AIライティングでキャッチコピーを書くとコピーライターに大切な能力が養われない
AIライティングを使えば、キャッチコピーは一瞬にして書くことができます。
10本でも20本でも、100本でも1,000本でも。頭を使うことなくキャッチコピーが生まれてきます。
ここで大きな問題が発生します。
それは、AIライティンやChatGPTが生み出した100本のキャッチコピーから、あなたはどんなキャチコピーを選びますか?ということです。
どんな基準でキャッチコピーを選びますか?どんなキャッチコピーが生活者に届くでしょうか。
そのキャッチコピーは、あなたの商品やサービスのいいところ、いわゆるベネフィットやメリットを正確に表現しているでしょうか。
たしかにAIライティンやChatGPTなどは、キャッチコピーを効率的に書いてくれるかもしれません。そのアウトプットのスピードに、人間はもう太刀打ちできないでしょう。
ただし、AIライティングも苦手なことがあります。それは人間の心理だったり基準だったり価値観などを持っていないため判断と決定ができないことです。
つまり最終的な判断や決定は人間がしなくてはいけないということです。判断を下す人間に、判断基準がないとすると、AIライティングライティングが生み出したキャッチコピーは、ゴミなのか宝の山なのかも判断できないのです。
コピーライターに必要な能力はキャッチコピーを選ぶ力
そうなると、その判断力や決定力をどのようにして養うかということが問題になってきます。
これらのコピーライターやキャッチコピーを書く人は、この「キャッチコピーを審査する力」が重要なのではないかと考えています。
では、どのようにしてキャッチコピーを審査する力を養っていくのか。
それはやはりキャッチコピーを考えること。すなわち自分の力でキャッチコピーを書くことだとぼくは考えます。
キャッチコピーの制作はただ書くだけではない
キャッチコピーを書く手順に少し触れながら、自分でキャッチコピーを書く重要性を解説していきたいと思います。
たとえば「りんご」のキャチコピーを書くとします。りんごは広告対象であり、これが車だったりテレビだったり健康食品だったり、生活している中で身近にあるものを想定してください。
まず、りんごの特徴を書き出します。
赤い・丸い・瑞々しい・甘い・青森県産・お土産などです。
特徴を書き出すだけならAIライティングやChatGPT使用してもよさそうに感じますが、AIは世の中の情報の集合体から情報を提示してくるものです。一方で、自分で書き出すことに対しては、少なくともあなたの記憶の中にある「りんご」から想起させる言葉が出てきます。
これが何を意味してるかというと、もしあなたが「りんご農家」「りんごが嫌い」だった場合、生み出される言葉には違いがあるということです。つまり立場や価値観によって「りんご」の見え方が変わってくるということ。
この「人によっての視点の違い」がコピーライターにとって重要な資質であり、もっとも重要な観点なのです。
りんご嫌いの人の視点にたった場合
りんごの赤というのは血の色に見えるかもしれないし、丸いボール状の物体は凶器に見えるかもしれない。
キャッチコピーにならないと思うかもしれませんが、でも、この人と違う出発点こそが圧倒的なオリジナリティーを生むきっかけになるのです。
人と違う視点や切り口に気づくことがコピーライターの仕事
キャッチコピーはその名の通り、相手の心をキャッチしなくてはいけません。
一瞬の勝負であるキャッチコピーは、ありきたりな言葉を並べ立ると誰も見向きをしてくれません。足を止めてもらえません。
「りんごは甘くて美味しい」これもひとつのキャッチコピーです。
しかし、誰もが知っている当たり前のキャッチコピーに、人が興味をもってくれるでしょうか。
「りんごはみかんに嫉妬していた」こんなキャッチコピーを考えたとします。
このキャチコピーが良いか悪いかは置いておくとして、前者のキャッチコピーよりも後者のキャッチコピーの方が興味が沸いててきませんか。このキャッチコピーには「りんご側に立った視点」で語られています。つまり、誰もが思いつく視点では語られていないのです。
広告はまず、生活者に興味や関心を持ってもらうことが何よりも重要なのです。
コピーライターは、そういった新しい視点を探す仕事です。
AIライティングやChatGPTは視点を変えることや想像を飛躍させることが苦手
AIライティングやChatGPTはまだまだ進化の途中です。
これからますます、できること・できないとこが明らかになってきます。
しかし、AIライティングやChatGPTがどのような仕組みで動いて学習(ディープラーニング)をいるかを知っていると少し予想が立てられます。
機械学習は、世の中にある大量のデータ読み込んで再生成しています。
ライティングに限ったことでいえば、AIは世界にある膨大なWebページからテキストデータを読み込みます。その読み込んだデータを精査し再生成して出力します。
要するに、AI自体では何も生み出すことはできないのです。あくまで人間が作った創造物や作品・データがなければ、AIは何もできないのです。
電子レンジといったところでしょうか。電子レンジだけでは料理は完成しません。仕込まれたグラタンがあって、料理としてもグラタンが出来上がるといったイメージです。
グラタンは自分で作らないといけないし、グラタンを作る能力がとても大事なのです。
キャッチコピーを書く力あれば選ぶ力も身についてくる
ここまでキャッチコピーを書くことに言及してきましたが、
キャッチコピーの制作は書くだけではありません。大量に書きだされたキャッチコピーから、最も適したキャッチコピーを選ばなくてはいけません。
キャッチコピーを書く力とキャッチコピーを選ぶ力は比例している
キャッチコピーが書ける人は、キャッチコピーを選べる人です。
書ける人は、言葉を厳選する力をもっていますし、言葉の裏側にあるアイデアにも気づけるようになります。
作り方を磨いている人は、同時に分解して分析する力も磨いていることになります。
広告を勉強していくと「結局この広告は何が言いたいのか・どんな切り口で語ろうとしているのか」に目がいくようになります。
その行為こそ、キャッチコピーを選ぶ力であり見抜く力です。
どんなにAIライティングやChatGPTがキャッチコピーを書いてくれたとしても
最終的にキャッチコピーを選ぶのはあなたです。
あなたにキャッチコピーを選ぶ能力が備わっていない場合、AIライティングやChatGPTが1,000本キャッチコピーを書いてくれたとしても、間違った判断と選択・決定をしてしまうのではないでしょうか。
まず、自分の力でキャッチコピーを書けるようにしていきましょう。
AIライティングやChatGPTにキャッチコピーを書いてもらってはいけないのか?
ぼくは単にAIライティングやChatGPTを否定しているわけではありません。
使い方によっては、ものすごく便利でさまざまな作業を効率化できる素晴らしいツールだと思っています。
コピーライターとしてAIライティングやChatGPTとどう向き合っていくべきか
AIライティングやChatGPTは、キャッチコピーを書くことではなくキャッチコピーを調べることに向いていると思います。
さきほども少し触れましたが、AIは世界中にある大量のデータを保持しています。これをどのように活用するかをコピーライターは考えなくてはいけません。
たとえば自分の書いたキャッチコピーに対し「同じキャッチコピーはあるか」と質問してみるのはどうでしょう。
「今まで世に出た車のキャッチコピーを教えて」と、キャッチコピーの歴史を調べるのも良いかもしれません。
つまり「まったく新しいクリエイティブを生み出すための境界線」として、AIライティングやChatGPTを使うということです。
おそらくこれから、いろんな活用法が生まれてくるでしょう。人間には生み出せないものも、AIライティングやChatGPTが生み出していくと思います。
しかし最終的には、人が判断し選択肢し決定しなくてはいけないのです。
しつこいようですが、そのためには自分の頭で考え・生み出すことで自分の価値観を養っていかなくてはいけません。
だからこそ、キャッチコピーは自分で書く必要があると、ぼくはそう考えています。