時間的な拘束に耐えられない体になっていた。Webの知識も活かした働き方を提案しようと思ったこともある。いや、体のいい言い訳か。Web制作の仕事でリモートワーク経験して、自宅で仕事する身軽さも知ってたから。
40過ぎたおっさんが、新しいスタートを切りました。
介護現場は40過ぎでも若いと言われる業界みたい。そりゃ丁重に扱ってくれる。
ありがたい話。
うんこ、しっこの連続、体力勝負の現場。いままでパソコンに向かってばかりの仕事だったから、体を使う仕事の爽快感は新鮮だった。
おじいちゃん、おばあちゃんの相手は、どうやら僕に向いてるみたい。会話してても腹たつことなく気長に話を聞いてられる。むしろ予想外のコミュニケーションを楽しんでいて「さっき聞いたて、その話。。。」みたいなことを面白がっている。ツッコミ入れたり。
やっぱ、人が笑ってる顔見るの好きみたい。
たのしい。介護の仕事。しばらくこの世界で頑張ってみようと思う。
まぁ、いろいろと大変なこともあるけど。それ以上におもしろい話もいっぱいある。
人生まだまだ、これから。